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Christmassy


イブの夜。
シュトーレンの最後の一切れを食べ終わった。

私の世界から彼女の息吹が消失してこの5年というもの、イブをひとりで過ごすのが恒例となった。

クリスマスまでのアドベントのあいだ、計ったように切り分けたシュトーレンを食べながら私が待ち続けたのは、ほんとうのところクリスマスではなかった。

「待った」というのとは少し違う。「消費した」のほうが私の真実には近いのかもしれない。私の目的は、シュトーレンの思い出とともに過ごすことなのだから。

彼女が生前、よく作ってくれたシュトーレンはほんとうに美味しかった。笑顔が溢れるのはもはや必然で、珈琲よりも紅茶がよく合っていた。その彼女とのクリスマスまでの4週間に交わしたタカラモノのような言葉の数々を思い出す。

一日ひと切れずつ食べるごとに一つの会話を思い出す。こころのなかに灯ったロウソクのような優しく小さな灯りを、まるで手のひらで守るように大切に、大切に。
この目に見える世界とは違う何処かにあるだろう魂の世界で、彼女は今日も元気でいるだろうか?今日も笑顔でいるだろうか?楽しんでいるだろうかと。そして願う。私は最大級に願う…どうか、どうかと。

そしてイブの夜、一切れのシュトーレンとともに最後の思い出を振り返ったあと、人知れず涙を零した。
けっして悲しい涙などではない。ヒトというのは、嬉しいときや、幸せなときにも涙を流す生きものなのだから。

その温かいものが溢れた時間……私にはそれこそが何物にも代えがたいクリスマス・プレゼントに思えるんだ。ありがとう、ありがとう、ありがとう。

今年も、こころの温まるイブの夜だった。
そして、メリークリスマス🎄🕊🔔

『書く習慣アプリのテーマ/イブの夜』より

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