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香港BL映画「ブエノスアイレス」(春光乍洩)

主演:レスリー・チャン、トニー・レオン、チャン・チェン
1997年 映画
いしゃーしゃ的オススメ度:★★☆☆☆

「ITSAYって『ブエノスアイレス』の現代タイ版じゃない?」
先日タイBL「I told sunset about you」を勧めて視聴した韓流オタク友が言う。「あの映画を思い出したよ。」
「ブエノスアイレス」!この映画の存在は知っていたがまだ観たことがなく、興味は持っていた。ただBLとかは一切関係なく、この中国語原題と同名の歌をジェリー・イェンが広東語で歌っている動画を見ていたからである。この歌は直接映画とは関係ないようだが、探してみたら映画はアマゾンプライムでレンタルできるので、その友人も呼んで一緒に鑑賞会をした。

あらすじ

主演は香港の有名な俳優レスリー・チャンとトニー・レオン。私は名前は知っていたが、彼らの作品を見るのは初めて。後半から登場するチャン・チェンは知らなかったが、プロフィール見たらなんと台湾の有名な俳優チャン・グオチュー(張国柱)の息子ではないか!彼は上司役や父親役でジェリーと共演して、勝手に私にはお馴染みの俳優である。すでに有名な映画なので、あらすじはWikipediaの日本語ページより引用:

あらすじ
香港からちょうど地球の裏側に当たるアルゼンチンを旅するゲイのカップル、ウィン(レスリー・チャン)とファイ(トニー・レオン)。「やり直す」ための旅行にもかかわらず、イグアスの滝への道中で道に迷い喧嘩別れしてしまう。ひとりになったファイは旅費の不足を補うためブエノスアイレスのタンゴバーでドアマンとして働くが、そこへ白人男性とともにウィンが客として現れる。
以降ウィンは何度もファイに復縁を迫りそのたびファイは突き放すのだが、嫉妬した愛人に怪我を負わされたウィンがアパートに転がり込んできたことから、やむなく介護を引き受ける。ウィンとの生活にファイは安らかな幸せを感じるが、怪我の癒えたウィンはファイの留守に出歩くようになり、ファイは独占欲からウィンのパスポートを隠す。
一方、ファイは転職した中華料理店の同僚で台湾からの旅行者のチャン(チャン・チェン)と親しくなり、そんなファイのもとからウィンは去っていく。旅行資金が貯まったチャンは南米最南端の岬へ行き、そこで代わりに悩みを捨ててきてあげるからとファイにテープレコーダーを渡す。ファイはテープレコーダーを握りしめるが、言葉はなく、涙を流すしかなかった。。。

なんとなく中途半端なストーリー

約1時間半の映画なので、さまざまなバックグランドはいろいろなシーンによってサジェスチョンされたり、想像したりできるように作られてはいるが、それでもストーリーラインがちょっと弱いと思う。これといった事件が起こるわけでもなく、淡々とした日常生活が描かれていくロードムービー的な感じである。もちろん香港人がアルゼンチンで暮らしていく難しさ、故郷へ帰りたい思い、そして嫉妬心などがいろいろな形で描かれているが、だからどうなるの?と問いかけたくなる。
ストーリーは台湾からの旅行者チャンが出てくるあたりからちょっと雰囲気が変わってくる。それまで支配していた、ネオレアリズモっぽい、頽廃主義っぽい暗い雰囲気から、なんとなく希望がありそうな、新しい道が開けるような、そんな雰囲気になってくる。最後にずっと行きたかったイグアスの滝を訪れるファイ、南米最先端の灯台にたどり着くチャンによってポジディブさが表現されている。
しかしこのチャンの登場も、撮影途中でレスリー・チャンがコンサートの予定で香港に帰ってしまったそうなので、ストーリーが変更されたようである。なのでやはり中途半端感は否定できない。

これをBLと呼べるのか

ITSAYロスとチェリまほ愛で沸き立つ世の中、BL作品が市民権を得てきているような最近であるが、この映画は1997年のもの。いきなりラブシーンで始まるのだが、当時同性愛を描くだけでも国によっては難しかったと思うし、実際主演のトニー・レオンも最初は出演を断ったという。それにこの主演の二人、すでに香港で大人気だった俳優で、年齢的にもこの映画が撮影された頃は30代後半である。ストーリーも今流行りの若い男の子たちが同性への恋愛に目覚めてキュンキュンというものではもちろんなく、すでにカップルでいる二人のやり直しの話。そういう意味では「きのう何食べた?」との共通点もあるが、まだシロさんとケンジの方がキュンキュンさせてくれた。
なのでこの映画を「ボーイズラブ」ものか?というと、年齢的にも厳しいし、キュンキュン度でも不合格である。しかし、現在の映像BL作品が市民権を得るようになる道を切り拓いた作品の一つではあるのかもしれない。

結論

というわけで、最初の「ITSAYって『ブエノスアイレス』の現代タイ版じゃない?」という質問に戻ると答えはNO!!!!!である。さすがに映画を観終わった友人も「私何を当時観てたんだろ?」と笑ってる始末。ITSAYのPP君がトニー・レオンに似てるというのであるが、私からしたら似てない!
というわけで、二人で爆笑しながら見終わった映画だった。

リンクの歌はレスリー・チャンが歌う映画と同名タイトルの曲。ファンによるMVで、映画の雰囲気が味わえる。


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