【古事記】黄泉の国 ~解説編~ 小ネタ6選+α
どうも、いろはです。
黄泉の国のストーリがさらに面白くなる小ネタを6つ+αを紹介します。
まだ、前回の黄泉の国のストーリを見てない方はコチラもどうぞ。
1.黄泉の国と比婆山の関係性
以前の神生みで、イザナミの遺体を比婆山に葬ったと紹介しました。
しかし、今回の黄泉の国では、黄泉の国でイザナミを発見したことになっています。
そのため、黄泉の国=比婆山とも考えられます。
でも、わざわざ、「黄泉の国」と表していることから、黄泉の国と比婆山は別々の場所を表しているとも考えられます。
例えば、遺体は比婆山に安置し、魂は黄泉の国にあるという思想があったのかもしれません。
まるで、「遺骨はお墓にあるけど、家の仏壇に故人に手を合わせる」、日本の仏教の考え方と共通していますね。
2.黄泉の国への入口、黄泉平良坂は何処にある?
黄泉の国のストーリでは、地上と黄泉の国は、黄泉平良坂という坂で繋がっています。
そのため、黄泉の国に行くには、黄泉平良坂という坂を下る必要があります。
この黄泉平良坂は、古事記に「出雲国の伊賦夜坂にある」という記述があります。
島根県東出雲町には、揖屋神社があり、この神社の場所が黄泉平良坂と云う伝承があります。
伊賦夜坂の伊賦夜がなまって揖屋となったと言われています。
しかも、この揖屋神社の近くには、千引岩とされる岩もあり、雰囲気のある神社です。
「死後の世界に歩いて行ける」まさに、神話的で面白いですよね。
3.黄泉の国は、古代のお墓のこと?
黄泉の国ストーリでは、黄泉の国は、死後の世界のように描かれていますが、実は古代のお墓のことを神話にしたと言われています。
古代、お墓は横穴式石室と言って、大きな石に横穴を開けたお墓がありました。
この横穴式石室を見ると、次のように思えます。
黄泉の国:棺を安置する玄室
黄泉平良坂:玄室に向かう階段と通路
千引岩:お墓の出入口を塞ぐ岩
なんだか、「黄泉の国」=「横穴式石室」と思えてきますよね。
4.「一つ火」は不吉な予兆
黄泉の国のストーリでは、イザナギが黄泉の国の中で、暗いからと言って櫛に1つの火を灯し、腐敗したイザナミを見つけてしまいました。
それが原因でイザナギとイザナミの大喧嘩が始まりました。
そのため、暗闇での一つ火は、「不吉」や「縁起が悪い」と忌み嫌われるようになりました。
今でも、神棚や仏壇などに供えるローソクは、一つ火にならない様に2つのローソクを供えします。
ちなみに、コックリさんをする時や怪談話をする時は、一つ火で行うのが主流だそうです。
こわッ!
それにしても、火の神様 ヒノカグツチが生まれてイザナミが死んでしまい。
イザナギが火を灯したことで、イザナミと大喧嘩になってしまい。
火に振り回されてばかりですね。
そーいえば、「災」という漢字には、「火」の文字が隠されていますよね。
この「災」という漢字の成り立ちには、黄泉の国のストーリが関係しているかもしれませんね。
そう思うと。「災」の上にある3つの「く」は、イザナギ、イザナミ、ヒノカグツチの三柱を表している様に見えます。
5.人間の起源
古事記では黄泉の国のストーリで初めて「人間」についての記述があります。
それが、イザナギが助けてもらった桃に対して、
「俺を助けたように、地上に住んでいる人間が困っていたら助けてあげてね」
と言ったときです。
このイザナギのセリフで、古事記に人間が初登場します。
人間がどうやって生まれたなどの、人間の起源については一切触れられていません。
ギリシャ神話やエジプト神話などの、他の神話では「神が人間を作った」などの人間の起源となる神話があるのが一般的ですが、古事記には全くありません。
人間の起源がない。日本神話の特徴の1つですね。
6.桃は救世主
八柱の雷神と1,500の軍勢に追われていたイザナギを助けた桃。
古事記では、桃はイザナギの救世主となりました。
古代、桃には強い霊力が宿っていると信じられていました。
そのため、イザナギが桃で、八柱の雷神と1,500の軍勢を追い払えました。
「桃太郎」や「桃の節句」など、今でも「桃」は縁起物とされています。
これが後に「桃」から「豆」に変わり、今の「節分の豆まき」になったと言われています。
ちなみに、桃を投げる前は、イザナギは「後ろ手で剣を振る」っていましたが、これは相手に呪い掛ける行為です。
後ろ手のように、普段と逆の作法をすることが「呪い」をかける行為となるようです。
例えば、手の甲で拍手をする「逆拍手」なども呪いの一種だそうです。
ただ、呪いをかけると、その分、自分にも不幸が訪れるようです。
+α.青人草とは?
イザナギが桃に助けられたとき、
「私を助けたように、葦原中国に住む青人草が苦しみにあっているとき、同じように助けてやってくれ!」
と言いました。
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