【論文メモ】Competitiveness and business strategies of shipping companies (Španja et al., 2017)
1. 概要
本論文では、海運業界における競争力に影響を与える要因および海運会社がマーケットで優位に立つための戦略を、クロアチア最大のタンカー船社であるTankerska d.d.と世界最大の会社の一つであるRoyal Dutch Shellを例に分析した。
2. メモ
・海運会社の競争力を左右する要因は運賃、燃料価格、為替変動、船籍、人的リソースなど複数存在する。
・燃料価格は様々な要因により変動するが、歴史的には上昇傾向にあり、この傾向は今後も続くと見られている。
・海運業界においては、マーケットをけん引する5つの競争力が存在する。
・経済的混乱が競争意識をより強めることは、2009年の恐慌時に多くの小規模の海運会社が船舶ビジネスから手を引かざるをえなかったことからも明らかである。
・Stopford(2013)は、船主が便宜置籍国に船籍登録する主な理由を4つ挙げた。
1)税金の安さ、船主に有利な財政法
2)海上安全に関する国際基準を満たす必要がない(場合もある)
3)船員採用にかかる自由度
4)軍隊による防衛
・会社組織は、新たな状況に迅速に順応するための戦略に沿うことが必要となる。
・現代の海運会社は、分散した機能を適切に連携させる小さなマネジメントチームを持つ必要がある。
・会社としての安定性と環境への順応性のバランスを取ることが21世紀の海運会社の基本的な目標となっている。
・市況低迷時、多くの会社はまず船舶の航行速度を落とす。
・一方で、不況により新造船価格が下落し、且つ発注から引渡までのタイムラグが市況の回復時期と重なると予想して新造船の発注を進める船主も存在する。
・プライベートエクイティは、記録的安価で船舶を購入し、市況が回復すればそれらを海運会社に売るもしくは貸すことを企図している。
・市況低迷時、Tankerskaは子会社のTankerska Next Generationを設立し原油マーケットを支配しようとし、ShellはPrelude FLNGやLNG Bunker Vesselなどの大規模プロジェクトを新たに立ち上げた。
3. 出典
ŠPANJA, S., KRAJNOVIĆ, A. & BOSNA, J. 2017. COMPETITIVENESS AND BUSINESS STRATEGIES OF SHIPPING COMPANIES. Poslovna izvrsnost, 11, 123-137.
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