アイリス
これまでに書いた幻想小説をまとめています。短編なので、通勤・通学時に是非。
6時27分。私が起きるのはいつもその時間だ。いつもこの時間に目が覚める。いつも通り7時間睡眠。淡々と、毎日のルーティンをこなしていく。トイレに行ってそのあとシャワーを浴びて、朝ごはん。決まってトースト1枚。バターを塗って食べる。バターの付け方も決まっている。食パンの手前から奥へ、左から右へとバターを交差させて塗っていく。この塗り方でしか出せない味があるのだ。家族に言ったら不思議がられたけども。もしかしたら、毎日の朝のルーティンを守れている安心感からくる独特な味なのかもしれない
風呂に入っている時に、こう考えた。 自分が今リラックスできているのは、主に二つの要素による。温かいお湯と、適切な閉鎖空間である。特に後者は、何かと雑音の多い現代において、何もしないことを肯定してくれる存在である。そして、自分にとってその閉鎖空間が精神の安定に占める割合が大きいと気づいた時、私は浴槽で暮らすことを決心するに至った。お湯を抜けば、ゆっくりとここで暮らすことが可能だ。 何を突飛なことを、キミはパラノイアか、と思うかもしれないが、思えば精神の安寧は私にとっても最優先
皆さんは進振りの制度を知っているだろうか?東大にある、2年の真ん中で学部を決める特異なシステムだ。大半の東大生は(点数が足りずに不本意ながら学部を選んだとしても)なんやかんや後期課程の単位を取り、卒業していく。だが、まれに後期課程と全く相性が合わない者がいる。その1人が私だった。特にミクロ・マクロ経済学などは頭に入ってこないし、これができたとしても何になるのかと言った思いは日に日に増すばかりだった(もちろん初級のミクロ・マクロなので上級を受ければ話が変わるかもしれないが、つい
東大に入れば毎日が輝くと思っていた。 でもそれは幻想だった。入学時の賞賛の声はすぐに鳴り止み、今度はすぐに「いい就職先」を求められるようになってしまった。よく考えれば当然なのだが、大学に入った後も日常は続いていく。「ハレとケ」のハレの日はすぐに終わってしまうのだ。 東大に入っても日常が光り輝くとは限らない。友達が多く、やりたいこともあればまた別だろうが、入試で燃え尽きて友達作りも苦手な輩が大学を楽しめるわけはないのだ。 「勉強ができる」という唯一のアイデンティティも失った。
近々新作投稿します
ちょっとやる気が出てきたので、小説を書くのを再開したいと思います。ついでに、小説のテーマも募集します。コメントに書いてください。
こんにちは!東大文科Ⅱ類1年のアイリスです!最近大学受験系の記事を読んでいて思ったのですが、みんな参考書や勉強法の紹介は色々しているのに、実際受験してみてどう感じたか、というのをまとめた記事は少なくないですか?試験場でどんな思いだったか、実際にどんな発想を使って問題を解いたのか、など、実際に試験を受けた人にしかわからない稀有な体験を記すことには価値があると思いました。そこで、私が受けた東大入試2021の実況を前日からやっていきたいと思います。東大に限らず、大学受験を考えている
人とはどう定義されうるか。それは他人が、いや、もっと言えば他の生命体が、自分という存在をいかに感じうるかと言うことである。感覚器官を通している以上、自分と他者が捉えた自分は常に乖離している。他人は常に、思考の面でも、三次元の面でも、自分のことを真に知ることはない。つまり、他人を知ると言うことは、その他人に関して五感から出たデータを元に自分の中でそれを再構成してできた像を見ると言うことであるから、一種のデータを見ているようなものだ。さらに言えば、現代ではデジタル機器が発達し、ビ
幸福が苦痛を伴い、平和は倦怠を伴うとすれば、生は惰性を本質とすることになるだろう。ネゲントロピーはいったいどこに行き着くのか。消滅か、繁栄か、はたまた両方か。収斂していく先は皆同じ。永劫回帰の中で反復するひとつの塵に過ぎない...
どうも、東大文科Ⅱ類1年のアイリスです。今回は東大文系数学の攻略について語っていこうと思います!この記事は、独学で東大レベルまで実力を引き上げたいが、どうやって勉強したら良いかわからない、という方向けに執筆したものとなっています。某参考書ルートを提供している武○塾の解説より数倍詳しいものとなっています。(参考までに、私は「大学への数学」という雑誌で成績優秀者として2回ほど冊子掲載された経験があり、数学にはかなり自信があります。高校の勉強で一番時間をかけたのが数学でした)この記
僕の名前は...いや、やめておこう。紹介するに足らない、どこにでもいるような、特に特徴のない人間なのだから。今は下校の途中だ。なんだか、最近周りの出来事が妙に遠くに感じられ始めた。まるで僕の前で景色を映した大きなテレビが垂れ流されているような...僕はその傍観者にすぎないような...そんな感覚を感じながら、漫然と日々を過ごしていた。周りを見渡してみると、薄暗い、それでいてどこか明るく真っ赤な夕焼けが僕の前に横たわっていた。昼と夜の境界線、どちらでもない。その不安定さが、それで
こんにちは、東大文科Ⅱ類1年のLuceです。今回は、東大英語の参考書ルートを紹介したいと思います。「独学で英語の勉強をしたいが、どの参考書を使えばいいかよくわからない。武◯塾のサイトなどで参考書ルートを見ることはできるけども、それが本当に自分にとってベストなのかわからない。」という方も多いと思います。そんな方向けに書いた記事となっています。これを読めば、どうやって東大英語を攻略するか、そのためにはどんな問題集で演習すればいいのか、が大体わかります。微調整は、東大英語の感覚を掴
曲を元にして何か小説を書きますかね
(今から書くのは一個人の意見であり、世の受験生全員に当てはまるとは限らないことを先に申し添えておきます。) さて、曲がりなりとも東大文科Ⅱ類に現役合格した私が使っていた参考書をお勧めする理由とともに公開したいと思います。また、東大以外の大学を目指す人にも参考になる記事かと思いますので是非最後まで読んでみてください。 古文・初心者編・マドンナ古文 これは導入に最適です。わかりやすい説明に整理された図表...文法の基礎はこれでOK!230と書いてありますが、本書に掲載されてい
とある秋の日、わたしはある人を訪ねる為に無機質なコンクリートで覆われた道路を歩いていた。先程まではいかにも都会だと言わんばかりのビルが乱立していたが、この道路にはいつの間にか木々の木漏れ日が差している。陽が遮られた木陰にいた私は、冬を思わせる冷たい風を感じていた。いや、冷たいと言っては語弊がある。どこか暖かく、柔らかい風でありながら肌を冷やす風といった方が正しいだろうか。道路の舗装も段々と崩れてきている。足元が徐々に不安定になった。石や砂が露出し始めた。思ったより勾配の激しい
新しい小説、7000字まで行きました