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師走の朝、私は窓の明るさにハッとして飛び起きた。時計は9時を指している。寝過ごした!慌て…
彼女は自分に自信が持てないらしい。いつも悩ましげに手鏡を見ている。僕はそんな彼女に片思い…
友人に誘われやってきた秘密のオークション会場。次々と何かが競り落とされていく。けれどいく…
山奥にある小さな村は、古くから魔女の呪いに縛られていた。村人は決して嘘をつくことができな…
私の受け持つクラスには、毎年、ユニークな自由研究に励む生徒がいる。今夏のテーマは濾過装置…
私は駆け出した。今しがた道を訪ねてきた青年を追いかけた。教えた道順の誤りに気づいたからだ…
私の両親は仮面夫婦。稀に必要な時だけ事務的な短い言葉を交わす。私は家族の未来を危惧していた。ある日の朝、休みを利用し旅に出た父。母と昼食をとる私は「どこ行ったんだろうね?」と母に振ると、スマホを見ながら「今、高山駅の近くを歩いてる」と言った。仮面夫婦だけど位置情報は共有していた。
「半月で貯金が1億に到達したぞ!!」パソコンの前で鬼の首を取ったように叫ぶ父。目の据わっ…
僕は高三の春に転校してきた女子と付き合い始めた。彼女の可愛い癖に一目惚れしてしまったのだ…
賊の眼前を一匹の黒猫が横切った。「あれ?急に景色が変わったぞ」魔女の棲む地下迷宮の最深部…
「またゲームしてたの?仕事は探さないの?」「僕には夢があってね、永久機関を作りたいんだ。…
学生時代の記憶が甦る。隣席の女子と些細な内容の文通をしていた。ノートの切れ端に書いて折り…
私は娘を養うために人型ロボットの製造工場で働いていた。人のように会話し、指示すれば単純作…
「私にもしものことがあったらこの箪笥はあなたが持ち出して。真ん中の引き出しに大切なものが入れてあるから」パズル好きな母は生前そう言っていた。心配性の母のことだ。おそらく一人暮らししながらコツコツ貯めたヘソクリでも入れているのだろう。でも真ん中の引き出しは開かない。からくり箪笥だ…