動物飼いたい人間が限界を迎えた話(前編)
動物が飼いたい。
種類問わず動物が好きすぎて、毎日動物動画を種類問わず見まくり、その愛くるしさにニマニマしている。
しかし、悲しいことに当方が住んでいる賃貸がペット不可。
それでもいつか飼いたいのでペットを飼った時のために必要な情報やら器具やらを勉強したりサイトを巡回したり、何とも涙ぐましい努力を続けている(自分で努力と言う物ではない)。
そんな不毛とも思える日々を積み重ねる中で、「何かを飼いたい」欲は徐々に歪な変形を始めていた。
百円ショップで見つけた多肉植物
ある日、近所の百円ショップの店頭に多肉植物コーナーが出来ていた。
その中で「マッコス」というネットネタが好きな人であれば反応せざるを得ない名前の植物を購入した。ほんの出来心だった。
衝動買いにも近い状態で多肉植物を手にした私は、ブラウンハンドの異名をもつ母の遺伝子を継いでいながら「邪神」と名付けて育て始めたのである。
……結果として、休眠期の水やりおよびまだ寒い中外気にさらしすぎたことが原因で邪神はみるみる弱体化し、お星様となってしまった。
植物とはいえ、自身以外の生命に愛情を注ぐことに少なからず幸福感を得ていた私は、ホームセンターにて半額で叩き売りされていた多肉植物を買った。
今度はそう易々とは死なせてなるものか。
サイト巡回による情報収集を駆使して、お買い上げ後一週間は屋内で環境に馴染ませる。
食堂宅は初めてか? ゆっくりしてくれ。
徒長(日光を求めてニョロニョロ茎が伸びること)しまくり、あちこち葉がモゲてる。葉っぱも病気なのかところどころ変色している。
おまけに別の鉢から落ちたのか、ヒョロヒョロの干物のような植物が土の上に落ちている。
なんだこれは、まるでスラム街だ。
小さな鉢の中の治安の悪さに驚きながら、剪定をしつつ様子を見る。
数週間は週一の水やりで経過観察を行った。そして日中は外に出し、日光をたっぷりと浴びせ、夜間は冷えるので屋内に取り込むという洗濯物と同じ扱いで過ごしていただいた。
そんな鉢の中が最近大きな変化を見せた。
一番わかりやすいのは手前の葉がモゲた子だろうか(仮にモゲ田と命名する)。
モゲ田の葉の根元に何かが生えた――脇芽である。
最初は小さなプチだったものが、日に日にブリブリに肥えていくのである。
おまけにこちらも脇芽が生え始めた。病気と思しき葉をもいだところから軒並み生えている。ほほう、親株というか太い茎のものは強いんだな。
と思っていたらこいつである。
もうシナシナで干物のようになって倒れていた子がまさかの復活である。
相変わらず小さいが、しっかりと頭を上げて真緑になっている。あの状態からでもちゃんと根っこが出ていたことがすごい。
多肉植物の生命力の強さに驚かされる。
邪神の死は無駄にはならなかった。
まったく品種がわからない子達だが、復活しつつある。
手間暇をかけた分、きちんと姿で見せてくれることに感動した。
植物を育てることも十分「飼う」ことなのではないか。
そんなことから、生き物を飼いたくて限界を迎えていた人間は、ある日を境に多肉植物を飼い始めることに情熱を注ぎ始めるのである。
そして更にあることをきっかけに、目に見えない生き物にまで手を出し始めるのである。それはまた次回。
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