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140字小説【罪人の迷路】

その迷路には空がなかった。壁は大人二人分ほどの高さがある。死刑囚は刑執行を言い渡されたあと、絞首刑か迷路に挑戦するかを選ぶ権利があるのだ。迷路の中心にあるヘリポートに取り残された死刑囚は、広大な迷路の出口を求めて彷徨うことになる。もちろん死刑囚には迷路に出口がないことは伝えない。

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こし・いたお
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