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ベトナムLGBT映画「Rainbow Without Colours」

主演:Nguyen Thanh Tu、Vu Tuan Viet
2015年
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★☆
(写真=IMDbより)

アジアドラマやBLのファングループやディスカッショングループではよく
「過小評価されている作品」
についてのトピが出てくる。これって本当はとってもいいんだよ!と視聴した人が熱く語って(書いて)いるのだが、これもちょっと前に取り上げられていた作品。他にも数人が「最も悲しい結末のBL作品の一つ」としてこれを挙げており、もしも観る場合はティッシューを一箱用意するように!とのコメントもついていた。

ベトナムの美しい自然の中で

個人的には初のベトナム映画。実は現在BLドラマも1本視聴中なのだが、これは舞台がおそらくホーチミンだと思うし、カフェと家の中で繰り広げられている話なので、あまりどこかは関係ないストーリーである(笑)。

なにやらうなされて起きる二人の人物。そして白っぽいネグリジェを着て彷徨っている一人の人物。なんだかファンタジーホラー映画のような幕開けであるが、この三人の過去への回想から物語が始まっていく。
Nguyen Thanh Tu演じるフン(Hung、上の写真の左側)は幼い頃両親を亡くし、ホーチミン郊外(と思われる)の高級住宅地に住む裕福なHuynh家に養子として引き取られた。その家の長男であるVu Tuan Viet演じるホアン(Hoang、写真の右側)と兄弟として一緒に育てられ、楽しい少年時代を過ごす。

絵を描くのが好きなフン、歌を歌うのが好きなホアン、やがて青年になるが、お互いに兄弟以上の感情を持っていることを自覚していく。父親はそんな二人の様子に気がつくが、母親は実の息子のホアンを留学させようと計画する。留学して勉強し、戻ってきて良家のお嬢さんと幸せな結婚をしてもらうのだ。

ゲイバーでのハロウィンパーティーで

ずっと二人でいたいと思うフンとホアン、ホーチミンにある祖父母の家に遊びに行った際に(誰かの結婚式のようなのだが、これについてはちょっと???)、大きなゲイバーで歌手として働けないかを聞きにいく。しかし、翌日のハロウィンパーティーでまず歌ったらどうかと打診され、参加することにしたのであった。

翌日正装して出かけていく二人を怪しみ、父と祖父が尾行する。そして父と祖父を怪しんだ母が祖母と、二人をそれまた尾行する。母の行き場所を知りたいと、娘(ホアンの妹)と従姉妹がそれまた尾行する。
金魚の糞のようについていく全員がパーティーへと潜入するが、いったいそこでなにが起こるのか?

色の入っていない虹

最近色々なドラマや映画を観ていると、BLとLGBTの違いってなんだろうと思う。BL(ボーイズラブ)というのはすでに漫画や小説から始まって、一つのれっきとしたジャンルになっていると思うが、LGBTと呼ぶ場合はより彼らの問題を取り扱っている作品のような気がする。したがって、これも青年二人のラブストーリーというよりは、家族、世代、考え方の違いをテーマとしているので、BLとは呼べないだろう。
フンが描く絵は、子供の頃のは虹に色が入っているが、成長するにつれ、色が入っていないものとなる。この作品でもタイトルをはじめ虹をフォーカスしていて、LGBTQの社会運動の象徴としてのレインボーフラッグと関連させていると思われるが、色が入っていないとはなんとも悲しいもので、物語の結末を予想させる。

他にも、私は未視聴だが近いうちに観たいと思っている2016年のタイBLドラマで「Grey Rainbow」というのがある。いつか虹がただ単に「光の屈折によって起こる大気光学現象」(ナム・ドサン風に)であり、映像作品のカテゴリーにもわざわざ「LGBT」なんて断らなくて済む時まで、虹というのはまだまだこれからも色々な作品で採り上げられていくのだろう。

Youtubeで英語字幕付きフルバージョンが出てるので、興味を持たれた方は是非(約90分)。英語もそんなに難しくないし、内容はシーンよりほとんど理解できると思うので。涙腺の緩い方はティッシュー用意必須(笑)。歌がとてもいいのでオススメである♪


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