『サイダーのように言葉が湧き上がる』感想🎞
※昨年10月頃に視聴し書きかけだったものに追記している為、曖昧な部分アリ。
「フライングドッグ」の設立10周年記念作品らしい。
これが下手な人気作品より良かったのでおすすめしたい。
コンプレックスが一つのテーマであり、俳句やボーイミーツガールの要素を加えつつ、それを乗り越える少年少女が描かれる。
「歌」を扱った作品という事で随分前に読んだ『ショートソング』を思い出したが、多少「歌」に馴染み、若しくは興味があると見ていてより楽しめるだろう。
冒頭のドタバタ感と配色のカラフルさに初めは戸惑ったが、すぐ慣れるのでまずは耐えて欲しい。
画面を二つに分け、佐倉とスマイルの様子を同時に描く事で相違と一致を一気に見せる演出が印象的。
SNSのリアルタイム性も感じられて良かった。
青春がモチーフのボーイミーツガールやガールミーツボーイ物は、所謂"イメージにおける青春"を描いているだろう。
その多くが恋模様を要素に取り入れるが、ぶっちゃけ要らなかったんじゃないかと思ってしまう作品も多い。
『サイダーのように言葉が湧き上がる』も一見そういった作品と同様に思えるが、「コンプレックス」が下地にある為、"イメージにおける青春"が映像化された作品よりも瑞々しい。
それも生々しくなり過ぎない辺りが絶妙だ。
「山桜(出っ歯)」に着目してる辺り奇を衒い過ぎだと感じなくは無いが、佐倉の真っ直ぐな気持ちがそれをマイナスだと思わせない。
櫓の上で詠んだ、正直で純粋な「スマイルを好きだ」という気持ちの溢れた歌には、涙が止まらなかった。
キャラクターの成長が感じられる作品、「現実味を感じる青春」を描いた作品が好きな方はぜひ。