東大経済学部から東大教育学部に転学部する話
皆さんは進振りの制度を知っているだろうか?東大にある、2年の真ん中で学部を決める特異なシステムだ。大半の東大生は(点数が足りずに不本意ながら学部を選んだとしても)なんやかんや後期課程の単位を取り、卒業していく。だが、まれに後期課程と全く相性が合わない者がいる。その1人が私だった。特にミクロ・マクロ経済学などは頭に入ってこないし、これができたとしても何になるのかと言った思いは日に日に増すばかりだった(もちろん初級のミクロ・マクロなので上級を受ければ話が変わるかもしれないが、ついていけるわけもなかった)。要するに、頭がついていかなかったのである。これでは留年を免れない。私は地方から出て一人暮らしをしているため、学生生活にかかるお金が馬鹿にならない(家賃生活費奨学金etc......)ため、経済学部で留年をするととんでもないことになってしまう。内定も断らなければならない。そして、留年が現実味を帯びてきた2023年12月に私はある決断をする。そう、「転学部」だ。初めてこの名前を聞く人も多いと思うので説明すると、経済学部3年から4年に進学する代わりに、他の学部の3年へ進学することができるのである。(結局留年する扱いには変わらないが、行きたい学部で2年過ごせるのは大きい。)これを知ったきっかけは友人との些細な会話だった。成績が芳しくないことを話すと、彼は軽く転学部して教育学部に来ればいいじゃん、楽しいし、と言ってくれた。彼はまさか私が本当に転学部の手続きをしているとは知らないだろう。転学部はプロセスすらなかなか知られていない。私の辿った道筋はこうだ。
①進振り点の確認
②受け入れ先に定員の余裕があるか確認
③志望理由書の提出
④学部長(教授複数人)との面談
⑤教授会での審査
①は言うまでもないだろう。進振りで行きたい学部(私の場合は教育学部)の進振り点を超えていないといけないのである。私の場合ギリギリ超えていた。ラッキーである。
②も簡単だ。もし転学部先に余裕が無ければ受け入れNGとなり、転学部の話はそこでおしまいである。
私はこの二つの関門をなんとか通過した。転学するなら4月付のため、約3ヶ月で全ての手続きを終える必要があった。本来なら半年かかる作業を3ヶ月に圧縮する必要があったのだから大変だ。改めてギリギリだったと思う。だが、教育学部の事務の方がありがたい対応をしてくださり、テキパキと進めた結果、なんと1月に教育学部長との面接にこぎつけることが可能になった。ありがたい。そして③の志望理由書を提出し終え、いよいよ④学部長との面接試験である。
だが私の場合はあっけなかった。zoomでの面談だったのだが、教授が10人ほどいたにもかかわらず質問してきたのは3〜4人、10分ちょっとで終わってしまった。結果もすぐにメールで送信されてきた。「内定」である。あくまで形式的な審査だったようだ。あとは経済学部から転出するだけである。
最後に、⑤の教授会での審査だが、正直自分にできることはない。月に一回あるという経済学部での教授会をパスすれば、晴れて転学確定である。通過の通知が来るまでは悶々と日々を過ごした。そしてついに、その日はやってきた。経済学部で承認された旨の連絡が来たのである。転学確定だ。4月からは教育学部で新しい日々が始まる。
そうそう、なぜ転学部先に教育学部を選んだか書くのを忘れていた。発達障害に興味があったのである。アメリカの機関が出しているDSM-5を見たときに心動かされたのがきっかけだ。人がどう考えるかに興味が湧いた感じだ。これからは、自分が興味の持てる分野に精一杯挑もうと思う。改めて、東京での生活費と学費を工面してくれた両親と祖父に感謝しながら、今日は筆を置くことにする。後期課程がどうしても合わないと思った人は、転学部を検討するのも手かもしれない。