推しに冷たくされたあの日、因果応報を知った
「推しに冷たくされたあの日のことは、今でも忘れられない。」
こんなに全力で応援してきたのに、なぜ?
でも、今なら分かる。あれは、私自身が因果応報を体験した瞬間だった——。
推しにハマったあの日
私にはかつて、人生をかけるくらい熱狂的に応援していた俳優の推しがいた。彼を知った瞬間、もう夢中だった。SNSでも「○○くんカッコイイ〜!」と初めて感想を投稿し、舞い上がっていた。
しかし、それが悪夢の始まりだった。
私の投稿を見たある古参ファンが、突如として敵意を向けてきたのだ。その人は界隈でも有名な「怖いファン」だったらしく、新規ファンが目障りだったのかもしれない。
「こいつウザイからファンやめろ」
そんな引用リツイートをされたかと思えば、現場で出くわしたときもヒソヒソと陰口。最初は無視していたが、毎度のように続くと流石にこたえる。
「推しのために頑張る!」と自分を奮い立たせていた私だったが、ある日突然、その人は界隈から姿を消した。聞けば「出禁」になったらしい。心の中で私はとても安堵した。
新たな嵐の到来
そんな平和な日々もつかの間、2〜3ヶ月後、新しいファンが現れた。彼女もまた、ちょっと強引なタイプで、推しに近づくためなら手段を選ばない。
本来、私は同担ウェルカム派。でも、その子に対しては、どうしても恐怖を感じてしまった。そして、つい友達に愚痴をこぼしてしまったのだ。
「早くファン辞めてくれたらいいのに…」
友達も「分かる」と頷いてくれた。そのときは、それで終わる話だった。
でも、運命は予想外の形で私に返ってきた。
推しの態度が冷たくなった理由
2ヶ月後、推しに関するスキャンダルが報道された。正直、内容自体はそこまで大したことではなかったが、その後の接触イベントで異変が起きた。
推しと直接話せる機会があったのに、彼の態度が妙に冷たい。
「あれ…?」
いつもなら、私の名前を呼んで笑顔で応えてくれたのに。
なのに、その日はまるで「無表情な壁」のようだった。
「え、なんで?」
頭が真っ白になった。
後から考えれば、当時の私は、最初に私を攻撃してきた彼女と同じような雰囲気になっていたのかもしれない。新規ファンを邪魔に思い、心の中で排除しようとしていた。その思いが、自分に跳ね返ってきたのかもしれない。
さらに追い打ちをかける出来事
スキャンダル報道からしばらく経ったあと、推しがとある新しいアプリで配信をすることになった。
その配信アプリの特徴は、視聴者が配信者へ質問やリクエストを送り、配信者はそれに答えるという形式であるということ。
もちろん課金要素もあり、課金した順で送れる質問の文字数や読まれやすさが変わるというもの。
案の定、私はたくさん課金して、5つほど質問とリクエストを送った。他にも課金したファンはいた。
「課金すれば読んでもらえるはず」
そう信じて、私はお金をつぎ込んだ。
でも、推しの口から返ってきたのは、「今回は初見さんを優先にしたいから」 の一言。
まるで、そこに私はいないかのようだった。
彼の声が好きで、「歌ってください」とリクエストしたのですら冷たく断られ、その瞬間、心臓がギュッと縮まる音がした。
「え、なんで?」
推しを辞めて、自分を推す
結局、その日を切っ掛けに私は推し活を辞めた。
推しに冷たくされたことは、今でもフラッシュバックして泣きたくなる夜もある。でも、推しに全てを注ぎ込み、自分を蔑ろにしていたあの頃の私に戻りたいかと聞かれたら——答えはノーだ。
推しを失った代わりに、私は「自分を推す」という新たな道を見つけた。
「因果応報」なんて、昔話のように思っていたけれど、実際は巡り巡って自分に返ってくるものなんだな、と今なら分かる。
あなたにも、こんな経験はないですか?
誰かを羨んだり、排除したいと思ったり——。
もし心当たりがあるなら、それが自分に返ってくる日がくるかもしれない。
だからこそ、これからは誰かを攻撃するのではなく、誰かを応援しながらも、自分自身を大切にして生きていきたい。