電子書籍で本を読むメリット・デメリットに気付く
こんにちわ。映画監督の堂ノ本です。最近、映画制作の取材のためにいろんな本を読んでいます。盲目の主人公、ブラインドボクシングという視覚障害者のスポーツを扱う、ということで、本を買い漁っています。
「本を探すなら、まずは本屋さん」
私のようなデジタルネイティブ世代であっても、この考え方は変わりません。
ただ、本屋さんというのは意外と不便なものです。そもそも、目当ての本を探すのに苦労する上に、私の住む奈良県のような「イオンモール」に支配された街では、その大型店舗になければ、だいたいネットでしか手に入らない、という事態に直面します。
結果、本屋に向かったにも関わらず、一冊の本も買わず、道中で寄り道したコンビニで、なぜかファミチキと缶コーヒーを買っている、なんて事ありませんか。
本屋の魅力について
私にとって、本屋とは「目当てがない時こそ輝く」存在です。
見渡す限りの本の山、目に止まったものを開いては閉じ、開いては閉じ、話題の小説コーナー、雑誌・文芸誌のコーナーを通って、漫画に寄り道したり、映画本コーナーを見にいったり。そんな道中で、出会ってしまった1冊の本。開いた1行目に「これだ!」と思える文章を見つける。興奮を隠しながら、そして、いますぐ立ち読みしたい衝動を抑えながら、レジに向かうのです。
そういう尊い時間こそ、本屋は輝くのです。
落ち着いて、じっくり読みたいものを探す時間を持っている者にこそ、あの検索機能もない不便でだだっ広い空間が輝きを見せるのです。
問題は、その余裕がないときです。
余裕はなくとも本は読みたい。そして、読みたい本は既に目星をつけている。そういうとき、本屋というのは、ただ不便な「箱」と化します。
何もそれは本屋に限りません。例えばレンタルビデオ店でも、例えば雑貨屋や服屋でも、同様の事態が起こっています。
電子書籍の誘惑に敗れる
上の状態のとき、現代人はAmazonを開きます。欲しいものを検索し、カートにぶち込み、クレジットカードで即座に支払い、発送を待ちます。
あぁ、なんと罪深い時代なんでしょうか。
けれど、便利な反面、飽くなき人類はこうも思います。
「今すぐ読みたい」
私もそうなりました。何度も何度もネットショッピングを繰り返すうちに、「明日には届くとはいえ、今すぐ読みたいんだよな〜」と。けれど、電子だとデータ管理するのも大変そうだし、何より本はやっぱ紙でしょ、なんて二の足を踏んでいました。
が、今回ばかりはそんなこだわりも不要、と断じ、いち早く映画を進行させたい一心で、ついにkindleストアへ足を踏み入れたのです。
kindleの魅力「セール」と「kindle unlimited」
入るや否や、飛び込んできたのは私好みの作品たち。それもそのはず、日々の閲覧履歴で私の好みは、Amazonに筒抜けです。
あれもこれもと勧められる中、今村夏子の小説が今なら50%還元と来た。おい。なんだそれ!単行本で買えば、2000円弱するものが、今なら1000円でお釣りがくる?ふざけんな!
と見事にカートイン。
その後も色々と見て行くと、kindle unlimitedなるサービスに気づく。月々1000円ほどで対象の書籍が読み放題らしい。ずっと前に、ほしい物リストに加えていた商品が、私に襲いかかるように「僕もkindle unlimitedの対象だよ!」と、ズラーっとアピールしてくる。
見事にサービス開始。だってお試しで1ヶ月無料なんだから、その間に全部見れるじゃーん!ですよね。多分これ、1ヶ月後に忘れてるんですけど。
と、見事にAmazonの商売上手にしてやられたのですが、kindleのサービスに加入したコトで、多くの書籍を無料で読めることに。特に、目当ての「障害者スポーツ」の話や、視覚障害者の体験談・エッセイなどが、かなり大量に手に入りました。また、映画本で言えば、「映画撮影」みたいなのも無料でゲトることができたのも強いです。
なんて言ったって、買った瞬間読めるというのは、読書が捗ります。積ん読を大量生産しがちだった私ですが、電子書籍では、読んだら次!読んだら次!と、積ん読にならずに済んでいます。
結局、この2週間くらいで30冊くらい読んでしまい、久しぶりに本の虫になっております。いやぁ、これまで毎回毎回、本屋で運命的な出会いを求めておりましたが、この手軽さと快適さは離れられそうにありません。なんてったって、風呂でも読める。
ここ数日は、kindle paperwhiteという、電子書籍を読む用のタブレット端末を買おうかと、割と真剣に悩んでおります。。。
kindle unlimitedでオススメ
なんか、回し者みたいになるんですけど、一応書いときます。
映画制作を志している方、特に撮影部や照明部のような技術職をメインに考えている方には、もうこれがあるだけで登録して損なし!という雑誌を見つけました。
撮影監督協会発刊の『映画撮影』
この雑誌は、例えばこの映画はこういうLutを当てましたみたいな、マニアとか映画制作者じゃないと気にならないような、めちゃくちゃコアな情報が書かれていたり、使用した機材名も具体的に明記されていたり、製作日誌が読めたり、まさにプロがプロに聞くからこその情報が載っていてオススメです。
特に私が助かるのは、準備段階での記録ですね。こういうことが不安だったから、こういうテスト撮影をした、とか、ロケハンではこういう部分が気にしていた、とか。他の映画本やメイキング動画とかでは、なかなか出ないような話題を取り扱っているので、まじで助かります。
最近の日本映画では、四宮秀俊・秋山恵二郎というキャメラマンと照明コンビが、数々の良作映画を支えていますが、そのお二人の記事や、どんな風に映画撮影中に考えたか、みたいな話が載っていた号が面白かったです。
もうね、これがバックナンバー含めて無料で読めるんなら、登録しなきゃ損ですよ。。。
旅エッセイ!角田光代著・いつも旅のなか
私は結構、エッセイだとか随筆を楽しむタチなのですが、気になっていた角田光代の書籍は、結構無料対象なんですよね。コロナ禍で旅行に行けないからこその、文章で旅を楽しむ、というのは、心がほっと落ち着くいい気分です。
以前、ボロクソDEシネマのシリーズで『愛がなんだ』の感想を書いたんですが、原作も無料で読めたので、ラッキーでした。
デメリット
まぁ、だいぶ良い面ばかりを書いてきましたが、デメリットも存在します。
・興味のあるものばかりを手に取ってしまう
・そもそも電子版がないものがある
・フィジカルがないことで達成感みたいなものがない
・電源切れたら読めない
①興味のあるものばかり手に取ってしまう
これは性質上、仕方のないことなのですが、「次にオススメ」として出てくる商品は、基本的には自分好みのものばかりです。AIの進歩は恐ろしいです。けれど、その進歩のせいで、全く触れてこなかったジャンルやテーマに触れる機会が減ります。
本屋での本探しには、そういう魅力が確かにあって、「全然知らない世界だったけど、読んでみると面白い」みたいな体験が起こりづらいんですよね。
②そもそも電子版がない
これも仕方ないんですが。。。
読みたいと思って検索しても、書籍版でしか購入できない場合があります。ということで、結局完全なる電子派に移行することは現状では不可能なわけです。やっぱり作者によっては、紙で読んでもらいたいという意識もあるのか、小説分野では、結構電子版が存在しません。
その反面、ビジネス書や実用書、雑誌などのジャンルは、ほぼほぼ電子版が存在しており、中には電子版のみというのも多くあります。
③フィジカルがないことで達成感がない
これは気にならない人もいると思います。
昔、小学校くらいの時、ハリーポッターを読破するような子ってクラスに一人はいたじゃないですか。あの分厚くてデカい本を読んでるのをみると、「なんかすげぇ」って感じてたんです。
多分、あれって本人も少なからずそういう意識はあったと思います。「この分厚い本を今、俺はここまで読み進めてる」みたいな(笑)
そういうのが電子版ではあまり感じにくいですね。実際に厚みだとか大きさを実感できません。読んだ後も、画像としてクラウド上の本棚には映りますが、やっぱり自室の本棚には残りません。ちょっと寂しかったりします。
④電源切れたら読めない
まあ、これも当たり前なんですが、実際直面すると腹が立ちます。
YouTubeのようなストリーミングコンテンツと違って、読んでる間はほとんどバッテリーを消費しないので、なかなかそういう事態には直面しませんが、出先とかでは不便かもしれませんね。
まとめ
結局のところ、現状では上記のデメリットを考えると、完全に電子書籍のみに一本化するのは難しいです。
が、電子書籍の魅力は十分に感じられます。ミニマリスト派の方とかだと、③のデメリットはむしろメリットですしね。買った瞬間に読めるというのは、どこにも行かずに読める、というのは、書籍ではなかなか味わえない感覚です。
ぜひ、皆さんも電子の沼に落ちていってください。
最後に
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