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中国映画「愛してる!」(我爱你!)

主演:ニー・ダーホン(倪大红)、カラ・ワイ(惠英红)、レオン・カーフェイ(梁家辉)、セシリア・イップ(叶童)
2023年 117分
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★★
(写真=中国の各サイトよりお借りしました)

飛行機で観た映画第三弾。
でもってこれでシリーズ最後。長いフライトだったにも関わらず、ちょっと本を読んだり、ゲームにハマったり、多少は寝ることもできたりして、結局行きに2本、帰りには1本しか観ることができなかった。
そしてこの3本目こそがやっと「広東語映画」(笑)!(注:前の2本の記事にも記したように、このエアラインではなぜか大陸ものも台湾ものも、すべてこういうカテゴリーに入れられていた。ちなみに字幕は中国語と英語のみ)

といっても、香港ではなく、広州が舞台の中国映画なので、普通話と広東語のちゃんぽんな感じであった。作品としては中国・香港の合作である。

人生の最終章に足を踏み入れた2組の物語

ニー・ダーホン演じる独居老人チャン・ウェイジエ(常为戒)と、カラ・ワイ演じる廃品回収して生活している未亡人のリー・ホエルー(李慧如)は、公園で出会い、ひょんなことで大喧嘩になる。
ところが、ウェイジエが孫を有名な広東オペラ歌手の自宅へレッスンに連れて行くと、そこに一緒に住んでいたのはホエルーだった。最初は睨み合うものの、お互いになんとなく気になる存在で、次第に距離を縮め、理解し合って行く二人であった。

ホエルーが回収したペットボトルや段ボールを買い取るのがレオン・カーファイ演じる廃品業者のシェー・ティンシャン(谢定山)。セシリア・イップ演じる40年以上連れ添っている妻チャオ・ホァンシン(赵欢欣)は長らく認知症を患っており、日常生活もままならなくて、ティンシャンが献身的に介護をしている。ホエルーも時々世話を手伝っている。

ウェイジエが少しずつホエルーたちと親しくなり、空虚だった生活が楽しくなってくる頃、ティンシャンとホァンシンが抱える様々な家族問題なども知るようになる。

4人の老人が人生の最終章に足を踏み入れた時、それぞれの人生を振り返り、どのように最期を迎えるかを模索して行く物語である。

笑いあり、涙あり、人生考えさせられる物語

観終わってから調べて知ったのだが、本作は韓国の漫画を原作としており、韓国でもすでに2011年に『拝啓、愛しています』として映画化されていた。
機会があったらぜひ、このオリジナルも視聴してみたいが、本作で良かったのはとにかくキャストたち。

ニー・ダーホンはちょこちょことドラマなどでは見たことあったようだが、主演作は初めて。最初は鞭を振り回す(←これってカンフーか何かなの?)頑固ジジイだったのが、次第に態度を変えて優しくなっていくところは見どころだし、意外にも孫たちのおかげで若者文化にも馴染んでいたりするところはもうおかしくて、笑ってしまう。

コメディー感とお笑い感が割とある楽しい前半も、クライマックスを迎えると一気に趣が変わる。
後半の見どころはなんといってもレオン・カーフェイとセシリア・イップ演じる老夫婦。

もう涙なしには見られない展開なので、ここはぜひ本作で見てほしい。
そんな中、最初から登場する二人の老人のことも明らかになる。木製の人形を自分の妻だと信じている老人、そして若い頃には有名だった広東オペラ歌手。

6人の老人が過ごしてきた時代背景も今とは違うし、それぞれの家庭の事情や立場もあったかもしれない。
鳥やゾウといった、動物の特徴を例に挙げながら、自分たちの人生についても考えさせられたり、色々な反省点も出てくる。
でもやはり大切な人にはきちんと気持ちを伝えるべき、まさにタイトルが示す、そんな大きなメッセージ性を持った作品であった。

こちらが同名の主題歌で、予告編。


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