本の活動②まちライブラリー
前回は、読書会について書きましたが、2017年以降は場所を持って活動するようになりました。その最初が「まちライブラリー」です。
まちライブラリーとは
礒井 純充氏の提唱によるもので、現在は全国に938箇所あるそうです。仕組みは、場所を作り植本祭=参加者による寄贈本の持ち寄りによってコミュニティの本棚を育てていきます。関わる人が本を持ち寄ることによって、その場にしかできないオリジナルの本棚ができるのが特徴です。
また本に感想シートを貼り付けて、借りた人が感想を書けるようになっています。リアルに会えなくても、借りてくれた人の感想が貸主に温かい気持ちを呼び覚まします。本をきっかけとしたリアルな交流やイベントのきっかけにもなります。
横浜市南区で初のまちライブラリー開設!
2017年4月に、地元企業がコミュニティスペースを作りたいという話があり、図書館関係の先輩に誘われ共同でまちライブラリーを開設しました。当時、タウンニュース南区版に植本祭の様子を取り上げていただき、わずか数週間で近隣からも寄贈が殺到、400冊超えになりました。
植本祭では本をきっかけに様々な年代・業種の人達が来てくださいました。本をきっかけに「肩書きに捉われない交流」ができるのが魅力だなと思いました。
この時感じたのが、どんどん寄贈本が増えたこと。中には歴史的な貴重書まで。家の中には沢山の本が眠っているのかもしれないと言うことでした。その潜在的な財を掘り起こし、共有して再び日の目を見る機会に良いと感じました。
その人にとっては、「もう読まない本」であっても、他の人にとっては「読みたかった本」であるかもしれない。私設であっても、公共化はできるのだなと。
まちライブラリー解放デー
本は集まり、順風満帆のスタートを切ったまちライブラリーでしたが、企業側の要望により、常時開かれたスペースではなく会議室として開くことになってしまいました。せっかく本を集めたのに、しかも集まった本は状態も内容もとても良いものだったので、これを活用しないのは勿体なさすぎる!と言う思いから「まちライブラリー解放デー」を作りました。逆に、私が会議室として予約する形です。
解放デーの日には、駄菓子を仕入れて見たりして、ちょっとしたイベント感を出してみたりしました。しかし、常設を前提としない場所で、私の広報力では限界があり、中々人は集まりませんでした。会議室の利用者だけが本を借りられるのでは「公」ではないよね、と言う悔しい思いが募りました。
そして、企業の移転に伴いクローズ、新たな本の貰い手を探す
元々、このスペース自体が解体前の期間限定ということで、翌年夏にはクローズしなければいけないことになりました。企業側からは、しばらく「ご自由にどうぞ」とした後、処分すると連絡がありました。いや、それでは貰った本が浮かばれないではないかと、私は全てを引き取り色々な所へ再寄贈すべく奔走しました。
貰ってくれると手を上げて下さった所を想像し、10冊くらいずつ選書しセットにしてお渡ししていきました。
結果、12箇所のコミュニティスペース及び公共施設に譲る事ができました。また、半分は企業の方で移転後も置いて貰えることになり、処分をせずに収まりました。
この体験から学んだこと
結果として、まちライブラリーの活動は1年半ほどで終わってしまったのですが、一つの図書館の始まりからクローズまでを体験できたのがとても勉強になりました。特にクローズは本当に良い体験でした。この時に一緒に本の貰い手へ本を運ぶため車を出して下さった方、色々な施設の方が快く引き取って下さったこと、大変ありがたく感じました。
また場の貸し主とのマインドの共有がとても大切だと思いました。ただ場所を貸してくれれば良いというものではない、目指す方向が一緒かどうかは活動していくのに一番重要だなとその時体感できました。また情報を関わる人全員でタイムリーに共有できることも大切だなと思いました。
でも、希望はある。つながっていく。
しかし去年、植本祭にご参加されて以降お世話になっている方から、こんな連絡がありました。
「今度真鶴に移住することになり、まちライブラリーを始めます」
どうも、私たちのまちライブラリーに刺激を受けて下さったようで、それをわざわざご連絡くださったのです。早速お邪魔しましたが、住みびらきの一室の本棚は、その方の本への愛に溢れていて、いつまでも居たい場所になっていました。
また、近くに本屋さんを始めるご夫妻も住んでいて、本をきっかけに交流が生まれているようでした。
自分がうまく行かないことであっても、本をきっかけとした取り組みが少しでも広がった事を嬉しく思った瞬間でした。灯火は続いていくのです。
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