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PvPvEとサポートAIの可能性を切り拓いたロボットゲーム『SYNDUALITY Echo of Ada』

(筆者の見識が浅いだけで太古から存在したと思われるが、
あくまで大作シーンに限った話として許してもらいたい。)
(あと筆者はまだまだぜんぜんこのゲームに詳しくない。
というか、なんかよくわからないから最近うけとっていなかった刺激をバチバチに感じ、面白く遊べている。なので「こう」と決めつけるのではなく、頭の中で色々こねくりまわして拾いきれていない面白さを拾おうとしている……という試みであると留意してもらいたい。

PvPvE(プレイヤーVSプレイヤーVSエネミー)。
このジャンルは、「完成」一歩手前のいちばん激しい時期にあるのだろう。
オマケつきPvP(PvE)と思われがちジャンル(実際、タイタンフォール2ではそうだった)だが、それは大きな誤解である…と近年のPvPvE作品は叫んでいるように思う。

本作は、
物資を集めることを目的とした協会員
他プレイヤーから物資を奪うことを目的とした賞金首
の2大勢力に分かれて、フィールドを探索する脱出シューターだ。

筆者は賞金首側をプレイしていないため、
主に協会員側の視点から考察する。
(片手落ちだが、まぁ許してほしい)

両陣営ともロボットに乗り。つい激しい激闘をイメージしてしまう。
が、実態は非対称型対戦ゲーム(デッドバイデイライトなど)に近いように思う。

繰り返しになるが、
協会員の目的は、物資を持ち帰ること
賞金首の目的は、他プレイヤーをキルすること
である。
(厳密には物資の奪取が目的だが、形骸化している)

どの勢力も好きなロボット・装備に乗れる。
しかし、現在は入手難易度や金回りの差から、
協会員側は低レアリティの装備、賞金首は高レアリティの装備、
を採用しがちとなっている。

お互いにまともな腕前を持っていれば、賞金首側が有利。
さらにいえば腕前に関しても、
PvPの経験を無数に重ねる賞金首のほうが上手いだろう。

こうした点から、
PvPのバランスが破綻していると評価されることの多い本作だが、
むしろ、これは狙ったパワーバランスであるように思う

このゲームのPvPは格闘ゲームなどのように、
お互いの腕前を競い合い、激しいバトルを楽しむためにあるのではない。PvEであるが故に、
攻略が進むごとにワンパターン化され、だらけていく探索。
そんな探索の鮮度を保ち続けるためのスパイスそれが賞金首なのだろう。
彼らはワンダリングモンスターであり、お化け屋敷のスタッフさんなのだ。

基本的に勝つことは不可能。
索敵やルートをしっかり考えて「出会わないようにする」しかない。
いつ、どこで賞金首が乱入してくるかわからない……
という「可能性」が、だらけてしまった探索に輝きをとりもどすのだ

これはPvPだけでもPvEだけでも、成立しない面白さだ。
両方が一体化することが前提となったことで、
PvPともPvEともちがう、PvPvEのチューニングが可能になる。

PvPvEゲームとは、
PvPやPvEとは、まったく別のジャンルのゲームなのである。


シンデュアリティ・エコーオブエイダは、
近年の大作ではかなり挑戦的な作品だ。

というのも、最近の作品は手堅い。
客側がどこかで体験したことのある方向性にかならず寄せてしまう。
(それは綿密なチューニングの結果であって、すごいことではある。)
(ネームバリューがない作品は、存在しないも同然の扱いをされる昨今において、新作タイトルというだけで挑戦的ではある。)

シンデュアリティは、
普通にPvP特化の脱出シューターにしてしまうか、
MMOっぽいPvE探索ゲームにしたほうが、ウケは良かっただろう。
しかし、そこで「PvPvE」という発展途上のジャンルに挑戦し、
PvPでもPvEでも成立しない緊張感を生みだしたことはすごいと思う


また、サポートAIであるメイガスを起用することで、
「自分がどんな判断をしているのか」をわかりやすく意識させているのも好印象だ。シンデュアリティのような大局的なゲームは、自分がどこで運命の分かれ道に立っているのか、言われないとわかりにくい。
ゲームプレイの大きな面白さは判断することにあるわけで、
それをうまい塩梅で意識させるメイガスのシステムは革命的
だと思う。

たとえば、
狙撃が活発な場所に踏み込む時、メイガスが警告してくれる。
普通だと、ただ単に運悪く敵がいて狙撃された・・・と思ってしまう所だが、メイガスのおかげで「危ないところを通っている」と自覚することができる
いちど自覚さえしてしまえば
プレイヤーが警告を受け入れて迂回しても、
物資のために無視して突っきっても、
リスクとリターンを天秤にかける楽しみを味わえるわけだ


なんか本当に散文になってしまったが、
ぶっちゃけ書くよりも遊んでいたいので、
たぶん1年後とかにつづきを書きます。
読んでくださった方はありがとうございます。

いちおうSteamに書いたレビューはもうちょっとまとまりがあるので、
下にコピペしておきます。


(10時間の序盤レビューです。01/30 50時間経過、追記しました。)

終末世界を旅行するロボットゲーム。
ロボットに乗り、AIと会話し、旅をする。
独自のプレイフィールを持つ良作です。

主なプレイは、
他のプレイヤーも参加しているワールドに出入り。
落ちている物資やお金を集める……というものです。

このワールドは危険に満ちています。
青白い雨が降り、盗賊団が徘徊し、魔物が跋扈する。
他のプレイヤーのロボットが襲ってくることまであります。
しかし、同時に恵みに満ちた土地です。
お金となるAO結晶。ガレージやロボットのための素材。きれいな風景。
さまざまなものを集めながら、帰還エレベーターまでの道をたどります。

道中は孤独ではなく、
常にサポートAIであるメイガスが語りかけてくれます。
視界にとらえた敵、探していた素材、ロストの多い危険地帯、肥沃な地域。
プレイヤーが見落としてしまいそうな、世界の様々を教えてくれるのです。

メイガスたちから出された提案を、時に了承し、時に断る。
どこか会話のようなやりとり。

現地で出会ったものにたいして、感想を言い合いながら。
アクシンデントに叫び、サプライズをともに喜び。
お土産をたくさん拾い集めながら、帰還エレベーターまで旅をする。

このプレイフィールがすばらしいです。まさに旅行のソレ。
他のプレイヤーが優しいけど信用できない点とかも、旅行に似ています。
ヤバいところに突っこんでゲラゲラ笑いながら逃げる
(そして倒される)(リアルでそんな真似はやめましょう)所とかもマジで旅行です。
ロボットゲームでも日常っぽいシーンやりてえよ!
という、今まで空白となっていたゲームプレイを、存分に楽しめます。

しかし、疑問がはさまるでしょう。本当に旅行として楽しめるのか?
本作は、撃破されると装備を全部なくしてしまうという、ハードな仕様です。
危なすぎる……。
しかし、ハードなゲームだと思って始めると、退屈すぎて面食らう作りなのです。
なぜかというと、このゲーム、目標らしい目標がありません。

もちろん、必要なお金、必要な素材、挑戦できる依頼は山ほどあります。
いくら巡っても巡っても、なかなか集まらずに嫌になってしまうほどです。
(装備をロストしてしまえば、
出費がかさんで二歩もどるハメになるのだから、なおさらです。
倒してきた相手がプレイヤーであれば、恨みは更につのるでしょう……。)

しかし、ガレージに戻って冷静になってみると、
特にやれることが変わらないことに気づきます。

上記で語った旅のプレイフィールは、ぶっちゃけ初期装備でも変わりません。
もちろん、
より敵が倒しやすくなったり、より移動が速くなるといった変化はあります。
しかし、逆にいえば、そういった強さ以外はなにも変わりません。

数値がインフレしていくだけで、初期とおんなじことの繰り返しです。
(しいて言えば、
他のプレイヤーを襲いやすくなるので、PvPという遊び方は増えると思います)

どんな成果をあげても、それは最終的に強い機体に還元されます。
そして、強い機体はもっと成果をあげやすくなります。
成果をあげやすくなると強い機体が…あれ?なんのために成果あげてんの?

やはりこのゲーム。目的らしい目的がありません。
これによって、ハードなはずのゲーム性がとてつもなくライトに変化しています。
自分で目的ラインをきめて、その道中の一喜一憂を楽しむ……そんな感じです。

(いちおう、一部の依頼をすすめると、
ストーリーモードにアクセスできるという特典はあります。
ランカー以外の多くの人にとって目標となるのは、ここかもしれません。)
(いわゆるランカーを目指す場合は、上記のようにライトではないと思われます。)

またゲームスピードの遅さも、ライトさに拍車をかけます。
本作は、ロボットの動作が重いです。
そのため絶体絶命のピンチに陥るまでに、十分な猶予が生まれます。
もちろん、めちゃくちゃ上手い人に速攻でボコられるみたいな状況もありますが、
たいていの場合は、危険を避けたり、逃げたりする猶予があります。
「気をつけて」さえいれば、ある程度どうにかなります。

操作に関しても、一部をのぞいて簡単です。
もちろん、上手さの概念はありますが、
競技色の強いEスポーツ系と比べると、操作で差をつけるには限界があると感じます。
装備に関しても同様で、バリエーションの少なさがそのまま敷居の低さにつながっています。
このあたりも非常にライトだと思います。
本格的な戦闘のゲームは、
腕の差をつけるために無限に知識やテクニックを作りますが、
そういった膨らみを圧縮してデフォルメしたかのような、とっつきやすい印象を受けます。

ただ本作は、危険ありきの旅行であることはたしかです。
このゲームは終末世界です。
きれいな風景をのんびり眺めていても、常に危険が供にあります。

基本的には穏やかなのに、時折キバをみせる。
本作はライトであるがゆえに、ハードさがのぞいたときにプレイヤーを鋭く傷つけます。
人によっては、しばらく烈火のごとく怒るでしょう。失望も感じるでしょう。
しかし、危険が隣にあるからこそ、
メイガスとのんびり走るだけの時間を楽しく感じられるのだと思います。
一度やられた場所に再びふみこみそうになったとき、
メイガスがそっと警告を囁いて止めてくれる。筆者はなにか、感じ入るものがありました。

終末世界での旅行体験。
遊ぶだけならシーズンパスもいらないので、気軽にプレイしてみてはいかがでしょうか。
仮に過疎になっても、むしろそのほうが遊び易いまであるゲームです。
(でもアルティメットエディションをかったうえで、
少年のえっ○な衣装を1500yenで売りつけられたことには愛憎を感じています。)

(昨今のゲームって完成度は高いけど、みんな同じだよな…
と思ってしまう変わったもの好きには、特にオススメ。)

01/30 50時間遊べたので追記。
上記の感想そのものは、ほぼ変わりませんでした。
オンラインアップデートが継続・調整されていくタイトルのようですので、
今後プレイフィールが変わるかもしれませんが、ひとまずレビュー更新は〆とします。
遊びたいから…。

追加の感想がひとつだけ。
本作は、出会ったプレイヤーによって体験がガラリと変わります。
似たゲームがありそうでないゲームだからか、目標があいまいなゲームだからか、
プレイスタイルが千差万別です。

協会員どうしであっても睨み合い、警戒する。
高所から襲撃し、物資を奪い取る。
強敵と戦っているプレイヤーを邪魔して、間接的に物資を奪おうとする。
なんてプレイは、ゲームの仕様から想像がつくとは思いますが、

ぴょんぴょん挨拶して、ただ通り過ぎる。
危ない敵との戦闘にかけつけて、援護射撃してくれる。
アイテムをくれる(or譲ってくれる)。

みたいな、優しげなプレイも見られます。
平和なプレイヤーと過激なプレイヤーでマッチが分けられているのでは?
という推測がなされるほどに、出会うプレイヤーによって雰囲気がガラっと変わるのです。
(公式の発表がないとなんともですが、
誤射率0%でも平気で賞金首さんがいる部屋に叩きこまれるし、
初心者さんらしき人にも出会うので、
01/30 現状のマッチングは闇鍋だと思われます。)

これが非常におもしろい所で、旅に思わぬサプライズをもたらしてくれます。
いわゆるPKである賞金首さんも常に戦闘態勢にあるわけではなく、
挨拶しあって、お互い遠巻きに離れることもあります。
(対人慣れしているので、
対高所・対複数といった不利な状況ではしかけないことも。)

リスクやリターンの大きさをとって他のプレイヤーを避けるか、
いっしょにいる安全を重視して近くで活動しつづけるか、
他のプレイヤーの駆動音が聞こえるたびに、判断がおとずれます。

こうなってくると、
ゲームの仕様どうこうというよりも、人がどう動くかです。
この雰囲気のガラッとした急変化がハラハラするというか、楽しみになってしまいます。

筆者は、
平和な世界にびっくりしながら穏やかに過ごし、
協会員さんに背後から斬られて修羅の国なったと戦慄し、
一緒にエンダーズと戦った賞金首さんに見逃してもらい、
協会員さんとふたりで固まって賞金首さんを追い返し、
かと思えば目の前で賞金首さんに狩られる初心者さんをみたり、
出口に強い敵がいて震えてたらスナイパーさんが遠くから倒してくれたり、
4人で集まってぴょんぴょんジャンプして宴会したり、
毎日、あまりのギャップに脳を焼かれています。カオスです。



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