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十一月中旬 自選十句

 おはようございます。こんにちは、こんばんは。蒼井憧憬です。今回は、前回の続き、11月に作った397句の中から、中旬で10句選句してみたので、一つ一つ、日記の代わりにコメントしていこうと思います。前回の記事を未読の方は、ぜひ下のリンクからお願いします。

 11月中旬は、鬱症状がかなり落ち着いてきた状態でした。そんな中で、沖縄にボランティアで保護猫活動の撮影作業に行っていました。以前記事にした『久米島への旅の追憶』という記事で、沖縄で作った句を16句掲載したのですが、今回はそこには載せていない句を選びました。

凍てる夜や迷ひコーギー路地を駆け

 沖縄のスーパーに買い物に出かけた時、コーギーがポツンと1匹いて、買い物中の主人を待っているのかな、なんて思っていると、駐在さんまでやってきて、島のプチ騒動に。「飼い主は知ってるんですよ〜」と言いながら、迷いコーギーを追いかけるのがおかしくて詠んだ句です。
 「凍てる夜や駐在追ひし迷ひ犬」とかで追いかける様を描きたかったのですが、迷って走り回っていたのがコーギーという犬種で、その足の短さったら可愛くて、こういう句になりました。路地駆けるで終わっても良かったか。

マスク知る届かぬ悲痛の叫び声

 沖縄にいる間、ある日のひと時だけ気分がガクンと落ち込んだ瞬間がありました。そんな時、表情に出てはいけないなとマスクをしたりしたのですが、そんな時に詠んだ句です。
 本当は、一人で小さな声で「嫌だ嫌だ嫌だ」と小さく漏らしていて、中七下五を「『イヤ』と小さな叫び声」としていましたが、なんだか弱い気がして「悲痛な叫び声」としました。

島風や枯れすすき舞ふ滑走路

 これぞ見たままの描写という感じですね。島風がどこまでもすすきを運んでいきそうで、それが帰りの飛行機から見えて、いい景色だなぁとしみじみ思ったのを覚えています。

往きし猫跳ねて遊べよ枯園を

 保護猫活動を撮影していると、猫の死を見ることがあります。保護活動してる方は、悲痛の思いで、それこそ涙を浮かべながら猫の死を悲しみますが、それを描いても前向きじゃないよなと思い、詠みました。
 枯園という語句は、ややマイナスのイメージがありますが、死んでいった猫にとっては、格好の遊び場だったろうなと思い、詠みました。

選び箸おでんの湯気や立ち込める

 沖縄から帰って、その様子を伺うように姉が訪ねてきました。私の病状を心配しながら、妻と三人での夕食会。おでんを頼み、届くや否や、思わず選び箸をしてしまうほど、美味しそうだったので、そのまま詠みました。
 でも見返すと、「だからどうした」と言われそうな気もしないでもない、、、

時雨るゝや我を待たぬか高尾山

 高尾山に登ろうと話しながら、あれよあれよと一月が過ぎ、いざ日にちを決めたにも関わらず、その前日くらいから雲行きが怪しく、あえなく延期に。そんな雨を見ながら、まるで高尾山が私を拒絶しているかのように感じられて、詠みました。

雪降らぬ街に郷里の旅広告

 私の住んでいた奈良の南部の方は、11月の半ばにもなると吉野山に少し雪が掛かるようになり、もう寒さが本格化していく時期。そんな時期でも、雪も一粒さえ降らず、まだダウンがなくてもギリギリ歩ける街を歩く中、奈良に行こう!という旅の広告を見つけ、詠んだ句です。
 下五の字余りが、どうにもまとまらずそのままになってしまいました。

自転車の握り手のまま凍りけり

 この時期になると、日課になっていたサイクリングでの散歩は徐々に限界が見え始めてきました。山手通りをブルブル震えながら家に帰ると、手が握り手のまま固まってしまっていて、それがなんだかおかしくて詠みました。
 この句の「凍りけり」を現在形にしたかったのですが、「凍りおり」なのか、文語文法がわからず、過去形に。文語辞典の入っている(ついでに広辞苑や歳時記も)電子辞書をそろそろ買おうか迷っています。

冬晴れやうたた寝妻の手の温度

 これは確か、沖縄から帰って、休日の妻と猫カフェに向かう景色を詠んだ句です。うたた寝は虚で、本当は眠気で温かくなった繋ぎ手を感じていたのですが、うたた寝妻とした方が、可愛らしさが出るかなと。

冬灯し映画を見れた見れたんだ

 この句は、自分にとって非常に大切な句です。詳しくは、下の記事を参照いただければと思うのですが、鬱症状で、大好きな映画を見れない、興味が湧かない、集中できない状態だった私が、実に4ヶ月ぶりに、集中して映画を見れた時に詠んだ句です。

 その嬉しさと安堵感が、「冬灯し」の季語にも遠からずかなと思い、季語はそれにしました。
 ただこの頃から、季語をどれにするのが適切か悩み、困ったら覚えている季語を使う自分の癖に気づき始めました。時雨とか、冬晴、冬灯し、冬銀河とか。単純に季語の知識が不足しているので、歳時記をもっと読まねばと思う反面、まだポケット版の小さなものしかなく、大きな歳時記の選び方に困っています。

【最後にお願い】

 こちらの「気ままに俳句日記」は、鬱に陥って以来、私の救いになってくれている俳句を気ままに記事にしているものです。もし、こうすればいいよなどの上達の方策など、コメントいただけましたら幸いです。感想でも構いません。
 また、スキを押してくださいますと、単純に見てもらえているんだなと嬉しくなります。よろしくお願いします。

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堂ノ本 敬太
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