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140字小説【警笛が聞こえた】

山沿いに古びた駅舎が一つ。時計は止まっていた。とうの昔に廃線になり、誰も乗り降りしないプラットフォームに、私は毎日立つ。ここには列車が来るという噂があった。長旅の果てに一度だけ止まると。ある日、いつものように立っていると、かすかに警笛が聞こえた気がした。待つだけの時は終わったと。


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こし・いたお
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