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ベトナム(BL)映画「こんなにも君が好きで -Goodbye Mother‐」

主演:ライン・タイン、ヴォ・ディエン・ジャオ・フィ、ホン・ダオ
2019年 106分
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★☆
(写真=GagaOOLalaより)

前にどなたかのnoteでレビューも読んで気になっていた本作、サブスクしている台湾のLGBTQコンテンツ専門のGagaOOLalaで視聴リストに入れていたが、Gagaではまもなく配信終了ということで、急いで視聴。

伝統的な価値観を持つ家族にカミングアウトできるか

ライン・タイン演じるヴァンはアメリカに住むベトナム人。父の改葬があるということで、数年ぶりに故郷に帰国するが、ヴォ・ディエン・ジャオ・フィ演じるボーイフレンドであるベトナム系アメリカ人のイアンも一緒に連れていった。
というのも、これを機に母にカミングアウトしようと思っているのだが、母や家族が一族の初孫である自分に様々な期待を寄せていることを知り、躊躇してしまう。

イアンにとっては、ヴァンが家族にきちんとカミングアウトできるのか、サポートも兼ねた旅行であったが、認知症を患っている祖母がイアンをヴァンと間違えるところから、事態が思わぬ方向へ。。。

結婚、遺産相続、家族の問題が次々と。。。

ヴァンは自分の問題をどうしようか悩んでいるが、周りの者たちは容赦なく、それぞれの思惑をぶつけてくる。息子の結婚、そして孫の誕生を望む母、ひ孫の誕生を望む祖母がいる一方、初孫であるが故に土地や財産などの遺産を全て受け取ることができるヴァンを妬む叔父や叔母、いとこたち。

母は夫の墓を改葬するので、土地が広くなるからここに家を建てよう、あそこに家を建てようと夢を話す。実家はタイル工場を経営しているのだが、顧客である取引先はなんとしても自分の娘をヴァンと結婚させようと迫ってくる。

そんな家族と伝統的な価値観に挟まれて何も言えないヴァン、そしてなかなかうまく言い出せないヴァンがじれったくてイライラしてくるイアン。二人の心境がうまく描かれていたと言える。

おばあちゃんを始め、キャストが良かった

ベトナムの映像作品は視聴本数がとても少ないので、もちろん全く知らない俳優たちだったが、主人公の二人もイケメン君たちだし、キャストは皆とても良かった。
中でも光っていたのは、認知症だけど、実は大活躍のおばあちゃん!木に登っちゃったり、いびきかいたり、世話が焼けるのだが憎めない役柄がとても良かった。きっとベトナムでは有名な女優さんなんじゃないだろうか。

しかし、本当の主役は母親だったのでは?
本作視聴し終えてから気になったこの邦題。うーん、ちょっとこれは違うような。英語タイトルの『Goodbye Mother』が副題としてついているが、この邦題だといかにもBがLをするストーリーのようである。なので、原題を自動翻訳にかけてみたら案の定、『愛する母』と出てきた。

ただ、これも私は納得いかないのである。確かにヴァンとイアンは一連の行事が終わり、アメリカに戻ることにする。そこで母親にも別れを告げるのであるが、本作の本当の意味はその次の、最後のシーンにあったのではないだろうか。
二人と空港で別れ、義弟が運転する車で家へ帰る母親。車の中で「私も運転を覚えたい」という。そして一人で運転してみる彼女。
その瞬間、彼女こそが家族や伝統的な価値観にしがみつくことをやめ、それと同時に子離れしたのではないだろうか。

カミングアウトしようとするゲイカップルの話に見えるが、実はそれをきっかけに伝統的な価値観の束縛に別れを告げる、ある母親の物語だったのかなとも思った。

一応「BL」と入れておくが、これもそんな枠にとらわれず、家族の物語としていいストーリーであるので、興味を持った方はぜひ。私は配信終了になるということでGagaで視聴したが、日本の各動画配信サービスでは配信中。

こちらが予告編。

こちらがChilliesというグループが歌うエンディングテーマ♫とても綺麗なメロディーの曲。他のOSTもよかった。


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