地域・お客様から選ばれる中小企業のブランディング戦略
中小企業のブランディングの基礎知識
中小企業のブランディングの鍵はスタッフと発信です。自社の価値観を共有し発信する仕組みづくりが、地域から選ばれるブランディングにつながります。
「集客」「採用」に深く関わるブランディング
ブランドというと、大企業や高級ブランドを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。「うちのような中小企業にブランディングは関係ない」と思っていませんか?
実は、ブランドの語源は、北欧の牛飼いが自分の牛を区別するための「焼印(ブランドル:BRANDR)」にあります。つまり、ブランドとは他と差別化する印であり、「お客様との約束」を示すものなのです。
ブランドは企業規模に関係なく、むしろ中小企業こそ重要です。例えば、「接客が丁寧なA美容室」「落ち着いた雰囲気のBカフェ」といった評判は、立派なブランドといえるでしょう。
ブランディングは「集客」と「採用」という経営の根幹に関わります。共通点は、来てほしい相手から選ばれる必要があるということ。お客様や求職者に自社の価値を伝え、「この店に行きたい」「この会社で働きたい」と思ってもらうこと、それがブランディングなのです。
知名度より正しく知ってもらうことが重要
ブランディングとは、自社の価値を知らせたい人に伝える活動です。似た概念に「マーケティング」がありますが、違いは以下の通りです。
マーケティング
集客や採用を目的に、広告やホームページ、SNS、取材などを通じて自社の考え方やサービスの価値を外部に発信する活動。
ブランディング
マーケティング活動を通じて、地域の人やお客様に自社の提供価値を認知してもらうこと。
つまり、自社の考えや方針を伝える情報発信と、それを受け止めて良いと評価し、さらに発信してくれる第三者の存在があって初めてブランディングが成立します。
よくある間違いは、ブランディングのために知名度を上げなければならないと考えること。実は、有名になるよりも、伝えたい相手に正しく情報を伝えることの方がはるかに重要なのです。
例えば、知名度が上がっても、店のコンセプトに合わないお客様ばかりが来店したらどうでしょう? 有名だからといって、価値観の合わない人材ばかりが応募してきたら、かえって手間がかかってしまいます。
地域密着型であれ、全国展開を目指すのであれ、広告で大勢に知ってもらうより、ホームページやSNSで自社の方針や価値観を求める人に正しく情報を伝えることが大切です。
価値観の発信はSNSが鍵
お客様や地域との接点を「タッチポイント」といいます。中小企業でお客様との接点が圧倒的に多いのは、経営者ではなく現場のスタッフです。経営者がホームページや広告で立派な経営理念や将来ビジョンを示していても、スタッフが同じ価値観でお客様や地域に向き合っていなければ伝わりません。
では、スタッフと価値観を共有し、自分の言葉で伝えられるようにするにはどうすればよいでしょうか。
地域から選ばれる企業になるためには、外部への発信によるブランディングだけでなく、社内で価値観を共有する「インナーブランディング」が不可欠です。
おすすめは、経営者自らがスタッフ教育で理念共有と将来ビジョンを示す「インプット」と、スタッフと一緒にSNSで発信する「アウトプット」を行うことです。
SNSはブランディングの最強ツール
採用効果を期待してSNSを始める中小企業が増えています。SNSは本来、共通の価値観を持つ人々の交流ツール。スタッフが自社の価値観や将来ビジョンを理解し、自分の言葉で発信できるようになると、その投稿に共感する人がファンになり、来店や応募のきっかけになるのです。
SNS発信を継続する仕組みをつくることで、自立して動くチームが育ち、持続的なブランディングにつながります。
中小企業こそ、スタッフ一人ひとりの力を活かしたブランディングが可能です。自社の価値観を共有し、それを外部に発信する仕組みづくりに取り組んでみましょう。それが、地域から選ばれる企業への近道となるはずです。