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140字小説【五重塔】

電車を乗り継ぎ誰かに導かれるようにやって来た。覚えている。一年前、ここで私は独り呟いた。「成功の階段なんてない」目線の先には五重塔。下から地、水、火、風、空を表現している。私の心と同じ吹き抜けだ。手放したものはどこへ消えたのだろう。重さだけが抜け落ち、空っぽの私は風を感じていた。

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こし・いたお
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