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140字小説【のし餅】

母がなけなしのお金でのし餅を買ってきた。私の好きな昆布入りだ。子どもながらに気づいていた。一人親で稼ぎも少ない我が家にそんな余裕はない。母は餅の代わりに何かを我慢したに違いない。テレビから流れてきた餅を喉に詰まらせたというニュース。噛み締めながら少しずつ食べていた私は鼻で笑った。

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こし・いたお
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