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『大昔から、僕らは夜空を旅している』〜人生万景〜
その日、小堺一機さんはお休みだった。
演出家助手の男性が代役を演られた。
エピローグでその方が声を詰まらせた。
台詞が自分の心境と重なったのだろう。
誰もが一生懸命がんばって、何かまともなものになろうとしている。
その方は僕であり、皆でもあった。
泣いてもいるけど。物語を進められるのはこの方しかいなかった。終わらせられるのも。
僕達は静かに見守った。
手に持った台本を読んでいるだけなのに。
書かれた台詞はその方の言葉として僕たちに降り注がれた。
夜空が見えた。
寝静まった町も。
列車が通過する音も。
最後の台詞を言い終えた瞬間、稽古場に拍手が鳴り響いた。
僕は立った。
きっとあの場にいたすべての人もそうだと思う。
僕が観た最高の舞台の一つ。