学習された無力感
ある実験で、犬がどうやっても回避できない状況で電気ショックを与え続けると(犬がかわいそう・・・!)、
その後簡単に電気ショックを回避できる状況に犬を移動させたとしても、回避はせずじっと電気ショックを耐え続けるだけになってしまったということです。
「どうせなにをやっても、どうあがいても無駄なんだ・・・」
と犬が無力感を学習してしまったということで、このような状態のことを「学習された無力感」とか「学習性無力感」と呼んだりします。
このような学習された無力感は人間でも同様であることがわかっているようです。
プロのアスリートでも「早生まれ」より「遅生まれ」の人の方が圧倒的に多いということがデータでわかっているようですが、これもこの「学習された無力感」が大きく影響していると思っています。
実際に私の息子は今小学校4年生なのですが、2月生まれの早生まれで、例えば4月生まれの子と比べると10ヶ月、ほぼ1年近く生まれた時期が違うわけです。
大人になれば1年生まれた時期が違うくらい全然大したことないですが、この時期の1年の違いはかなり大きくて、「ほんとに同級生?」と思うような子達が同じクラスに混在していたりするんですね。
そうなるとやっぱりなかなか遅生まれの子には勝ちづらくなるわけですよ。
特にスポーツ関連なんかは遅生まれの子とは体格が全然違うので。
この一番多感な時期に遅生まれの子に負け続けた早生まれの子が自信を無くしてしまって、その後の人生でも「どうせ俺なんて・・・」となってしまうのは実際に見ていてもわかるような気がします。
私が会社員でSEをやっていた時に、年も近くて仲良くしていた人がいました。
明るくてひょうきんだし、人柄もすごく謙虚で私は好きだったのですが、どうにも上司とソリが合わずにいつも上司からガミガミ言われていました。
「ガミガミ」なんて一言で済ますのは生易しいくらい、嫌な上司だったのでいつもネチネチと重箱の隅を突つき、ちょいちょい仕事とは関係のない人格否定をしてくるような感じで、パワハラが社会問題になっている今だったら余裕で訴えられていたレベルだと思います。
365日そんな感じで言われ続けたその人は、最後本当に人が変わってしまったかのごとく無気力で暗く、自分からは決して何一つ提案しないような感じになってしまいました。
今にして思えば、完全に学習された無力感の典型例だったような気がします。(ちなみに私もその上司とバチバチやりすぎてかなり精神すり減らし鬱手前までいきました)
この学習された無力感にある状態ではおそらく何をやったとしても上手くはいかないと思います。
これを回避するためには、まずは「学習された無力感」という概念を理解して、「自分は今学習された無力感状態になっている」と現状を認識し、受け入れることが必要だと思います。
この状態は決して特別なものではなく、どんなに精神が強靭な人だったとしても、電気ショックを与え続けられた犬の様な状況に置かれれば確実にそうなってしまうのです。
コーラを飲んだらゲップが出るっていうくらい確実です。
生理現象と同じで、仕方がないのです。
まずは現状を認めた上で、あとは小さくてもいいから成功体験を積み重ねていくことだと思います。
他人から見たらどんなに小さく見えるようなことでも良いと思います。
本を1ページ読むでも良いと思います。
ブログを1行書くでも良いと思います。
何かを少しでも達成できたら自分で自分をたくさん褒めてあげるようにすると良いと思います。
リハビリみたいなもんですね。
私も息子を早生まれとして産まれてさせてしまった分、すごくくだらないことでもいつも褒めちぎるように心がけています。
この学習された無力感というものは、結構やっかいで人生の色々なところで邪魔をしてきます。
そういう概念があると知るだけでもだいぶ違うと思うので「私なんか・・・」「どうせ・・・」と考えがちな方で、この概念を知らなかった方は参考にしてみて頂ければなと思います。
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