見出し画像

鉾田市の中高大生が、大切な人の困りごとを解決するアプリ開発に挑戦!【ほこたワガママLab2期 報告会】

茨城県鉾田市にて、地元で新しい挑戦をすることに興味がある小学生、中学生、高校生、大学生のみなさん向けのアプリ開発プログラム「ほこたワガママLab」を行ってきました。

ほこたワガママLabでは、鉾田市にゆかりのある若者の皆さんと一緒に、地域で暮らす人たちの"ワガママ”を叶えるアプリをつくる挑戦を通じて、地域に変化を起こすきっかけをつくりたいと考えています。

2023年1月から3月にかけて実施された第1期ほこたワガママLabから、さらにパワーアップした第2期が行われてきました。

主催:鉾田市まちづくり推進課
運営:ほこたワガママLab事務局(AKKODiSコンサルティング株式会社 株式会社IRODORI)

本記事は、2023年12月17日に行った「ほこたワガママLab」での挑戦を讃え合い、つくったアプリを発表する活動報告会「Wagamama Awards(ワガママ・アワード)」についてレポートしていきます。当日は東京と鉾田の2つの会場を繋ぎ、オンライン配信で行いました。

ほこたワガママLabとは

鉾田市は、農業の盛んな地域であり、全国有数の産出額を誇っています。しかし、地域の衰退が危惧されており、特に若者の流出が課題となっています。そこで、鉾田市全体で若者を応援し、若者が生きがいを持ってチャレンジできる環境をつくる「ほこたワガママLab」が始まりました。

ほこたワガママLabは、鉾田市にゆかりのある若者が、地域課題を自分ごととして捉えアプリをつくることで、自らが地域課題の解決者になることを目指しています。

活動の軌跡

第2期ほこたワガママLabでは、鉾田市にゆかりのある中高大生4名が、3ヵ月にわたり活動してきました。

これまでの活動スケジュールはこちらです。

たったひとりの困りごとを解決するアプリをつくる

地域の課題を解決する、というと難しく感じるかもしれません。ほこたワガママLabでは、たったひとりの困りごとを解決することを通じて、地域の課題解決に繋げていきます。

アプリをつくるのに使用したのがMIT App Inventor(MITアップインベンター)です。アメリカのボストンにあるマサチューセッツ工科大学が提供している誰もが無料で使えるソフトウェアです。

MIT App Inventorは誰でもパズル感覚でスマートフォンアプリを作成できます。特徴なのは、初めて使用する場合でも30分以内に簡単なアプリをつくれてしまうというところです。

プログラミングと聞くと、特別な知識が必要で難しいというイメージがあるかもしれませんが、直感的にブロックを積み上げることでアプリがつくれます。

コードを書かずに操作ができるので、特に若者たちがテクノロジーの消費からテクノロジーの創造へと移行できるようになります。

鉾田から世界へ

現在、世界中の人たちがMIT App Inventorを使って身の回りの課題解決のためのアプリ開発を行なっています。ワガママLabは世界のMIT App Inventorのコミュニティと連携しながら、日本で活動を広めています。

ほこたワガママLab第1期の取り組みはApp Inventor財団を通して、世界に発信され、鉾田市から世界につながる取り組みとなっています。

ひいおじいちゃんに元気で長生きしてほしい

最初の発表は、中学2年生がつくったアプリです。当日は参加することができなかったため、社会人サポーターとして伴走したワガママLab1期生が代理で発表しました。

「ひいおじいちゃんに健康に長生きしてほしい」という想いから、高齢者の交通の課題を解決するアプリをつくりました。

普段、僕のひいおじいちゃんは畑仕事をしていて車に乗っています。いつも同じところにしかいかないひいおじいちゃんに、もっといろんなところに出かけて、健康に長生きしてほしいと思いました。

アプリ内では、鉾田市のデマンド型乗り合いタクシー「ほこまる号」の予約が簡単にできます。ボタンを押すだけで予約の電話につながります。

ほかにも、電車の時刻表やおすすめ場所の情報、目的地を検索できるマップが見れるようになっています。

ボタンに見やすい色をつけて、誰でも簡単に操作できるようにしました。

受験勉強に集中できない幼馴染のためのアプリ

高校2年生です。同い年の幼馴染のためのアプリをつくりました。

幼馴染と電話をつないで勉強していたときに、「家にいるときに集中できない」と話していたことが心に残っていたそうです。インテリアデザイナーを目指して受験勉強を頑張っている幼馴染の力になりたいという想いから、幼馴染のためにアプリをつくることを決めました。

アプリでは、勉強するときに気分に合わせた音楽を流すことができます。無駄な機能がなく、ボタンを押すだけで音楽を流すことができるので、勉強への集中力を維持することができます。

また、鉾田市内の勉強できる場所を紹介するページをつくりました。

鉾田市内には、勉強ができるところが多くはありません。このアプリをつくることをきっかけに、勉強できる場所がないか地域の人にインタビューを行いました。すると、カフェ&コミュニティスペース「ぱれっとらいふ」のオーナーさんに「勉強していいよ」と言っていただくことができました。

実は、認識していないだけで市内には他にも高校生が勉強をしても良い場所がある可能性を感じることができました。

ホーム画面には、勉強に役立つストップウォッチ、志望校の写真などの将来の夢の実現につながり、モチベーションが上がる写真がランダムで表示されます。

大切なことを相談できていない父へアプリ

そして1期から継続して「不動産相続」をテーマにしている大学生の発表です。前回から将来、自分が不動産相続をする運命にあり、不動産相続に対して心配する気持ちが強くありました。

今回は、不動産相続に対して関心が薄いお父さんに向けたアプリをつくることにしました。

これまで自分が相続することを心配していましたが、自分が相続をする前に父が相続をすることになります。しかし、お父さんは不動産相続に関する関心が薄く、不動産相続に関する話をする機会はありません。このままでは相続をする際に、家族みんなが困ることは明らかです。

そして、不動産相続に関わらず、なんとなくお父さんには相談しにくいと感じていて、もっとお父さんと大切なことを話ができるようになったらいいなという想いがありました。

そこで、まずは不動産相続に関して親子で話をするきっかけをつくるアプリを考えました。

共通の趣味であるディズニーランドのことならお父さんも興味をもってくれるのではないかと考え、ディズニーランドの不動産登記を表示し、ボタンを押すと詳しい説明が見れるようにしました。

地元から離れていても、大好きな祖父母を身近に感じていたい

情報工学を学んでいる大学生の発表です。大学で学んでいることを生かして鉾田市に貢献したいと考え、ほこたワガママLabに参加しました。

大学進学を機に鉾田市を離れたことで、おじいちゃんおばあちゃんの健康状態が悪かったときに力になれなかったという悔しい経験がありました。もっと気軽に声をかけてもらいたいと強く思ったそうです。

鉾田市を離れたことでおじいちゃんおばあちゃんと疎遠になってしまって寂しいと感じている大学生は多いのではないかと考え、アプリをつくることにしました。

どのようにすればスマートフォンを使ってつながりが感じられるかを考えました。気軽に、無理なく続けることができる方法が必要です。

そこでたどり着いたのは、孫が撮った写真をおじいちゃんおばあちゃんが見て、既読をつけることのできるアプリです。

言葉を介さないコミュニケーションで、小さくとも気軽につながりを保つことができます。おじいちゃんおばあちゃんと連絡を取りたいけど、何を話せばいいのか分からないという孫側のジレンマや、忙しい孫の迷惑になりたくないと連絡をためらうおじいちゃんおばあちゃんの声を踏まえてつくられました。

たった1人の課題から地域の課題へ

今回参加者の皆さんがつくったのは、たった1人の課題を解決するアプリです。

自分の身近な"たった1人"が抱える課題に向き合い、深掘りをしていくことで課題の本質に迫ってきました。そしてこの課題の本質をつきつめると、地域全体が抱える課題につながっています。

受講生の高校生から、こんな声を伺いました。

「高校生は、自分にできることは限られていると考えているが、課題を自分で解決することができると感じるようになった。ほこたワガママLabはそんなきっかけになるプログラムだと思う」

誰もが課題の解決者となり、地元で挑戦することができる。そのようなことを体感できるのがほこたワガママLabです。

今後の取り組みにもぜひ注目していただけると嬉しいです。

▼ほこたワガママLabのwebページはこちらから