「転職が全てを叶えてくれる」夢から覚めた5年後、私はフリーランスになった/真由美さんのLife story
一年前の2023年1月31日。10年間の会社員生活にピリオドを打ち、フリーランスになった真由美さんは一年後、当時出勤前に勉強やコーチングをするために毎日通っていた、新宿駅前のいつものカフェにいた。
「今日は、あの頃に乗っていた電車の30分後のに乗って来たんです。たった30分。その選択ができなかった当時は、こんな世界があるだなんて知らなかったなぁ」
飾らない自分で、そのままの想いを言葉に遺しておきたい。独立一周年の節目に、自分から溢れ出てきた想い。インタビューを通して語られたストーリーを、これからも歩み続ける真由美さんに向けて贈ります。
目に見える大きな変化こそないものの
━━「職場が近いから」ではなく「この場所を目的に」して来た今は、どんな心境ですか?
真由美さん:意外と冷静というか、当時と比べて大きく変わったことってないなと感じたけれど、まさかこんな未来が待っているとは思ってなかったですね。ここに着いてから、ルーティーン化された日常を変えるために必死だったなぁって当時のことを思い返していたし、やりたいことがあるのに、会社に文句を言うだけの自分が嫌でそこから抜け出そうともがいてたなぁって。
━━去年の2月に独立された真由美さん。そもそも、独立願望はあったんですか?
真由美さん:独立という言葉にはピンときてなかったものの、会社員じゃない自分ってどんな感じなんだろう?っていう好奇心みたいなものはあったと思います。新卒で入社した会社から転職した、5年前から。
会社員一年目/改めて気付く想いの根源
真由美さん:新卒でアパレル会社に入社をして、それこそあそこ(カフェから見える新宿駅前)のルミネで販売員として働いてたんですよ。でも私、販売員なのに「いくら売った」とかに燃えないタイプだったんですよね(苦笑)
目の前の人を笑顔にしたいという想いはあるけれど、シフト制の労働環境や苦手なことをしている状況に自分がだんだん疲れていく感じがして。その時から「目の前のお客様」よりも先に、まずは「スタッフ(チーム)」が幸せに働くことが大事じゃない?って考えることに関心があることに気付いて。
みんなが得意なことを伸ばしたら、チームもお客様も幸せじゃん!って、バックオフィス希望の意志が芽生えてきたんです。
━━現在、個人のライフデザインに携わっていたり、プロジェクトのチームリーダーをされている真由美さんの想いの原点は、新卒時代に見つけていたんですね。
真由美さん:今思うとそうかもしれません。とはいえ、当時は頑固な一面もあって、店長に「その方針には沿えません」ってストレートにぶつかったり、チームの一員としては扱いづらかったと思います(笑)
その後、社内でなんとか自分を活かせる活路を見出したくて人事に直談判しに行ったり、最終的には採用プロジェクトに携わったりスタッフの教育担当に着くことはできて。
ただ、やっぱり違和感は消えなくて、今の自分が抱えている理想は、全部転職が叶えてくれると思うようになったんです。だから入社して4年後、安定した9時6時の事務に転職をしたんですけど、実際はそうじゃないことに衝撃を受けたんですよね。
「転職が全てを叶えてくれる」は夢だった
真由美さん:転職先の会社自体は、超がつくほどのホワイト企業で。残業もないから、最初こそ「やったー!」と思って仕事終わりの時間に海外ドラマを観たり、ご飯を食べに行ったりって楽しんでいたんですけど、ふと「あれ?これを求めてたんだっけ?」「これっていつまで続くんだろう?」って疑問が湧いてきて。
━━仕事もしているし、趣味や自由な時間も持てた。やりたいことは叶っているはずだけど、望んだものではなかったんですか?
真由美さん:そうなんです。心が満たされない感じというか、求めていた充実感はこれじゃなかったなぁって思って。同時に、きっと次転職しても同じだろうなとも思ったんですよね。
その頃、ちょうど【副業・複業】とか【起業】という言葉が流行りはじめた時期で、単純な思考の私は「スキルはないけど、時間はある!」って、まずはカフェのアルバイトから始めたんですよ。
━━定時に上がれる仕事についたのに、仕事時間増えてませんか!?
真由美さん:おっしゃる通り(笑)結果的に、仕事終わりと土日に働いてって生活が一年続いたんですけど、これまで会社一本だった私には“こんな生き方もあるんだ“って選択肢が広がった気がしたんですよね。
そこからはシンプルすぎて恥ずかしいんですけど【時間はあるけどお金がない事務員】→【お金はあるけど体力がない複業生活】→【パソコン一台で働ける生き方】にシフトして、Webデザインを学び始めたんです。
可能性を見つけたのに、諦めるなんてもったいない!
真由美さん:思っているものをカタチにできるWebデザインが楽しいと思えたし、スクールを受講し終えた後も、ご縁あって卒業生をサポートするお仕事を頂いて。そこで人生を良くしたいと思ってこの場所に集まる人のサポートができるって、すごく良い仕事だなと思って!
でも、現実はデザインを学んだ後に辞めちゃう人が沢山いて。せっかく可能性を感じて入ったのに、もったいないな……って思ったんです。
その時、私はツールを使って教えるというよりも、もっとその人に寄り添って、人生を良くしたいと思う人の伴走をしたいと思うようになりました。
━━(だんだん今の真由美さんのコアに近づいている気がする…!)そこからコーチングの道へ?
真由美さん:はい。2020年だったかな?ちょうどその頃出産のタイミングが重なって、息子を生んだ2ヶ月後にはコーチングを学んでましたね(笑)
同時期に他にも資格を学んだんですけど、取った理由すら忘れるようなものだったなぁ……。きっと、出産・育休のうちに会社員以外の働き方を見つけておきたかったんだと思います。
━━転職したけど変わらない、じゃあどうする?の答えを探して、自分でテストを持って来ては受け、採点するけど求めた答えはなくての繰り返しだったんですね。
真由美さん:本当にそうで。早く見つけたくて必死でした。一度止まってしまったら「私はこの生活で我慢すればいいんだ」って自分の限界を決められたような、転職したてのあの頃の自分に戻りそうで、諦められなくて。
ただ、私は戦略家ではないし、行きあたりばったりだったんですよね。旦那さんにも「いつまで続けるの?」って言われていたし、応援してくれる反面「コーチング?Webデザインはどうなったの?」「会社員の何が嫌なの?」って聞かれたり。
その問いかけは、なんでだろうって言葉にして立ち返らせてくれるきっかけにもなっていたなぁとも思います。気持ちや視点を高めてくれるというか。(ただ、毎回冷静に現実を突きつけられるから、誤魔化したくなったり、心が潰されかけるんですけどね(笑))
「その日」は突然決まった
━━転職した後も模索し続けてきた4年間。その4年を経て、大きな一歩を進められた決め手は?
真由美さん:昼間の時間に耐えられなくなったんです。「この会社で、私何やってんだろう」って。仕事はロボットのような業務。おまけにコンプライアンスに厳しい会社だったから「土日何してた?」なんて人間らしい会話もなくて、人との距離感が遠くに感じる職場で。
面白くないなぁって言ったら語弊があるけど、私がやる意味あるのかなって。
さらに、育休明けに移動した先の部署が法務部で、自分の強みを何一つ活かせる場所でもなかったんですよね。
━━わ、環境的に追い込まれている感じが……。
真由美さん:そうなんです!「まだ辞めないの?決めないの?これでも?」みたいなね(笑)ついには旦那さんにも「いつまでやるつもり?」って聞かれちゃって。もうこれは決めるしかない!って腹をくくって「今年いっぱいは大目に見て」って約束したのが2022年の始め。
そこから退職する前の10ヶ月、出社前の朝8時半にはこのカフェで業務委託を受けていたコーチングをして、会社の昼休みの半分も、帰る電車に乗る前の時間にもコーチングをしたり、とにかく有言実行!っていう勢いでしたね。
━━ラストスパートというか、行動量がすごい!
真由美さん:旦那に宣言しちゃったし、違和感を抱えた生き方が限界だったんですよ。宣言した年の10月には、これまでやってきたことや想いを詰め込んだコーチングと起業コンサルの伴走サービスもリリースできて、伴走できる方2人とも出会えて!そこでようやく、会社員を辞める期日を決めたんです。
独立一年目/不安と怖さを味わいきる
━━ある意味一直線に、でも紆余曲折しながら退職した去年。それからのこの一年はどんな時間でしたか?
真由美さん:一言で言うと、苦しかったけどすごく満たされていた時間だったと思います。自分で人生の舵をきれたというか。
今話していて気付いたんですけど、この場所に来て"あまり変わった感じがしなかった"のは、やっていること自体は変わってなかったからだったんですよね。
会社員の時は自分で決めているようで「会社員である自分」が軸だったから納得感がなくて。でも、会社員じゃなくなったらなくなったで、肩書や見られ方に迷う時もありました。
「何者かになろうとしていませんか?」って発信しながらも、自分は「コーチングの人なのか、コンサルの人なのか。それともWebデザイン?」って、何者かになろうとしていていたなぁ。
真由美さん:いろんな不安に襲われる度に、その負の感情が伝わるんじゃないかと思っちゃって、伝えたい想いはあるのに発信が怖くて止めたり、止めたことでまた不安は大きくなって……って、悪循環になったり。
そんなもがいた自分にさえも、今、ありがとうって思えているのは、その不安を見過ごさずに感じ切ったからこそ知れた”本来の自分”がいたからだと思います。葛藤の渦中のタイミングで、DANROスクールで対話を学んだり、出会った人との対話を通して、目を背けずに向き合えるようになったし、人に不安を話せるようにもなったんです。
━━これまでは言えなかったんですか?
真由美さん:情けないなぁと思って隠そうとしていたと思います(苦笑)でも、本当にしんどい時に、旦那さんに話したら「今生きてるからいいじゃん」って言ってくれたことがあって。それがすごく嬉しかったんですよね。年末にはもうひとつ大きな壁というか、無意識に自分に制限をかけていた親との過去に向き合える時間もあって。
「真由美」という本来の私
真由美さん:特に、親との関係は「今は仲が良い相手に、なんでわざわざ掘り起こすようなことを」って思ったんです。愛情を注いでくれた親を否定することになるんじゃないかとか、今の関係でいいならいいじゃんって葛藤もあって。
でも、そういう見て見ぬふりしてきたことにも向き合い続けることができたことで、「私なんて」って自分の存在を心から受け止められていなかったことにも気付けて、それも全部受け入れられたんですよね。
━━今ある大事な想い、自分や他者との関係性をより大事にしたいと思えるような、一つひとつ確かめていく時間だったんですね。
真由美さん:そうですね。会社員を卒業したからこそ、本来の自分にとことん向き合えた一年だったのかなぁって思います。
━━真由美さんはこれまでも自分を生きていたけれど、例えるなら「会社員である私」という脱げずに着ていたコートがあって。それを脱いだ時、一体化しすぎて想像できなかった「本来の自分」と、やっと向き合えるようになったんだなって感じました。
真由美さん:そうかも……!寒くなってようやく自分の体温を知って、心地良い温度って何度だろうって今の自分に合う選択ができるようになったというか。今はちゃんと「私が選んでる」って実感があります!
それができたから苦しいけど満たされていたし、この一年間の自分には「その選択をしてくれてありがとう」って感謝しかないですね。諦めることもできたのに、苦しみも味わいながらもずっと前を向いていたのは、私にとって大きな自信になったから。
確実に良い方へと歩けている実感
真由美さん:一年前の今日、会社を辞めたことが適格だったのかは分からないけれど「最適だった」と思えるのは、自分の意志で決めたからだなと思います。誰かに言われていたら「ほらね」って、苦しい時ほど人のせいにしていたと思うから。どれも必要なプロセスだったなって今だから言えるし、そう言い切れるのもまたよかったなって思いますね。
━━今、とっても清々しい笑顔をされていますよ?
真由美さん:(照)話していて改めて、大きな何かがあったわけじゃないけど、それでも十分願っていた人生を生きれているし、今までで一番「生かされていたな」って実感してます!
それは、家族やクライアントさん、関わってくれる人みんなに支えられたから。だから、ますますみんなのためにも頑張ろうって思ってるんです!
━━真由美さんが燃えている…!
真由美さん:潜っていた一年だったから、「準備は整った!さあ走るぞ!」って感じです。二年目になる今年は「循環」という言葉が年始に出たくらい、去年根を張ったからこそもっと自分の芯を掴んで動いていこうかなって。
具体的には、毎月月末に開催している振り返りWORKSHOPも継続させていきたいですね。忙しい毎日に、一時間だけでも自分と向き合うきっかけがあることで「こんなことしてたんだ」って自分を実感できる機会って大切だから。
関東エリアのチームリーダーを務めているDANRO CHILDREN(ダンチル)も、子ども達に届けて行くことはもちろん、チームメンバーがやりたいことをやれる環境を作りたい。「対話の力で孤独を防ぐ」というスローガンを掲げているように、チーム内でも孤独を生みたくないなぁって想いが強いので。
真由美さん:あと、今年は家族も巻き込みたいなと思っていて。それぞれが一人の人として自分らしくいられる関係性だったり、それこそ強みを伸ばし合えるような、そんな時間をもっと一緒にすごしていきたいですね。
━━走っていくなかで、まだまだやりたいことは溢れてきそうですね?!
真由美さん:本当ですね。人生第三章くらいの挑戦!かと思ってたら、この5年はモノローグだったような気もするので(笑)よりエネルギーが注げるものに集中して届けていったり、自分にとっても心地良いを極める年にしていきます!
インタビューを終えて
最初、一周年を明日に控えた今日、真由美さんから語られたもの大半が、この一年間の具体的なエピソードではなく、これまでの10年間についてだったことが意外でした。
でも、話を聞きながら、そして聞き終えた後、この一年は真由美さんの言葉通り「これまでの選択をしてきてよかった」と確かめ、ポジティブな面だけじゃない全部の自分を愛おしく思える、その連続だったんだなと感じたんです。ついに、5年前に転職で叶えたかった夢を本当の意味で叶えたんだなと。
「ライフステージが変わっても、自分の可能性を信じてもっと自由に”私”を歩む女性を増やしたい」
独立から一年が経つ節目に、自身の核になる想いを再確認するどころか、より力強く、それを届けていく。そんな”覚悟”…という硬さのある感じではなく、”情熱”を感じました。今年、真由美さんから波及していく温かさのある世界には笑顔が溢れているんだろうな。2024年、思いっきり突き抜けちゃってくださいね! 2024.01.31
今ここにいるひとりひとりの
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