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心不全の薬剤1) 「右心不全」と、「左心不全」、症状の違いを理解しよう!

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皆さんこんにちは。薬剤師のTATSUです。

医療教育系YouTubeを始めてから約半年経ちまして、少しずつではありますが、応援して頂ける方も増えてきて嬉しい限りでございます。

今回は、TERU先生から機会を頂き、心不全の症状と、その薬剤について、2回シリーズで、私なりに解説させていただきます。

まず、心臓から血液がどのように循環しているかを解説していきます。

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TATSU先生、こんにちは

薬理学の前に、「大循環」「肺循環」の復習からですね?

病理学講義「循環障害」の章でも少し触れています、

右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房と、肺を巡る「肺循環」

左心室→大動脈→全身の組織→大静脈→右心房と、全身を巡る「体循環」でしたね、

この辺り基本から、もう一度解説お願いします!

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はい!

心臓は4つの部屋に分かれており、それぞれ右上から時計回りに、左心房、左心室、右心室、右心房となっています

 全身から送られて(戻って)きた血液は心臓の右心房、右心室を通ってへ送られます。このとき通る血管を肺動脈と言います

 肺動脈から肺へ送られた血液は、全身から戻ってきた血液ですから、CO2 が多く、O2と交換し、心臓へ戻ります

この時、肺から心臓へ戻る血管を肺静脈と言い、静脈ですが酸素が多い血液が通ります。

そして、肺静脈から左心房、左心室を通り、今度は全身へ血液が流れていきます

この心臓から全身へ向かう血管を大動脈といいます。大動脈に流れる血液は、O2が多く含まれており、全身の組織へ流れ、毛細血管でCO2と交換されます。CO2が多くなった血液は全身から心臓へ戻ります。全身から心臓へ戻る血管を大静脈と言います

これを踏まえて、心不全の症状を見ていきましょう。

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心不全の症状は、まず「左心不全」と、「右心不全」の2つに分けて考えましょう、

これらの機序の違いを理解すると、症状も覚えやすいんです!

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その通りです!

まずは、「左心不全」から

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 左心室から血液を押し出せなくなったとします、すると、以下のような状態が起きます。

① 左心室、左心房には血液が溜まる。
② 左心房に繋がる肺静脈にも血液が溜まる。
③ 更に肺静脈に血液が溜まることで、肺自体にも血液が溜まる。
(肺にはO2とCO2を交換する肺胞という組織があり、肺胞に液体が溜まり、O2とCO2が交換できなくなる)

結果、呼吸が苦しくなる症状が起きます。
 肺静脈に血液が溜まってしまうと肺静脈うっ血、肺胞が液体に浸かってしまうと、肺水腫、その結果、呼吸困難が生じるのです

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臨床的に肺うっ血の症状は、喘鳴咳嗽ピンク色の泡沫痰が特徴です、キーワードとして覚えておきましょう

過去問でも、よく選択肢にもなっています


そして、この「静脈うっ血」に加え、あともう一つ大切な症状を補足しておきます

「心拍出量低下による症状」です!

頻脈となり、腎血流量低下から、尿量低下、チアノーゼが起こります

左心不全の症状=「静脈うっ血」+「心拍出量低下」と覚えましょう

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次は、「右心不全」の症状を見ていきます

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右心室から血液が押し出せなくなると、以下の状況が起きます。
① 右心室、右心房に血液が溜まる。
② 右心房へ繋がる大静脈にも血液が溜まる。
③ 全身に血液が溜まり、細胞間質の水分量が増える ⇒ 体がむくむ。

大静脈に血液が溜まる状態を大静脈うっ血と言い、体内水分量の増加によって、浮腫肝腫大腹水胸水の貯留といった症状が起きます

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臨床的には、頸動脈の怒張もキーワードですね

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いかがでしたか?心不全の症状が起きるメカニズムについて、少しでも理解しやすくなって頂けたら嬉しいです。闇雲に症状を覚えるのではなく、どういう仕組みで症状が起きるかが分かると、面白くなると思います

いよいよ次は、薬剤の話になります

 この内容は、YouTube上でも動画で説明しているので、更に理解を深めたい方は是非そちらも見てみて下さい。


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ここまで読んでいただき有り難うございました!

TATSU先生、ありがとうございました、次回は薬剤の話になります、いよいよ薬剤師の本領発揮ですね!楽しみです

TATSU先生のYouTubeもとても分かりやすいのでぜひ参考にして下さい


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