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140字小説【私が背負うもの】

縦長のザックに必要最低限の荷物を詰め、今日も私は、森を抜け、山道を登る。雲の上から泥仕合のような世界を見渡してから、綱渡りするように尾根を進む。かつて、私の荷物は今より遥かに重かった。一つ、また一つと整理した。過去に囚われて泣くことも減った。私は今、自分の荷物だけを背負っている。

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こし・いたお
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