納豆と私 ~栄養効率という呪縛~
納豆が嫌いだった。
体にいいことはよく知っていたので、ひと口だけ口にしたことが過去2、3回あったが、ダメだった。
だから、自ら納豆を購入することなどあり得なかったが、子どもができて変わった。
なんと、子どもは納豆が大好きだったのだ。
納豆が体にいいことはよく知っていたし、なんといってもお手軽だし、子どもは喜んでくれるしで、納豆をよく購入するようになったのだが。
今までスーパーの納豆ゾーンに近づいたことがなかった私は、納豆ゾーンで軽く驚いた。
しゅ、種類が多い。
大粒、小粒、ひきわり、タレの味の違いなど、まさか納豆にこれほどのラインナップがあるとは。
自分が食べられないため、どれが子どもの好みなのかさっぱりわからなかったが、数回失敗をして、子どもは「ごくスタンダードな味のタレ付きひきわり納豆」が好きなのだとわかった。
よって、我が家の冷蔵庫には、「ごくスタンダードな味のタレ付きひきわり納豆」が常備されるようになった。
ある時。
たまたまチャットで食事の話をしていた時に、私は納豆が食べられない、という話を見知らぬ誰かに話した。
するとその人は、「納豆だけだと匂いが強いから、卵黄とネギと納豆についているタレと辛子を入れてよくかき混ぜると食べやすくなる」と教えてくれた。
白身を入れないのは、なんか栄養のことを言っていた気がするが、忘れた。
そして、ほかほかのご飯の上に納豆を載せて食べるのも、なんか栄養関係のことで良くないと言っていたが、忘れた。
とにかく。
今まで生きてきて食べられなかったのだから、どのようにしても多分マズいんだろうな、とあまり期待せず常備してあった納豆で試してみたら、まさかのまさか。
美味ではなかったが、食べられた。
驚いた。
まさか、私に納豆を食べられる日がやってくるとは。
しかも、この食べ方なら、体のためと思えば食べられる味ではないか。
チャットの見知らぬお方に、感謝!
それ以来、私は時々、教えていただいた食べ方で、納豆を食するようになったのだが。
私は、ここで新たな感情に出会う。
納豆を食べるたびに捨ててしまう白身がもったいない。
いや、しかし、私は黄身オンリーだったから納豆を食べられているのであって、ここに白身が混ざってしまったら、おいしくないのかもしれない。
それに、たしか、なんか、栄養関係のことで白身を入れない方がいいと言っていた気がする。忘れたけど。
いや。
でもやっぱり、白身がもったいない。
と、思い続けての、今日。
私はついに、納豆に白身もぶち込んでみた。
いつもより納豆が液状になった。
おそるおそる食べてみる。
全然、イケるじゃん。
フツーにおいしかった。
白身をぶち込むタブーを破ったついでに、白飯に納豆をオンしてみた。
これまた、おいしい。
今までのスタイルを崩した流れで、近くにあったふりかけを勢いで混ぜて食べてみた。
うまっ‼
まさか、納豆にうまっ‼という日がやってくるとは!
いいじゃん、これで。
おいしく食べられるのが一番だよ。
いや、きっとね、効率的な栄養の取り方とかさ、組み合わせとかさ、いろいろあるんだろうけども。
納豆食べられない < なんらかの方法で納豆を食べられる
でしょ。
0より1でしょ。
そりゃまあ、
なんらかの方法で納豆を食べられる < 栄養効率よく納豆を食べられる
なんだろうけども。
世の中、効率効率って感じだけど、まあ、それがいいのもわかってるんだけれども。
私、ユルいから。
だいたいでいいんだよ。
おいしく食べられる。
それでいいじゃない。
それって、すっごく幸せなことなんだからさ。