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私の考えた最強の世界を描くために|漫画『映像研には手を出すな』
舞台は水上に建てられた芝浜高校。
そこへ入学した浅草みどりは、アニメを作りたくてイメージボードや設定画を書き溜めているものの、人見知りの性格ゆえに一人でアニ研に入部することができない。
友人である金森さやかを誘うが、金儲けには興味があっても、アニメには興味がない金森。
浅草は金森に牛乳を奢ることでアニ研の見学に向かった。
アニ研がアニメ作品を上映している最中に現れたのは読者モデルをしている水崎ツバメ。
謎の黒服に追われている水崎を巻き込まれる形で助けた2人。
実は黒服は水崎家の使用人。彼らは彼女のアニ研入部を阻止するために追いかけていたのだ。
水崎は両親に女優になるように言われているが、本当はアニメが作りたかった。
アニ研に入りたいけど入れない水崎と浅草を見て、金森が自分たちで部活を立ち上げることを提案する。
そして芝浜高校に、設定(と背景画)の浅草、動画(主に人物)の水崎、プロデューサー金森の映像研が爆誕するのだ。
デビュー作がヒットした大童澄瞳
作者は大童澄瞳。
本作がデビュー作。コミティアに漫画を出品していたところをスピリッツ編集員にスカウトされたらしい。
(ピクシブ発と聞いたこともある)
既刊6巻。
東京ニュース通信社「ブロスコミックアワード2017」大賞を受賞。
出版社は小学館。
レーベルは月刊スピリッツ。
2020年にアニメ、ドラマ、映画化(ドラマ版)。
アニメから入るのも良しな漫画
端的に言えば、女子高生がアニメを作る漫画だ。
ただ、それだけだとこの漫画の魅力は伝わらない。
この漫画の不思議なところは、登場人物が“女子高生”であることにあまり大きな意味がないことだ。
この漫画の中核は“どうやってアニメを作るのか”だと思う。
設定、背景、ストーリーがいる。
それを担うのが、浅草だ。
そして、アニメーションというのは、動く。
爆発の煙も、登場人物も、登場するマシンもみんな動く。
その動き1つ1つを時に忠実に、時に過剰に見せることがアニメの骨子になる。
その動きを担うのが水崎だ。
この2人がせっせとアニメを作るだけなら、似たような漫画は他にもある。
この漫画が他作品と違うのは、金森の存在だ。
金ではなく“利益を出す活動”が好きな彼女が、映像研をただ趣味でアニメを作るのではない存在にしている。
活動するには金がいる。
いくら作っても、見てもらえなきゃ意味がない。
ただ、こだわった作品を作る、ではなく何かしらの目的を持って納期に合わせて作る。
https://alu.jp/series/映像研には手を出すな!/crop/DJQSN9n3Jc7yuunE3Z1t
これが情熱だけでアニメを作りました、というようなボヤッとしそうなストーリーの輪郭をはっきりさせてくれる。
情熱と現実がぶつかりあって、でも良い作品が作りたくて、みんなでどんな作品にするか、目に入ってきたもので妄想して、アイデアを出し合って、納期に追われて、新しい仲間が増えて。
だからといって、暑苦しくなく、どこか肩の力が抜けてる。
ちなみに、オタキング・岡田斗司夫はこの作品を「手塚治虫と宮崎駿と鈴木敏夫が女子高生になってアニメを作ってる漫画」と紹介している。
これは結構、的を得ていると思う。
(余談だが、岡田斗司夫と大童澄瞳が対談している動画がYou Tube等で見ることができる。はっきり言ってオタク2人のマニアックなトークで、気持ち悪くて面白い)
正直、大童澄瞳は漫画を描き慣れた作家ではないので、なかなかリズムが掴みづらい作品だと思う。
個人的にはアニメ版から入るのをオススメする。
内容は漫画の方が濃くて読み応えがあるが、アニメは綺麗にまとまっているので、ストーリーを掴みやすい。
まもなく新刊も発売される(7巻 2022-07-12発売予定)。
まだまだ新しいキャラクターも出てきて続きが楽しみな作品だ。
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