記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

まごうことなき神回……ッッ|漫画『神作家・紫式部のありえない日々』第5巻


KindleUnlimitedで1巻が配信中
(※2024-10-22現在)

これまでの感想はこちら。

すれ違いを経て結ばれた彰子と主上。
と、熱烈な一夜を過ごして

彰子の頭の中はピンク色。

なァるほどね〜〜〜
今日の彰子さまは 昨日の帝との閨事のせいでポワポワだったわけね〜〜〜
って
可愛すぎるやろがい!!!

『神作家・紫式部のありえない日々』第5巻

その事実を知った紫式部が三日三晩、押しカプの進展にキュンキュンした結果。

筆がノリにノッて完成したのが

「わ〜〜〜〜〜 原稿上がった〜〜〜〜〜〜〜!!
タイトルは「須磨」!!」

『神作家・紫式部のありえない日々』第5巻

「須磨」、脱稿。

紫式部が、出来上がった「須磨」を1番に渡したのは小少将。

「今回の話 小少将さん好きかも〜〜」と言われ、恐れ多いとしながらも、「須磨」を読んだ小少将は叫びだしたい気持ちを抑え、心の中で叫んだ。

神回
まごうことなき 
神回……ッッ

『神作家・紫式部のありえない日々』第5巻

神回、「須磨」誕生である。


物書きの“業”を噛み締める紫式部

前半は、ポワポワの彰子さまと、それでテンション上がった紫式部が超速で書き終えた「須磨」の話なんだけど。

印象的だったのは、後半、権中納言俊賢とのエピソード。

俊賢に、「須磨」で官位を剥奪され左遷される光源氏は伊周をモデルにし、陥れる為に書いたのではないか、と問われた紫式部。

それを聞いた紫式部は、道長の臣下であるはずの俊賢が伊周と通じているのではないか、と密かに戦慄しながらも、俊賢に、「左遷された源氏で想像したのはご自身の父上では?」と聞き返す。

昔のことを思い出した俊賢は、左遷されて父についていった辛い日々を語りだし、中でも身分に合わない、中流貴族が通う大学寮での生活が1番辛かった、と語った。

学ぶことは苦ではなかったが、下位の者が着る浅葱の袍を着るのは屈辱的だった。

「今でも浅葱色は …嫌いだ」

『神作家・紫式部のありえない日々』第5巻

その言葉を聞いた紫式部は「物語に取り入れたい」「早く書きたい」ということだけが身体中を駆け巡り、俊賢との話もそこそこに机に向かって憑かれたように書き始めた。

時々思う こんなことをしている私は いずれ
地獄に落ちるのではないか――と

『神作家・紫式部のありえない日々』第5巻

もう、この他人の不幸さえも物語の肥しにしてしまう。

自分の不幸も他人の不幸も、貪るように食べ尽くして、それでも尚欲するその所業は、鬼か悪魔のようで。

全てを物語に捧げてしまう紫式部が、鬼気迫っていました。

いつもはコミカルで、それが面白いんですけど。
今回ばかりは、そんな物書きの“業”に飲み込まれていく紫式部が良かったです。

いやー、今回は震えたわ。


いいなと思ったら応援しよう!

かおり
よろしければサポートをお願いします。

この記事が参加している募集