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鉾田市で活動する方々に取材をしてみよう【ほこたワガママLab#03】

茨城県鉾田市で取り組んでいる「ほこたワガママLab」。

鉾田市出身の高校生と大学生が”地元で暮らす人たちのワガママを叶えるアプリをつくる挑戦”を通じて、地域に関わり続ける仕組みをつくるプログラムです。

▼活動レポートをまとめたマガジンがこちら

主催:鉾田市まちづくり推進課
運営:ほこたワガママLab事務局(Modis株式会社 株式会社IRODORI)

今回はワークショップ第3回目のレポートです。前半で鉾田市で活動されているゲスト、片岡さんと室さんのおふたりをお招きして取材を行いました。

鉾田市でそれぞれの挑戦をしているおふたりは、鉾田市のことをどのように感じているのでしょうか。

室智美さん:音楽療法士。高齢者施設などで働かれていた経験から「世代や障害の有無に関係なく、交流できる場をつくりたい」という想いで、市役所の近くにカフェ&コミュニティースペース「ぱれっとらいふ」を2023年1月にオープン。

室さんは鉾田市で生まれ育ち、大学進学の時に群馬県へ。地元では周りの人たちから助けられながら暮らしていたという実感から、卒業後は鉾田市へUターンされました。

現在は音楽療法士として、子どもから高齢者まで、年齢に関係なく障害や病気の何らかのニーズを抱えている人と歌を歌ったり、体を動かしたり、身体機能の維持をしていく音楽を用いたリハビリの仕事をしています。

「音楽療法士」はあまり聞きなれない職業かもしれません。室さんが志されるようになったのは、最初はピアノの先生を目指したくらい音楽が好きで、お父さんが亡くなって、音楽で何かできなかったのかと考えたことがきっかけで音楽療法士を選択されたそうです。

ここからは、学生たちからの質問です。

取材にこたえてくださる室さん

ーー自分の周りだと、鉾田から出たい人が多くて、今後も鉾田にいたい友人が少ないです。室さんが鉾田で活動する理由を教えてください。

室さん:もっと学生時代に地元の人たちの話を聞ける機会があったらいいですうよね。私も中高生で聴けたら、自分から行動できたのでは?と思いました。やっぱり、私が鉾田で活動するのは、自分が地元の人たちに支えてもらったという経験が大きいのだと思います。

ーーどんな人に助けられて、今に至っているのかが知りたいです。アクションをするうえで助けられたのは誰ですか?

室さん:今の活動でどういう人に助けられたか……。音楽療法士としてフリーで動きはじめた時、仕事のあてもなかったんです。でも、自分で決めた「この歳になるまでにフリーになろう」と思って動き始めちゃいました。

動いていたら音楽療法に興味を持ってくれた人がいて。となりの市の社会福祉協議会の方に助けられました。また、私のおばあちゃんが病気をしてデイサービスに通っているのですが、出会ったケアマネージャーさんが音楽療法士として動くきっかけをくれたことも転機のひとつです。

新しく挑戦しようとしている時、支えてくれる存在って大きいと思います。周りの人は声をかけてくれるし、応援してくれる人が多いと、私は勝手に思っています(笑)。

もし周りにいないなと感じたら、コミュニティから一歩出てみて。自分が前に進んでいたら、応援してくれる人がいると思います。リアルな出会いだけではなく、instagramを通して人と繋がったこともあります。

ーー地元から出た若者が、地元にできることの一歩目はなんでしょうか。

いろんなところに顔を出していくことも必要かもしれません。顔見知りの人が増えるのは、応援してもらえることにつながります。

ここで片岡さんが加わって、学生たちのインタビューを行なっていきました。

片岡真紀さん:鉾田市で生まれ育つ。元市役所職員で、税や保険関係の担当をされた経験からお金や家計に関わる相談にのったり、講師をされている。市民ミュージカル劇団にて団長を務めており、楽しみながら自分の学校・家族以外で学びができる場所づくりや、年代問わずに活躍の場をつくっている。

ーー車社会で不便なことが多いと感じています。鉾田市で暮らしていて、鉾田市で特に困ったことを聞きたいです。

室さん:どこかに食べに行こうかなというところに、食べにいく場所はあるけれど、自分が行ける場所があまりないなと感じています。さらに、服を買いに行く時に、鉾田だと限られてしまいますよね。足を伸ばせば良いんだけれど、おでかけになっちゃう。急遽、欲しいものがあると困っちゃいますよね。また仕事がら、車がないと楽器が詰められないので常に車移動です。

片岡さん:なんとなく、仕方ないなと思っちゃっているけれど、服を買いに行く場所は困りますよね。娘たちにとって大きくなったら、ここって魅力あるまちなのかな?残りたいって思うのかな?って考えることがあります。娘たちは行きたいところに行けばいいと思うけれど、鉾田市は選択肢の一つになるのかな?と。

ーー鉾田の好きなところを教えてください。

室さん:さっきの答えと矛盾してしまうかもしれませんが、何もないけれど、何もないからいい。気さくな人も多くて、人の温かさを感じます。歌う会をやっている地域の方が、ギターをくれたり。パソコン得意な人いない?って聞かれて、人を繋いだり。そういうやりとりから人の温かさを感じます。

片岡さん:今まで自分が地元を好きなのかどうかってあまり考えたことがなくて、なんだかんだ、帰ってきている。地元の市役所を選んで、地元の方と結婚し、近くにいながらいろんな人に協力してもらいながら生きているなと。

私にとって鉾田市は「自分の大切な人がいるまち」。まちそのものというよりも、そういうところが好きなんだろうな。

「ものをもらう文化」も好きですね。大量にさつまいもをいただく。できることを手伝ってあげる。遊びに行って、友達の元気をあげる。などつながりがまだまだ残っているところが良いところなのかな。

取材にこたえてくださる片岡さん

こうして取材が進んでいきました。おふたりの言葉から、鉾田市で暮らしていて困ることは、ハードに関わることが出てきましたが一方で、好きなところで挙がるのは人です。

高校生や大学生は地元の人と交流をする機会がないままで、ハードだけを見て何もないと思って出ていく状態です。この取材も、学生たちにとっては地元の人とつながる貴重な機会になったようです。

学生たちに感想を伺いました。

私は内定先が大阪と茨城だった。ハードで考えると大阪で、会社も大きくて場所も給料も良かった。でも私も家族がいるから茨城県に帰ることに決めた。人生の分岐点で、茨城に帰るのは人軸で考える子なのかもしれない。

人が好きだから、その場所が好きになる。僕も昨年から今年、学校や家族以外のつながりが増えて概念が変わった。室さんのぱれっとらいふの活動を見ると、人の魅力を感じる。

ご近所の付き合いは、東京に出てきてから全く無い。学校のバイト先以外で人の繋がりがなくて家にいると寂しさを感じる。地元は電車も1時間に1本しか来ないけれど、よさもあるのではと考えが広がっていった。

自分は今、悩んでいる最中。地元で働こうか、どこで働くか。まだ結論が出ない。

私は大学を選んでいる最中。今まで茨城県を出たくて、茨城県以外の大学だったらどこでもいいと思っていた。お姉ちゃんが県外の大学に行ってて、楽しそう。羨ましい、と思って。今日のおふたりの話を聞いて、茨城県のいいところをみつめていきたいと思った。

最後に、室さんと片岡さんからもコメントいただきました。

室さん:普段あまり考えないことも聞いてもらえて、改めて考える機会になりました。自分がやってみたいこと、挑戦してみたいことって、そのままストレートにやってもいいけれど、時間がかかっても叶えて欲しいです。鉾田でもできると思うし、出てもできると思う。まだまだ若いので未来に向かっていってもらえたら。

片岡さん:高校の時に水戸に行った理由は、地元なんもないじゃん、って。地元にいたいと思っていなかったから。みなさんの今の状態、茨城から出たい、就職してみたいという気持ちはわかると思った。地元に住んで何かやることもある、住まないからこそやれることもある。悩むことがいっぱいだと思うけれど、悩んで欲しい。一生懸命に選んても、どちらを選んでも半分くらい後悔するかもしれない。それでも悩んで、自分で選んで進んでください。

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講座の後半では、鉾田市で暮らす人たちの困りごとを解決するアプリを作る演習を行いました。

いよいよ次回から、ここまで行ってきたことの集大成である発表に向けた準備です。鉾田市で暮らす人たちの困りごとを、自分たちの視点で発見し、自分たちでできることを考えて「ワガママを叶えるアプリ」をつくっていきます。

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