選ばれるために必要！マーケティングの３つの価値
「マーケティングって難しそう…」「何から始めれば良いのかわからない…」
医療機関や中小企業の経営者の方から、よくこのような声を聞きます。確かにマーケティングという言葉は少し敷居が高く感じるかもしれません。
しかし、その本質は「価値を創造し、伝える」というシンプルなものです。
今回は、マーケティングの基本となる「3つの価値」について、医療機関や中小企業の皆様にも実践しやすい形でお伝えしていきます。
マーケティングの本質とは
マーケティングの定義で、私が最も好きな言葉があります。
経営学の第一人者ピーター・ドラッカーの言葉です。
「マーケティングの目的は販売を不要にすることだ」
一見、矛盾しているように思えるこの言葉。実は深い意味が込められています。
優れたマーケティングとは、価値を創造し、それを適切に伝えることで、お客様が自然と「これがいい！」と選びたくなる状態を作ることなのです。押し付けがましい販売活動は必要ありません。
また、フィリップ・コトラーはこう定義しています。
「マーケティングとは、標的市場を選択し、優れた価値の創造、伝達、提供を通じて、顧客を獲得、維持、育成する技術である」
つまり、マーケティングの本質は、ターゲットのお客様を選んで
そのお客様に向けて「価値の創造と伝達」することです。
マーケティングで伝えるべき３つの価値
では、具体的にどのような価値を創造し、伝えれば良いのでしょうか？ 実は、商品やサービスには3つの価値が存在します。
1. 機能的価値（基本となる価値）
商品やサービスの基本的な機能や性能のことです。
「お客様が最低限期待する品質」と言い換えることもできます。
医療機関の例：
・確かな医療技術で症状が改善する
・待ち時間が30分以内
・夜8時まで診療している
・最新の医療機器を使用
・駅から徒歩5分の好立地
中小企業の例：
・注文から3日で確実に納品
・業界最高レベルの品質
・不良品率0.1%以下
・リーズナブルな価格設定
・急な注文にも対応可能
2. 情緒的価値（感情に響く価値）
機能的価値に加えて、「使って嬉しい」「選んで良かった」と
感じられる満足感のことです。
これは、人の感情に訴えかける価値です。
医療機関の例：
・優しい笑顔で迎えてくれる
・不安な気持ちに寄り添ってくれる
・子どもが泣かない工夫がある
・治療後も丁寧にフォローしてくれる
・院内の雰囲気が落ち着く
中小企業の例：
・担当者が親身になって相談に乗ってくれる
・困ったときの緊急対応が心強い
・小さな要望も丁寧に聞いてくれる
・長年の付き合いで信頼関係がある
・スタッフの笑顔が素敵
3. 自己表現的価値（共感できる価値）
その商品やサービスを選ぶことで、
「自分らしい選択ができた」と感じられる価値です。
自分の価値観や信念に合っているかどうかが重要です。
医療機関の例：
・予防医療を重視する姿勢に共感
・地域の健康を守る使命感に感動
・子育て世代に優しい医院の理念に共感
・安心して相談できるかかりつけ医
・スタッフが生き生きと働いている
中小企業の例：
・環境に配慮した商品づくりへの共感
・職人技を大切にする姿勢への理解
・地域の雇用を支える企業理念への賛同
・次世代への技術継承を応援したい
・誠実な経営方針に信頼感
なぜ今、３つの価値が必要なのか？
現代社会では、機能的価値だけでの差別化が難しくなっています。技術の進歩により、品質や機能の差は縮まる一方です。
そこで重要になってくるのが、情緒的価値と自己表現的価値です。人は理性だけでなく、感情で動き、自分らしさを表現したいと考えるものです。
例えば、同じような医療技術を持つクリニックが2つあったとき、患者さんは何を基準に選ぶでしょうか？
それは「この医院の雰囲気が好き」「ここの理念に共感できる」といった、情緒的・自己表現的な価値なのです。
価値を伝えるために必要なこと
では、これらの価値を効果的に伝えるにはどうすれば良いでしょうか？
自組織の価値を明確にする まずは、自分たちが持つ3つの価値を書き出しします。情緒的・自己表現的な価値は自分たちだけでは、当たり前すぎて気づいていないかもしれません。患者・お客様がなぜ選んだのか、ぜひ聞いてきましょう。
伝えるべき相手を明確にする。すべての人に伝えようとするのではなく、誰に伝えたいのかを明確にします。
適切な方法で伝える SNSやWebサイト、印刷物など、相手に合わせた媒体を選びます。
最後に
マーケティングは難しいものではありません。 大切なのは、自分たちの持つ価値を明確にし、それを適切に伝えることです。
次回は、実際のブランドを例に、これら3つの価値がどのように表現されているのかを具体的に見ていきたいと思います。
皆さんの組織では、どんな価値を持っているでしょうか？ ぜひ、3つの価値の観点から見直してみてください。
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