フルリモートって、絶滅しますか?
フルリモートという働き方を、無くしたくない。
愛知県のド田舎からフルリモートで東京のベンチャー企業に勤めていて、もうすぐ5年になる。月に1~2回程度の出張はあるが、それ以外はずっと自宅で働いていて、特に問題も無い。
田舎住まいのハンデも子育てにまつわる制約も、すべてフルリモート勤務によってなんとか出来ている。もしもこの働き方が無かったら、今頃どうしていただろうか。
この働き方でなければ出会えなかった全国各地のお客様や同僚と、この働き方でなければ実現できなかったスピードで、日々コミュニケーションを取っている。すごく有難いと、心の底から思っている。
ただし、会社自体は週3出社になり、フルリモートを推進しているわけでは無い。友人知人から伝え聞く他の企業も同じで、コロナ禍が明けて同じフル出社に戻っている場合もあるし、リモート可でも最低週1~2出社が多いように感じる。
それぐらい、対面で取るコミュニケーションのメリットはあるんだとは思う。非対面との差異を測れないから正直ほんまかいなとモヤモヤもするけれど、しょうがないのだと思う。思おうとはしている。でも、地方在住者からすると、それって鎖国ではないか。
この有り余るモヤモヤをぶつけるべく、2024年の東洋経済「すごいベンチャー100」特集を手に取った。肌感ではなく、実際のところを調べてみようと思ったのだ。
※フルリモートで働けるベンチャーがどれくらいあるのか知るため、ある程度の規模があるであろう「評価額ランキング100」リストからまとめた
「すごいベンチャー100」の企業リストが気になる方は、こちらへどうぞ。読み応えがすごい。
スクレイピングとかではなく手動な上、各社のwebサイトが面白くてつい読み込んでしまうため、なかなかに大変だった。求人サイトの便利さを痛感する。
では、さっそく結果を発表。
ビジネスサイドの求人がある企業数
そもそも、ベンチャー評価額ランキング100社の中で、ビジネスサイドの求人がある企業数はどれくらいあるのか。
恥ずかしながら、私は8割くらいはあるんじゃないかと思っていた。結果は…66社。約4割は、ビジネスサイドの求人自体が無い。
一部リモートで働ける企業数
次に、リモートワークが可能な企業数。一口にリモート可といっても、「週2出社」「オンボーディング期間は出社」「チームにより出社頻度は異なる」など企業によって頻度はさまざま。
求人をよく読んでも、それって結局どういうこと!?と判断がつかない企業も多い。また当然ながら、出社とリモートのハイブリッドなのでオフィスから通勤圏内であることが求められる。
ベンチャー評価額ランキング100社の中で、ビジネスサイドの求人があって、リモート可の企業は…30社。「ハイブリッドが主流」ではなかった。
そして、大切なのはここから。首都圏にお住まいの方も、ぜひ地方在住者の気持ちになってご覧いただきたい。
リモート可と記載している30社のうち、東京にオフィスがある会社…30社(100%)
大阪にオフィスがある会社…6社(20%)
愛知にオフィスがある会社…1社 (3.3%)
大阪でも6社!思わずヒッと声が出た。
ハイブリッド勤務は、地方在住者には門戸が開かれていない鎖国だった。
フルリモートで働ける企業数
最後に、ビジネスサイドの求人があって、フルリモートで働ける企業数を見てみよう。
1社ずつwebサイトを覗いて、「フルリモート」の文字を見つけるとそれだけで神々しい。
結果は…12社。意外とまだあった。
まだ絶滅はしていないが、ベンチャーのみ100社を見てこの数となると、やはり希少な絶滅危惧種かもしれない。そして、実際には募集要件として経験やスキルが問われる。フルリモートで、応募する資格があって、さらに自分が働きたいと思える仕事。気が遠くなりそうだ。
ざっくりまとめ
ベンチャー企業(評価額ランキング100社)でさえ、ビジネスサイドのフルリモート求人はわずか12社の絶滅危惧種
リモート可の求人は30社ほど存在しているが、オフィスは首都圏に集中、地方在住者には幻である
地方在住者がベンチャーで働きたいと思ったら、事業内容やビジョンミッションバリューから探すというよりも、通勤圏内にあるベンチャーを探し、一部リモートが可能かを確認するしかない
ちなみに、フルリモート求人がある企業は「知名度が高い急成長ベンチャー(採用人数が多い)」か「メタバース・ゲームなどのオンラインコミュニケーションと親和性が高い商材を扱うベンチャー(リモートが当たり前)」か「商圏が全国で現地出張があるため各エリア在住者をフルリモートで採用しているベンチャー(直行直帰)」の3タイプという印象
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今回、noteにまとめるために100社の企業サイトと採用情報を見にいった。一度にたくさんの情報を目にしたからこそ、自分が良いなと思うポイントも共通項として見えてきたように思う。面白いことに、トップページの雰囲気でビジネスサイドの求人有無も当てられるようになった。
そして、ベンチャーの採用情報ページはハーモス率が高い。ハーモスってこんなに導入されているのか!と思わずサービスサイトを見にいったほど。次いでHERPもよく見かけた。
(ハーモスさんやHERPさん、採用情報のテンプレートに「フルリモート可」も足してくれませんか。「リモート可」ではなく、「フルリモート可」を。)
それにしても。
どうしたらフルリモートという働き方を増やせるのか。どうしたら、働きたい人が働き続けられる社会になるんだろうか。現実はわかったけれど、わかった分だけ、またモヤモヤとしている。
とりあえず、コロナ禍の名残りでフルリモート勤務できている人間は、より一層気を引き締めなくてはならないし、"出社しているメンバーと同じように"ではなく"出社メンバー以上に"活躍できるよう、頭を捻って精進するしかない。