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読書感想文 青ノ果テ-花巻農芸高校地学部の夏-

こんにちは、かなめです。

今日は「青ノ果テ -花巻農芸高校地学部の夏-」(著:伊与原新 新潮社)の感想文です。ネタバレは自己責任でお願いします。


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一言でいうと青春っていいなぁーー!!


主人公たちが高校生の学園ものでした。高校生が主人公の本とか久しぶりに読んだ。ちょうど銀河鉄道の夜を読んだ後だったので買ってみました。

あらすじ

舞台は岩手県の花巻。関西で育った私には馴染みがないところですが、地図がついていたので位置関係も理解できました。主人公の壮多、幼馴染の七夏は花巻農芸高校に通っています。その七夏が夏休みのある日、忽然と姿を消してしまうというプロローグから始まります。なんとも不穏。

時は遡って5月、東京から深澤という男子が転校してきます。朝早く、教室に出会った壮多はなぜか深澤が七夏の席に座り、知るはずのない七夏の名前を知っていたのでした。その後七夏に聞くと転校するまで深澤のことは知らない、と。これだけ聞くと深澤は怪しい奴ですね。知らない人に名前知られてるの怖い。

なんやかんやあって化石オタクの三井寺や宮沢賢治マニアの川端を巻き込み地学部を設立。そのころからなにやら七夏は様子がおかしい。夏休みに行く予定だった宮沢賢治巡検の旅を前に謎の言葉を残し七夏は壮多たちの前から姿を消します。

壮多、深澤、三井寺の3人での巡検。七夏のこと、深澤のこと、宮沢賢治ゆかりの場所を巡りながら壮多は真相にしまっていくのでした。

感想

読み終わって、深澤が壮多に執着する理由がなんとなくお門違いじゃない?と思いました。深澤父がカムパネルラだとして、壮多父がジョバンニというのは飲み込めますが、深澤父が亡くなったとき壮多父はジョバンニがしたように、カムパネルラの死をあっさり上回るようなことしたかなと。読み込み不足かしら。七夏母がザネリってことになりますし、深澤のこじつけ感がすごい。なんとなく後味がすっきりしませんでした。

巡検の途中、壮多が三井寺に将来のことを聞くシーン、あそこはすごくよかったなと思います。高校生の時ってたった1歳違うだけでずいぶんと大人びて見える、というのが伝わってきます。それにしても三井寺は大人な考えをもってると思いますが。このシーンが壮多に大きな影響を与えましたね。

壮多自身の「俺には鹿踊りしかない」という考えもとても共感できました。私も高校生の時部活しかないなー、と思ってた。壮多は最後「鹿踊りがあれば、大丈夫」と考えを改めるわけですが、これがすごく羨ましい。私は引きずってこそないけど、今でも「あの時ああしていれば」とか考えてしまいます。部活をやっていたことは無駄じゃないし大切な思い出だけど、その先になにがあったかはいまだに見つけられてない感じ。壮多は何を見つけるんだろう。続きがないって主人公たちの未来には希望しかない感じがして放りっぱなしなのが残酷だなあ。自分の去りし青春の面影を探すことのやるせなさよ…。

青春物語を読んで、羨望とやるせなさ、歳をとることの残酷さを感じてしまいました。悲しい。物語自体はサクッと読めたのでよかったと思います。あと岩手に行きたくなりましたね。今は行ける状況ではないですが…。落ち着いたらいきたいですね。

それでは、よい1日を。


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