いくらなんでも層が厚すぎた 2019年映画ベスト10
そんな大した記事ではない。
参考にするも良し。自分と比較するも良し。そのままスルーするも良し。
2019年映画ベスト10だ。やっていこう。
10位:マイル22
恐らくこれをベスト10に入れている人はあまりいない。
ピーター・バーグ監督とマーク・ウォールバーグと言えば『ローン・サバイバー』や『バーニング・オーシャン』『パトリオット・デイ』などで、実話をもとにした超面白い映画を世に送り出してきた最強コンビだ。
『マイル22』はそんな最強コンビが初めて挑戦したフィクション映画。インドネシアからシラットモンスターのイコ・ウワイスが参戦したこともあって非常に期待値の高い映画だったと言える。
では実際『マイル22』がどういう映画だったかというと、それは「怪作」としか言いようがない奇妙な魅力を放つ作品だった。
何故これを作ったのか? どうしてこんな作品になったのか。まったく想像がつかない。
映画を日常的に見ていると時々見た後に混乱する映画に遭遇することがある。例えば『トランスフォーマー:ロストエイジ』や『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』などだ。この二作を見たとき自分は非常に混乱した。
『マイル22』もまたこの二作に勝るとも劣らない混乱を誘う映画だった。
混乱のあまり観たあと普段買わないパンフレットを買ったほどだ。どうしてもピーター・バーグ監督の真意を知りたくなった。だが満足を得られる答えは見つからなかった。
この2019年においてパンフレットを買った映画は唯一この『マイル22』だけ。ならばこれは文句なしの10位だろう。
ピーター・バーグ監督には家を抵当にいれてでも続編を作ってほしいものです。
9位:フォードvsフェラーリ
9位はありがたいことにIMAX試写会で見させてもらったフォードvsフェラーリ。実際には来年1月公開。されど見てしまったものは仕方がない。見事2019年のベスト10にランクインだ。
これははっきり言って超面白い。来年見た人でも2020年のベスト10に入れるのは間違いない。
フォード社とフェラーリ社のル・マン24時間耐久レースでの争いを描いた実話映画だが、表題どおりフォードとフェラーリの争いが主題かと聞かれればそれは違う。
はみ出し者の男二人が己の価値を証明するために走り続けた栄光と友情の記録だ。
フェラーリに勝てる車を開発するよう依頼された元ル・マン24覇者のシェルビー(マット・デイモン)と、そのシェルビーに誘われて技師兼レーサーとして参加したケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)。
真の男二人が唾を飛ばしながら語り合い、時に殴り合い、そして勝利へ向かって邁進する。
V8エンジンの轟音が唸り、8000回転の世界へと突入した瞬間にアドレナリンが噴出し毛穴という毛穴から汗が噴き出す。
2019年最も熱い映画は間違いなく『フォードvsフェラーリ』だ。2020年もそうなるだろう。
8位:ハンターキラー 潜航せよ
今もっとも「こういうのでいいんだよ」映画を作る男は一人しかいない。ジェラルド・バトラーだ。
『エンド・オブ・ホワイトハウス』に『ジオストーム』。郷愁すら感じさせるジェラルド・バトラーのこういうのでいいんだよ映画。そんな男の最新作『ハンターキラー 潜航せよ』はまさに「こういうのでいいんだよ」という感じだ。ちょっとロシアに謝ったほうがいいと思うけど、そういうロシアの雑な扱い方も含めてこういうのでいいんだよ映画。
まるでアホアホな映画みたいな評価だが超面白いので一見の価値あり。
見たあとは腕を組みながら斜め立ちしたくなるだろう。
サスペンスフルで超熱い真の男の映画。
7位:ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
ドカーンドカーン!ゴジラが出てきてグオオオオオオ!ガガッガガガガ!ズカズカ!ゴジラとキングギドラがぶつかり合ってズガーン!ドガドガ!ダダダダダダダ!ギャーン!ギャーン!アイスキューブの息子「こんな親なら俺だって家出するぜ!」ゴジラと編隊飛行ズガーン!ドゴゴゴゴゴ!ズガーン!バララララ!ギャーン!ギャーン!
最高!!!
6位:神と共に:第一章 罪と罰
人生で一番泣いた。
映画であまり泣くことがないし、泣いたとしてもせいぜい涙ぐむ程度。過去最高に泣いた映画『リメンバー・ミー』でも涙が頬を伝っただけだった。
だがこれに関しては赤子ぶりに泣いたと言ってもいい。顔をくしゃくしゃにし、「ウヒィ、ウヒィ」と嗚咽を漏らしながら泣いた。
複雑にジャンルが組み合わさった映画なので『神と共に』を一言で説明するのは難しいが、泣けるだけではない、ということだけは言っておく。
ロングコートをはためかせながら超スピードで戦うコミック的アクションも超素晴らしい。これで原作はWebコミックだそうな。
韓国のエンタメの層は厚い。
ちなみに第二章はマ・ドンソクが出てくるしおっさんの巨大感情が見れる。オススメ。
5位:アベンジャーズ/エンドゲーム
21世紀最大の映画。
これを越える映画はそうそう現れないだろう。
5位で低すぎるレベル。仕方がない。今年の映画は異様に層が厚かった。
4位:ジョン・ウィック:パラベラム
『ジョン・ウィック:パラベラム』が4位で驚く人がいたとしたらそれは俺だ。え? ジョン・ウィック:パラベラムが4位? 1位じゃないの?
まったくもってその通りだ。世が世ならば1位でもおかしくない凄まじい映画。詳しくはこちらの記事に書いてあるので要チェック。
3位:HIGH&LOW THE WORST
『ジョン・ウィック:パラベラム』が洋画アクションの特異点だとしたら『HIGH&LOW THE WORST』が邦画アクションの特異点だ。
一応順位分けはしたものの事実上同率3位。
トンガリまくったキャラクターと個性的な台詞でガンガンストーリーを回し、カメラアングルがぐるぐる回るのに見やすい驚異的なアクションで人類の度肝を抜いた映画。
『ジョン・ウィック:パラベラム』と『HIGH&LOW THE WORST』が同日に公開されるのは惑星直列並みの異常事態。今年の映画は異様に層が厚いことを実感させられる。
ストーリー、アクション共に進化を感じた『HIGH&LOW』シリーズ最新作。『Top Down』は2019年ベスト主題歌賞。
2位:イップ・マン外伝 マスターZ
ウィンチュン……チョン・ティンチ……。
詠春拳の憎いあいつが返ってきた!
実在の人物イップマンを描いた『イップ・マン』シリーズのスピンオフが登場。主人公は『イップ・マン継承』でイップマンと熾烈な争いを繰り広げた張天志。演じるのは中国最高峰の称号『武英級』を持つイケメンカンフーマスター、マックス・チャン(45)。
監督は香港映画界の生けるレジェンド、ユエン・ウーピン。イップ・マン継承ではアクション監督を担当した老師だ。
ユエン・ウーピンはイップ・マン継承で高次元でのドラマとアクションの交差をやってのけたが、その敏腕はマスターZでも遺憾なく発揮している。
詳しくはこちらに描いてあるので要チェック。2019年格闘アクション映画ベスト。超面白いオールドスクールな功夫映画。
1位:スパイダーマン:スパイダーバース
2019年のベストは文句なしに『スパイダーマン:スパイダーバース』だ。
新しい映画はいくらでもあるが、新しいことをやりながら超面白い映画は『スパイダーマン:スパイダーバース』くらいだろう。
アメコミをそのまま映像化したようなアニメーションとリアルな質感、グラフィティを織り交ぜた強烈な色彩はまさに未知の映像体験。
その中心に新たなスパイダーマンであるマイルス・モラレスという主人公を据え、異次元から多種多様なスパイダーマンが集結するという新たなストーリーが繰り広げられる。
この面白さはまさに脳幹に届く面白さだ。
強烈なビジュアルでガンガンと視覚を刺激され、そこに鮮烈なストーリーがぶち込まれる。また、ポストマローンやVince Staplesを召集した豪華オリジナルサウンドトラックも超素晴らしい。今年で一番聴いたサウンドトラックだ。今も聴いている。
映像、脚本、音楽全てが新鮮で強烈。改めて映画が総合芸術であることを考えさせられる、唯一無二の作品。極上のエンターテインメント。これをベストにせずしてなにをベストにする。『スパイダーマン:スパイダーバース』こそ、2019年のベスト映画だ。
まとめ
こうして一年間見た映画を振り返ってみると、今年は異様に暴力映画の層が厚かったと実感する。
いつもはグリーンブックのような落ち着いた雰囲気の超面白い映画が一つや二つ残るのだが、今回は暴力映画の層が厚くて軒並み弾き出されてしまった。
唯一の実話映画『フォードvsフェラーリ』もアドレナリンが噴出するハイな映画だし、泣ける映画と評した『神と共に』はコミック的なハイスピードアクションが魅力であった。
そもそも生きているだけで暴力映画を見てしまうという人間的欠陥が存在するのだが、それにしたって暴力映画が多彩な年だったと思う。
つまりは素晴らしい一年だったということだ。
きっと来年もいい年になるぞ。
1位:スパイダーマン:スパイダーバース
2位:イップ・マン外伝 マスターZ
3位:HIGH&LOW THE WORST
4位:ジョン・ウィック:パラベラム
5位:アベンジャーズ/エンドゲーム
6位:神と共に:第一章 罪と罰
7位:ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
8位:ハンターキラー 潜航せよ
9位:フォードvsフェラーリ
10位:マイル22