「ジャケ買い」に失敗した『あそびあそばせ』
この頃は「このマンガがオススメ!」なんて記事をよく目にするが、誰かがオススメする作品は薦められるだけあってけっこうおもしろい。だから「あの人のオススメ」が僕の読みたいマンガリストに溜まっていくのだが、とはいえそればかりだと誰かがすでに評価している作品しか知ることができないので、たまに表紙だけを見て買うこともある。
たいていのマンガの表紙は読者にどんな印象を与えたいのか考え抜かれているので、表紙だけ見ても大体の内容がわかる。アツいバトルが繰り広げられるような作品の表紙は、主人公がライオンをも睨み殺すような怒りの形相をしていたり、あるいは中高生の甘酸っぱい恋模様を描いているような作品では制服を着た男女が見つめあっていたりする。
「ジャケ買い」は見た目だけで買っていると思われがちだが、実は内容の方向性ぐらいは自然と考慮して買っているのだ。だからいくら表紙しか見ていないとはいえ、そんなにはずれのマンガに当たったことがない。
それなのに…それなのに僕は騙された。
こんな表紙見せられたら、なんかこの金髪美少女が男子主人公を弄び、それを読んでやきもきするような作品なのかな、それともかわいい女の子たちの日常生活を描いているパターンかなって思うじゃん。
裏表紙には「日本の遊び、楽しいデス♪」というセリフとともに羽子板をやっている金髪美少女が載っているのだから、かわいい女の子たちのほのぼのした姿を期待するじゃないですか。
それなのになんだよ、ギャグマンガって。表紙はこれでギャグマンガかよ!詐欺野郎。
残念ながらかわいい女の子はほぼ出てこない。いや、正確に言うと、メインの3人のキャラクターの顔立ちは整っているのだが表情が豊かすぎて、たいていかわいくない顔をしている。みんな顔が崩れすぎぃ!
たとえば表紙の金髪美少女があっち向いてホイをやってる時なんか、鼻に指を突っ込まれてキングクリムゾンのアルバムジャケットみたいな顔になるんだよ、マジで。なんなのそれ?せっかくのお顔が台無しだよ。親からもらった大切な資産を活かしていこうよ。資産運用下手クソかよ。
黒髪ツインテールの無邪気系女子も例に漏れず、エジプトの壁画っぽい顔になったりする。加えて小学生の夏休みの絵日記に書かれている人の顔みたいにもなる。変幻自在かよ。表情筋が相当に鍛えられていると見受けられる。
最後は黒髪眼鏡のクールな巨乳キャラ。こいつは期待できるぞ…実際、物語の中で顔が崩れるシーンがほぼなくて明らかに優遇されている。涼川ぁ...さては作者の涼川りんはこの眼鏡キャラ推しなのか???
このマンガをかわいい女の子目当てで買った人は第一話からガッカリするだろうけど、挿絵だけは文句なしにかわいい。特に1巻4話目の、かつて話題になった長澤まさみが着ていたような、あの上半身黒のレース素材でピッタピタの、体のラインがはっきりと見える衣装を巨乳の眼鏡キャラが着ているイラスト。これがセクシー!ありがとうございますぅぅぅ!!
「いつもあいつ教室の隅っこで本読んでるから注目してなかったけど、こうしてみると...じゅるり」なんて男子高校生からの評価がうなぎ登りになるのが目に見える。さすがはそのへん作者はわかっていらっしゃる。普段はけっこう地味なんだけど、セクシーな衣装を着せると意外と似合っちゃうの好き。
やっぱり明らかにかわいい子よりも、ちょっと目立たないけど実はかわいい子の方がいい。やがて自分の魅力に気づいた地味な子が垢抜けていく姿を横目に見て、「あいつの魅力はもともと見抜いていた」と古参アピールをするのだ。そのアピールは決して女の子自身へと届くことはなく、男子同士のどんぐりの背比べで少しだけ背を高く見せることだけに使われる...僕は周りの男子よりもほんの少し高い視点から世界を眺められるだけで満足だ。
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