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この人結局誰なんじゃあああああ|漫画『軍人婿さんと大根嫁さん』
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御免下さい、という声に主人公・花が玄関へ出ていくと。
そこには、大きな男性が。
立花誉と名乗る男性は、戦功持ちの少尉さんで、祝言をあげにこの小さな村へやって来たという。
しかし、花の父が手紙を確認すると、新暦と旧暦を間違えていて、彼は予定よりも1ヶ月近く早く日付を間違えていた。
とはいえ、来てしまったものは仕方ない。
「来ちまったものは仕方ねえから やるか祝言」
父の近くで、誰の祝言? と、さっき畑で採れた大根を抱えていた花が首を傾げていると、父の口から衝撃の一言が飛び出した。
「おお 花 言うとらんかったか そこにいらっしゃるのがお前の婿さんじゃ」
急遽決まった祝言に、村人が準備にと走り出す。
縁側に誉と2人、取り残された花。
しかし、頭の中は人生最大に混乱していた。
ワシ さっきまで大根抜いていましたよね…?
と、考えている間に、3時間後に結婚。2時間後に床入。
だから誰なんじゃ この人結局誰なんじゃあああああ
読んだことあった!
著者は コマkoma
初読みの作家さん…と、思ったらSNSで話題になっていた方で、私も投稿していた作品はちょこちょこ読んでました。
これはSNSで読んだ。Kindleで無料で読めます。(※KindleUnlimitedではありません)
たがみよしひさ のように尺の短いキャラクター絵と、シリアスな絵を頻繁に使い分けて描く感じの作家さんで
※KindleUnlimitedで3巻まで配信中(2024-06-28現在)
本作は、同タイトルのSNS投稿作品の同人誌版に加筆修正をした商業誌版作品。(※同人誌版も読みましたが、内容は同じ。1〜2巻分が収録されてました。)
出版社は 芳文社
掲載誌・レーベルは COMIC FUZ
発売は 2024年03月01日
既刊2巻。連載中。
誉さんが故郷を手に入れるストーリー
なんじゃないかな。
少なくとも2巻までは。
『うららかに、めおと日和』と、話の基本筋は似たところがありますが、本作の方がややコミカルというか、日常系みたいなテイストです。
1巻は、突然やってきた婿さんに困惑する花ちゃんや好奇心を隠しきれない(※娯楽が少ないから)村の人たちが中心でしたが、2巻になると、誉さんの生い立ちに触れていて一気にシリアスな展開になります。
先妻の息子で、後妻を迎えた家族とは疎遠な生活。軍人である祖父に育てられ、自分も軍人になり、戦地で親友を失い、帰ってきたら自分は戦死したことになっていて、家督は異母弟に移っていて、許嫁だった女性も異母弟の妻になっていた。
漠然と家族に縁がないのかも、と思っていた誉さんにやってきた、婿入りの縁談の話。
相手に断られたら帰ってこようと思っていたけど、田中村の人たちに暖かく迎え入れられて、ここにいたいと想ったこと。
花ちゃんが、「お互いに少しずつ慣れていけばいい」と言ってくれたこと。
それは、流れの中で少しずつ見えてくるものだけど。
戦場にしか居場所がなかった誉さんが。
人の輪の中に戻っていく。
生まれ育ったわけじゃないけど、いつでも戻ってきていい“故郷”を手に入れた。
少し切なくて、でも平和で楽しい。
同人誌版が、現在のコミック分で終わっていたのでヒヤッとしましたが、まだ続くそうなので。
続きが楽しみな、そんな作品です。
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