そして旅は続く【ウィーン旅行総括】
今回のウィーン旅行を計画中、期せずして次の海外旅行先が決まった。4月のパリだ。
「期せずして」というのは、ANAのマイルが貯まり、近々その大部分が失効することに気が付いたからだ。
実は私はコロナ前まで、マイル獲得に執着していなかった。帰省や旅行で飛行機に乗る回数は年に1、2回程度。各航空会社のマイル会員にはなっていたもののさほど、というよりも全くマイルが貯まらないまま有効期限を迎えていた。
だがコロナ禍で行動の自由を奪われている最中、暇に任せて旅系のYouTubeを見ていると、世の中にはこんなにも大量にマイルを貯めて旅行をする人たちが一定数いることを知り、私もいつか貯めたマイルでヨーロッパ(アメリカ大陸も未上陸だが、ヨーロッパに対するあこがれは依然強い)に行ってみたいと思うようになった。
真剣にマイルを貯め始めたのはそれからだった。JALかANAかどちらかに集約した方がいいというので、当時マイル残高が多かったANAに絞ってマイルを貯めることにした。
マイルを手っ取り早く貯めるのに有力な方法の一つは、やはりクレジットカードで普段の買い物や公共料金の支払いをすることだったので、新しくANAカードを作った。
それまで私が所有していたクレカは主にセゾン系で、インビテーションが来て新たに発行したゴールドカードも含め、どれも年会費が無料だった。しかし戦略的にマイルを貯めるには、先行投資として年会費を払うことが必要だとようやく悟り、遅ればせながら年会費を払ってANAカードに入会した。
ただ思い切りが悪いので、年会費が一番安いランクを選択。当然還元率も最も低く、全く戦略的ではない。つくづく自分が「投資体質」ではないことを実感した。
その他の方法としては、ANAの各種キャンペーンに参加したり、普段の移動距離に応じてマイルが貯まるアプリANA pocket(このアプリ、現時点では残念ながら使い勝手がいいとは全く思わない)を活用した。
そうしてマイルを意識した生活が始まったものの、実際貯まったマイルは毎月数十、数百マイル程度で、本当に微々たるものだった。これではヨーロッパ往復に必要な数万マイルまでほど遠い。「私にはマイルで旅行なんて一生無理だ」と弱気になっていた。
だが、ある日のことだった。何とはなしにANAの国際線に必要なマイル数を見ていると、クレカ加入時のボーナスマイルが効いたのか「いい感じ」の貯まり具合になっているではないか。
「あれ? 私、頑張ればヨーロッパ往復できるかも?」
実はANAのウェブサイト上で見ていた必要マイル数を、私はずっと「片道」当たりのマイル数だとばかり思っていたのだ。JALは片道で必要なマイル数が表記されているが、ANAは「往復」で必要なマイル数が表示されていたのだ。
とはいえ、保有しているマイル数では全然足りない。そこでセゾンカードで貯め続けたポイント全てをマイルに交換したとして、手持ちのマイルと合算すると、「ローシーズン」×「エコノミークラス」×「提携航空会社は利用不可」という制約はあるものの、ぎりぎりヨーロッパ往復が出来るではないか。
ということで、いそいそとクレカのポイントをマイルに交換するよう申請し、1か月後、ついに目的のマイル数を達成した。しかし、そこから2か月後には有効期限が切れてしまうマイルもあった。その数実に1万マイル。
大急ぎで目的地を決めて特典航空券を発券しなければ、これまでの努力は水の泡になる。人気路線は1年前から座席が埋まるという情報も、既にYouTubeから仕入れていた(あながち嘘ではなかった)ので、その日からウィーン旅行の準備そっちのけで、マイルで渡航する行き先選びに頭をひねった。
ANAが直行便を就航させている欧州圏のどこにするか。ロンドン、パリ、ドイツ各地、もちろんどこも未訪問国ではあるが、いつか行ってみたいと思っていた場所ばかり。旅行経験の豊富な友人にアドバイスをもらったり、ガイドブックを借りたりして検討した。
あまりに迷い過ぎて、もうヨーロッパではなくて近場のアジア圏にしようかとか、有効期限が切れる1万マイル分だけ国内線に使おうか、などと思ったが、1マイル当たりの価値を最大化したい私はどうしても長距離線に心が傾く。
あっちこっち考えている間にも刻々と座席が埋まる。これ以上迷っていては
座席がなくなり危険と本能が察知した時点で、パリ行きを決めた。最終的に比較的便数の多い路線と空席のある日程を探し出し、ほとんど消去法での選択だった。
こうして次の旅先が決まった。私にとって初めてのメジャーな渡航先である。
パリは2024年のオリンピック開催地だったことからずっと「気がかりな街」ではあった。実は数年前、既にパリ五輪の観戦チケット購入の抽選に応募して「購入する権利」も獲得していた(フランス語はできず現地に頼れる友人もいない、夏場は渡航費用が高いなどの理由から、最終的に放棄した)。
だが、とにかくスリが多い、ホテル代がべらぼうに高いという情報に囚(とら)われて、パリってなんだか怖いなぁと二の足を踏み続けていたのだった。気にはなっているけど、ちょっと勇気のいる街、それが私にとってのパリだった。
女性一人旅の人気旅行先として、必ず上位にランクインするパリ。こんなに危険なのに(※個人的な感想です)それでも行きたくなる魅力がきっとどこかにあるのだろう。
そんなだから出発までに、またYouTubeを観て各種サイトを読み漁って情報を仕入れるだろう。あまり不安材料ばかりに目を向けていても、仕方がないので、今回は安全安心をお金で買うことも自分に許可したい。
ケチでビビり、英語力もコミュ力も人並み以下の私が、次はパリでどのような旅をするのか。これからも旅は続く。