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幼児期の"あそび"が未来の可能性を広げる!?

前回の記事では、私のサッカー人生のエピソードについて書かせてもらいました。

今回も理学療法士としての視点で、読者の方が何かに繋がるメッセージを綴れたらと思っています。

今回のタイトルは、「幼児期の"あそび"が未来の可能性を広げる!?」です。

この記事を読んで頂いている方にも、お子さんの年齢が1歳前後(離乳食を卒業する時期)〜5・6歳(就学前)、いわゆる幼児期のお子さんを育児されている方もいらっしゃるかと思います。

実際、私も1歳半の息子がいます。

子どもを見てると"あそび方"って様々だなって思います。

この時期は子どもの"あそび方"と言うよりも、大人の"導き方?"の方が表現としては正しい気もします。

テレビゲームへの導きも子どもにとっては画面の中でのあそび。

公園で砂遊びやボール投げ、遊具で遊ぶ事も子どもにとってはあそび。

何が良いあそびで、何が良くないのか。

それは各家庭の導き方があるので良し悪しはないのですが、身体を動かす時間より一つの画面を見る時間の方が長くなると、目や姿勢、そしてあらゆる感覚との出会いは少なくなり、身体に起きうる弊害は多くなります。

この時期は大人の導き方や環境作りが子どもの成長を担っていると感じます。

息子の成長を間近で見れる事をきっかけに、人間の発育・発達について調べるきっかけも増えました。

それらの情報も踏まえて、今回は幼児期の発育・発達、さらに運動あそびについて書いていきたいと思います。

目次

・幼児期の発育・発達
・幼児期の運動あそび

幼児の発育・発達

まず、幼児の発育・発達についてです。

言葉の整理からいきましょう。

発育とは
からだの形態的(量的)な増大のことで、身長、体重、胸囲、座高などの数値で表すことができる。
幼児期の運動あそびと健康P.19
発達とは
運動能力(立つ、歩く、跳ぶなど)、言語能力(話す、聞く、理解するなど)、内臓機能の向上など、身体の機能的(質的)な変化や向上のことである。
幼児期の運動あそびと健康P.19

簡単にまとめると、身長が◯◯cm伸びた、体重が◯◯kg増えた。と"量的"に表す事ができるのが発育で、うまく歩ける様になったり、話せる様になった。と"質的"に表すのが発達です。

皆さん、「スキャモンの発達曲線」という言葉はご存知でしょうか?

もしかしたら聞いた事がある、もしくは当たり前の様に馴染みのある言葉になっているかもしれませんね。

では、スキャモンの発育曲線とは一体何なのでしょうか。

下記の画像をご覧下さい。

http://katraining.ehoh.net/new1018.html

スキャモンの発達曲線は1.一般型2.神経型3.リンパ型4.生殖型の4つに分類されます。

その中でも幼児期(約1歳半〜5・6歳)で著しく発達する神経型について説明していきます。

神経型:脳、脊髄などの神経組織の発育がこれに属する。乳幼児期の発達が顕著で5歳児で成人の80%に、7〜8歳で90%に達し、それ以降は成人の値に達する。
運動機能や精神機能の発達も著しく、幼児期には、知的な事柄を受け入れる素地や下地ができていると考えられる。

簡単に説明すると、乳幼児期は脳の成長が著しく、たくさんの事を吸収(記憶)する時期です。

運動機能の下地を形成する時期とも言われています。

では、その下地の形成は何がどう関係してくるのでしょうか?

それは"あそび"です。

言い方を変えると"体験の数"です。

私の例からいくと、早い段階で特定のスポーツ(サッカー)を専門的に特化し、幼児期〜児童期でサッカーの体験量が膨れ上がってしまいました。

その影響からサッカー以外の運動体験量が少ない(下地が狭い)まま、中学以降を迎えてしまい"身体の鈍さ"が顕著に現れたのでした。

では、その"あそび"とは一体何を指すのでしょうか?

幼児期の運動あそび

運動あそびとは、主に身体を使ったあそびのことで、そのあそびを通して心身の発育発達がなされていく事を指します。

書籍の中ではこの様な事が書かれています↓

幼児期は、運動機能が急速に発達し、多様な動きを身につけることができる時期であり、あそびを通して様々な刺激を与えて、体内により複雑な神経回路が張り巡らせることが重要である。

その神経回路が張り巡らさせると、身のこなしや力加減のコントロールなどができるようになる。
幼児期の運動あそびと健康p.17
基礎体力運動能力が備わっていない状態で、特定スポーツの限定された運動ばかり、例えばサッカーであればボール操作ばかりを行っていると、上半身の発達が下半身の発達度合いに比べて遅くなることがあります。

細かいドリブルやリフティングテクニックの習得ばかりになり、思いっきりボールを蹴る、走る、跳ぶなどの力発揮が疎かになってしまい、全般的な基礎体力運動能力が強化されないまま、上位カテゴリーに進んでしまうのです。

基礎体力運動能力が整っていなくても、テクニックや戦術で上回っていれば、試合に勝つことができますが、上位カテゴリーになると、基礎体力運動能力も含めた総合力が整っていないと通用しません。
その状態で無理を続けると、サッカーでは特に下半身のケガや障害に悩まされることは明白です。
スポーツ万能な子どもの育て方p.19〜20

まさに私の過去を書き記されている様な内容です。

ここで皆さんが気になるのは、「運動あそびや基礎体力運動能力を高めるためにはどう言った事をすればいいの?」だと思います。

基礎体力運動能力の養成には「36の基礎運動」に基づいた運動体験が効果的と言われています。

下記の画像をご覧下さい。

SUPPORTER’S BLOGより引用

36の基礎運動は大きく3つに分類されます。

①姿勢の変化や安定性を伴う9つの動作
②重心の移動を伴う9つの動作
③人や物を操作する18の動作

この中でも重要なのが、①と②の姿勢と重心に関する機能の運動です。

③の様に物を扱う細かい動作は、姿勢を保つ事や力加減の調整が必要となってきます。

つまり、①・②の様に粗大運動が前提としてあるからこそ、③の様な細かい動作が円滑に行える様になるのです。

①・②の運動を改めて見てみると、"あそび"の中に隠されている動作が大半です。

親にとっては、「何をどう遊ばせたらいいのか?」と悩まれる方も多いと思いますが、これだけを見ると「私でもできる」と思える程、馴染みのある内容ばかりだと思います。

文部科学省からも、外遊びが多い幼児ほど体力が高い傾向にあると述べられており、体力が高い幼児は外遊びが1日60分以上担保できていると言われています。

現代ではテレビゲームなどが盛んになり、外遊びをする時間が60分未満である幼児が4割を超えると言われています。

それだけ多くの幼児が体を動かす時間が少なくなっており、体力・運動能力の低下が問題視されています。

最後に

今回、「幼児期のあそびが未来の可能性を広げる!?」をタイトルに掲げて書かせてもらいました。

幼児期のあそびの中に隠されている一つ一つが子どもの下地を作っており、その一つ一つの積み重ねが未来の可能性を広げるきっかけとなっています。

幼児期から一つの競技に没頭し一定の動きを反復させるよりも、親が子どもと一緒にあそぶ中でたくさんの体験を積ませてあげる方が大切だと思います。

今回この記事を読んで参考になった方もいればそうでない方もいると思いますが、少しでも読者にとって未来に繋がる内容を書いていきたいと思います。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

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