感想 アニメ『平家物語』 #アニメ #平家物語 #アニメ感想
まあさ。『平家物語』が面白くないわけないのよ。
中世文学と言ったら『方丈記』『徒然草』『平家物語』な訳だから。
中世文学の時代って言ったら、平安時代までの貴族文化が崩壊して、治世が乱れ、飢饉あり、疫病ありの正に“末法”の世界。
その後、人々は心に安寧をもたらしてくれるカリスマを求めて、法然、親鸞をはじめとする鎌倉新仏教が出てくる時代。
この時代の文学は“無常観”が軸になっている。
それは『平家物語』だけでなく、『徒然草』や『方丈記』も同じ。
何者も久しからず。
運命の渦に飲み込まれていく。
今回、アニメの『平家物語』が面白かったのは“びわ”というオリジナルキャラクターがいたことだろう。
平家一門と行動を共にしながらも、彼女だけは時が止まっているかのように、年をとらない。
そして、見ている我々の気持ちを代弁するかのように過去を、未来を見る目を持ちながら、その行く末を知りながら苦悩する。
彼女の存在が、語りきれない『平家物語』の部分を上手くフォローしていたと思う。
そしてさ。
声優陣が恐ろしく豪華だったよね。
震えたわ、マジで。
とにかく、最初は重盛役の櫻井孝宏さんにウットリな訳よ。
ってか、清盛役の玄田さんや、後白河法皇役の千葉さんとかシブく脇を固めてるんだけどね。
時子役の井上喜久子さんにはビックリ。
優しいお姉さん、って印象だったけど、今回の時子役の声は「こんな声だったっけ?」ってくらい違った。
入野自由さん演じる維盛も切なかったなぁ。
線が細くてさ。芸事に長じてて、気の優しいお兄ちゃんである維盛が戦わなきゃいけなかったのが切ない。
後半は運命に翻弄されていく、清経役の花江さん、徳子役の早見さん、ああ、敦盛役の村瀬さんも良かった。
そこへ源氏勢の義経役の梶さんとか加わってさ。
あ、頼朝役の杉田さんも良かった。
政子に叱咤されてピッ!ってなるよね。
誰かがいなければ。
誰かがいてくれれば。
こうはならなかったはずなのに。
そうはならなかった。
その、事実が。
『平家物語』の面白さですよね。
世にも珍しい敗者の文学。
いやー、予告PVも良かったし、本編も良かった。
音楽も良かったですよ。
主題歌も良かったし、本編で出てくる琵琶の弾き語りも良かった。
あー、でも切ない。
それが良いんですけどね。