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香港BL映画「Amphetamine (安非他命)」

主演:バイロン・パン(彭冠期)、トム・プライス(白梓軒)
2010年 96分
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★☆☆
(写真=すべてGagaOOLalaより)

先日のベトナム映画に続き、台湾のLGBTQコンテンツ専門の動画配信サイトGagaOOLalaで「まもなく配信終了」コーナーにあった一本。これはサブスクした当時からずっと視聴リストに入れていたが、急いで視聴。
実はきちんとチェックしたら、リストに入れておいたものが結構終了してしまうのが判明。いつまで観られるのかわからないため、あと何本視聴できるかわからないが、頑張ってみよう(中国ドラマどうする??)

この一本を選んだのにはもう一つ理由が。フォローしている香港在住のミシェリーさんのVlogも時々見せていただいているのだが、もう毎回「香港行きたいモード」に❣️なので、映画もつい「香港」でこれを選択した次第であった。

エリート金融マンと貧乏な水泳インストラクターの物語

ストレートの水泳インストラクター、カフカ(バイロン・パン演)は、偶然にもゲイである情熱的なエリートの金融マン、ダニエル(トム・プライス演)と出会う。二人は運命的な恋に落ち、二人の愛は、セクシュアリティの違いやカフカのドラッグ癖さえも、何でも埋められると信じている。ダニエルはカフカへの愛を後悔していない。カフカも自分の性質に逆らって彼を愛し返そうとする。しかし、カフカの過去の恐ろしい記憶が、それを最も困難なものにしていた。そして、二人の愛の中毒は、友情の境界を探るために使用するドラッグよりも致命的であることが判明した。

GagaOOLalaより

セクシュアリティの違い、身分格差があっても惹かれ合う二人の物語が、高層ビルから自然の中まで、香港のさまざまなロケーションで繰り広げられる。

同性愛、ドラッグというタブーを取り上げた挑戦作

視聴し終わってから調べて知ったのだが(いつものごとく、大体あらすじも読んでないので、笑)、本作はSCUD(雲翔)という中国生まれの香港人監督の作品で、2009年の『Permanent Residence (永久居留)』に続く二部作の一つで、監督の半自伝的なものらしい。
身分格差のある二人の物語というと、韓国映画『後悔なんてしない』と似ている部分もあるが、本作にはドラッグという危険な要素が追加されている。

カフカはアンフェタミン依存症なのだが、これには香港という覚醒剤の浸透がかなり深い地理的な要因に加え、兄も中毒で一日中ラリっているし、過去の凄惨な経験が忘れられず、覚醒剤の力を借りているのもあるだろう。

ダニエルはそんなカフカを救おうと、他のクスリを手配したり(これもどーよ?)、様々な手段を試みるが、ついにはある出来事によって、カフカは決定的に壊れてしまうのであった。

港珠澳大橋こうじゅおうだいきょう

香港の様々なロケーションの中でも、印象的なのは、本作のキーワードにもなっている橋。
「もうすぐこの橋を通って空港に行けるようになる」というセリフがあるが、調べてみたら多分撮影当時は建設中だった、世界最長の海上橋と言われる港珠澳大橋らしい(確証はないので、もし違っていたらご指摘ください!)。中国の広東省と香港、マカオを繋ぐ橋で、なんと55キロの長さがあるらしい。

本作ではちょうど海上で、両岸からの橋が一部、まだ繋がっていない部分が映し出される。二人の心もこの橋が繋がる頃には繋がっているようにと希望を込めたものにもなっているが、それより個人的に驚いたのはこのシーン。

なんと橋の工事現場に入り込んで、二人でバンジージャンプをするのである!最初のカメラの映し方だと、地面まであまり距離があるように見えなかったため、一瞬韓国映画『バンジージャンプする』へのオマージュかとも思ったが、飛ぶ高さから見ると、とても高い場所であった。

ダニエルは稼いでいるので、自宅も海と高層ビルが眺め渡せるマンションの最上階。サウナもジェットバスもついていて、屋内にはビリヤード台まである超高級アパート。フェラーリを乗り回しているので、こんなバンジージャンプの装備なんかも気軽に手に入るのだろう。

「飛ぶ」ことに何か意味を持たせたかったのか

橋、バンジージャンプ、そして本作の最初の最後のシーンはカフカが羽をつけて飛ぼうとする姿が映し出される。
高いところ、低いところという比較で、人生、愛情というものに意味を持たせようとしていたのかもしれないが、正直ちょっとよくわからなかった。

本作のタイトル「アンフェタミン」の中国語表記も、なんか単なる当て字ではなく、四字熟語の意味もあるのかと思ったが、中国語ができる方、どうでしょう?
というのも下にリンクした曲の歌詞に「安於宿命」というのが出てくるのだが、何か関係あるのだろうか。全ては宿命ということなのだろうか?

香港というロケーションはとても良かったが、ストーリーとしては同性愛と覚醒剤というテーマだし、セックスシーンなどもモザイクやぼかしが一切入っていないので、誰にでもオススメできる作品ではないが、香港BLを代表する作品として、個人的には観てよかった。
あ、あとアーロン・ライ(賴東賢)がどうも出ていたようなのだが、どこに出てきたのか分からなかった!!

もっと香港らしい、楽しい映像は上のミシェリーさんの動画でお楽しみください!

Gagaでは同監督の作品が全て配信終了になるし、この監督自身も現在制作中の作品が完成したら、映画業界から身を引くようなことも書いてあった。時間があったら他の彼の作品も見てみようかと思うが、どうかな。

こちらが本作イメージ曲(?)のデニス・ンが歌う『斷橋 Fallen Bridge』♫ どういう過程でこのイメージ曲となったのかよくわからないが、確か劇中では聴かなかったと思う。普通話バージョンも出ているが、やはり広東語がいい。


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