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まだまだ改善の余地ばかりだ。|TVアニメ『映像研には手を出すな』

舞台は芝浜高校。

アニメの設定やイメージボードを描くのが好きだが、引っ込み思案でアニ研に行く勇気がない浅草みどり。

アニメの動画を描くのが好きだが、両親に女優になることを求められ、アニ研の入部を認めてもらえない水崎ツバメ。

特にアニメに興味はないが、“利益を出す活動”が好きな金森さやか。

アニ研に入れない2人に

入部がダメなら 部を設立すれば いいじゃないですか

第1話『最強の世界!』

と金森が提案したことで、芝浜高校に映像研究同好会(映像研)が立ち上がった。


ストーリー序盤はほぼ原作漫画と同じ。

アニメ版はエピソード9(全12話)あたりからオリジナルの着地点に向かって枝分かれし始める。



サイエンスSARU制作の作品

原作は大童澄瞳の同名作品。

監督は湯浅政明。
最近では映画『犬王』の監督も務めている。

制作会社はサイエンスSARU。
映画『犬王』の他、TVアニメ『平家物語』も製作している。

脚本は木戸雄一郎。
アニメの脚本を多く手掛けている方のようだ。

浅草みどりの声を伊藤沙莉。
水崎ツバメの声を松岡美里。
金森さやかの声を田村睦心。

放送はNHK総合で2020年1月6日から3月23日まで全12話。

現在、Amazon PrimeVideo、Netflix、dアニメ等で配信中。



女子高生がアニメを作るまでの物語。

大半の人が細部を見なくても、私は私を救わなくちゃいけないんだ。動きの一つ一つに感動する人に、私はここにいるって、言わなくちゃいけないんだ。

第7話『私は私を救うんだ!』

アニメーションと絵の大きな違いは“動き”だ。
と、頭で理解していても腹に落とすのは意外に難しい。

特にアニメーションの動きが優秀であればある程、私たちは違和感なく観てしまって、その凄さを見落としてしまう。

水崎ツバメがキャラクターを描くシーンは、そんな“動き”の難しさをわかりやすく教えてくれる。

実写であれば、役者がやるところを、頭の動き、腕の動き、脚の動き、重心の移動、目線の向き……とその一つ一つを全て描き出さなければならない。

『ハウルの動く城』で有名な話だが、ソフィーと荒地の魔女が階段を登るシーンで、当初、宮崎駿は“何が起こっているか”を説明するシーンを入れようと思っていたが、大塚伸ニというアニメーターが担当すると知って一切の説明シーンを無くした、という話がある。

理由は、“彼なら演技で見せることができるから”。

また、『耳をすませば』で監督をした近藤喜文がかつてアニメージュで連載した『ふと振り返ると』も凄かった。

“自転車に乗る人”というだけで、何パターンも絵が出てくるのである。
年齢、性別、環境によって、言われてみればそうだ、となるのだが、驚くほどの“動き”の観察眼だ。

それを踏まえると、アニメというのは画面の隅々まで“意図せずそこにある”ものが存在しないのがわかる。

今後、アニメを見る目が変わるだろう。

アニメを作るとは、どういうことか。
それがよくわかるアニメだった。


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かおり
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