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(9) 嫌いな食べ物

 ホルモンって結構好きだ。普段はあんまり食べる機会がないけれど、金宮のボトルをキープしてもらってる、ちょっとした行きつけの居酒屋があって、たまに一人で行ってホッピーを飲みながらホルモンを頼むのである。大体シロとか軟骨とかハツとかそうやつを3つくらい盛ってるやつを頼む。じじくさい趣味だなぁとは思うけれど、大概居酒屋にいるタイミングって競馬でちょっと勝った時だから本当にじじくさいことをしている。

 でもそんな僕にも食べられないホルモン、というか内臓があって、それがレバーなのである。味もさることながら、食感もダメで、なんでこんなに苦手なのかわからないくらい苦手なのである。僕は〇〇みそとか、爬虫類とか、ジビエとか、ゲテモノはそんなに嫌いなタチじゃないし、魚の血合とは全然気にならないのに、レバーの鉄分感だけが本当に無理なのである。ハツ刺しとかは大好きなので、多分生なら食べられるのではないかと推測しているのだが、そもそもレバ刺しを提供している(できる)店って今もあるんですか?とにかく本当に嫌いなのである。

 そう言っていたら「本当にうまいレバーの店に連れて行ってやる」と友人が息巻いて、僕を名店(?)に連れて行ってくれたけれど、やっぱりダメで吐き出してしまった。友人には本当に申し訳ないが、火が通っているとどんな店でも確実に無理なんだろうと確信した。

 そういえばトルコで外食する時、僕みたいな貧乏学生はみんなLokanta(大衆食堂)にいくと思うんだけど、Lokantaのおかずって半分くらいはレバーの煮物だから注意したほうがいい。僕は「わぁお肉だ」くらいの感じでレバーを誤注文し、涙を流しながら食べる羽目になった。
「Good?」って聞かれた時、涙目で
「Perfect」って答えたけれど、本当に僕は何をやっていたんだろうか。逆にレバーが好きな人にとってトルコの食文化は結構あってるかもしれない。

 レバーってどう見ても僕が好きな類の食べ物に分類されそうだから本当に謎なのである。なんなら僕も食べたい。あれを美味しいと思える舌が欲しかった。焼き鳥の十種盛りみたいやつを飲み会で頼んだ時、躊躇せずレバーを取れる男になりたかった。僕は砂肝に逃げる。


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