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塩を作る神社

神宮の祭典で使われるお塩や米はスーパーで買ってきたものではありません。

しっかりと太古から作る専門の神社があります。

地元民が海水浴に行く候補の一つに『二見』という海沿いの地域があります。

そこの二見地域にあった旧二見中学校の近くには御塩殿神社(みしおどのじんじゃ)という皇大神宮所管社があります。

大きな目印はなく、御塩殿神社と書かれた石が電柱の間に立っています。

この道路は車が1台ならゆったり走れるけど2台は難しいくらいの幅ですね。


その目印の反対側には鎌倉初期の頃に伊勢参りに訪れた鴨長明が読んだ歌が刻まれていますよ。
「二見潟神さびたてる御塩殿幾千みちぬ松かげにして」と刻まれています。

現代語にすると『二見の浦に神々しくたっている御塩殿、どのくらいの年月、この浦の松かげに鎮座しておられるのであろうの意』という意味らしいです。

そう鴨長明が歌を読みたくなるなとも思うのはこの神社は伊勢神宮に奉納する塩である『堅塩』を古来より変わらぬ手法で2000年以上作り続けている神社なのです。

鴨長明が来たのは1185年前後くらいの話ですのでここでは約1200年の歴史があるのだなと思ったのでしょう。

実際に塩を作っている場所は後半でお見せします。

1枚目にあった写真の左には入り口がありここから入ります。

境内を進んでいきます。

そうすると社が見えてきます。
ここでお参りをしますが、神宮所管社なのでお賽銭箱はありません。

そして右奥に道があるので進んでいきましょう。
途中から幅1mほどの砂地の道があり、少し進むと二股に分れているので左側に進みます。

そして進んで行った先に茅葺きの建物が見えてきます。
この正面にある建物が『御塩焼所』です。お塩を作るところですね。

御塩焼所は鹹水(かんすい・塩分を含んだ水のこと)を鉄鍋で一昼夜煮詰めて、粗塩を得る施設です。
建築様式は天地根元造(てんちこんげんづくり)であり、御塩汲入所よりも大きいです。

ここで2000年以上堅塩を作っていたんですね〜。


そして右にある建物が『御塩汲入所』
お塩の元となる素材を保管する場所ですね。

御塩汲入所は御塩浜(みしおはま)から運ばれた鹹水(かんすい・塩分を含んだ水のこと)を壷で保管する倉庫で、こちらも建築様式は同様で天地根元造です。

なかなか見たことない建築様式ですので、初めて見たときはなんだかタイムスリップした感じになりました。

この建物の裏側のすぐ近くには海が広がっています。なのでこの御塩焼所がある周りの植物は松林と砂浜になっていて普通は山や森に多い神社とはまた違う雰囲気を体験できますよ。

堅塩は毎年3月と10月に焼き固めてつくらるそうです。

二見に泊まる予定がある方はメジャーな夫婦岩以外に二見で行く候補として考えてみてはいかがでしょうか?


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