「食のバリアフリー」って何?
今日は私がテーマに掲げている「食のバリアフリー」について書いてみようと思います。
「バリアフリー」という言葉はもう日本社会に根付いていると思いますが、
じゃあ「食のバリアフリー」ってどういうことでしょうか?きっと疑問に思われている方もいらっしゃるでしょう。
私の考える「食のバリアフリー」というのは「どんな食のスタイルの方でも安心して食が楽しめる」ことです。
一つ前の投稿でも少し触れたように、世界中の人々の食のスタイルは実に多様です。
主義的、宗教的、あるいは健康上の理由などから食べられないもの、食べない選択をしている食材があります。
最近、日本でも「ヴィーガン」という言葉をよく聞いたり目にしたりするようになりましたね。
例えばヴィーガンの人は、動物愛護や環境保護の観点から動物性原材料を摂らず、レザー商品を使用しません。
イスラム教の人は、イスラムの教えに基づき豚肉やアルコールがタブーとされています。
ユダヤ教の人も豚肉を食べませんし、甲殻類もタブーとされています。
食物アレルギーのある人にとっては小麦、卵、乳製品などの代表的なものだけでなく、個々によって様々な食材がアレルゲンとなります。
海外に行ってレストランに入ると(今はコロナで渡航できず残念ですが・・・)メニューにいろんなマークがつけられていることに気づくと思います。
ヴィーガン、グルテンフリー(小麦不使用)、ハラール(イスラム教の教えで許されているもの)・・・
メニューの横に分かりやすくマークがつけられているレストランが多くあります。メニューだけを見て何が入っているか分からなくても、マークを見れば一目瞭然。簡単に自分の食べられるものを選べるようになっているのです。
さて、日本のレストランはどうでしょうか。
私の住む名古屋でも最近ではヴィーガンレストランが何軒かあります。近所のスーパーにも、少し前に「ヴィーガンコーナー」が設置されました。
一見、「食のバリアフリー」が進んできているように見えますね。
でもまだ自由にメニューが選べたり、色々なお店に食べに行けたりする状況ではないな、というのが正直な感想です。
私の近所のレストランには日本語のメニューしか置いていないお店がほとんどです。日本語のみで書かれたメニューは、日本語の分からない、もしくは日本語を勉強し始めたばかりの人にとってはきっと理解しづらいでしょう。
マークもないので、言葉が分からなければヴィーガンやイスラム教徒、ユダヤ教徒の人もレストランやメニューが選びづらいでしょう。
食物アレルギーのある人もきっとそうですね。生命が脅かされるほど重篤な症状の出る人もいるので、お店選び、メニュー選びは慎重にされていると思います。
日本語が分かれば、自分で聞いて、文字を読んで確認することができます。でも日本語が分からないとなると、レストランに行くという日常的な行為さえ、とてもハードルの高いこととなるのです。
食べることは生きることの基本です。そして健康な体は食べる物で作られます。
なのに、日本語が分からないというだけでこの「食」「健康」のハードルがとても高くなっているのだとしたら、それはとても残念なことだと感じます。
また、食のスタイルは人それぞれなのに、その多様な食のスタイルに対応できていない現状もまたもどかしいです。
誰もが「安心して美味しく食事する」ことのできる環境は日本でも、もっと当たり前に存在してもいいのではないでしょうか。
「言葉」や「表記」の面からそれを目指し、実現していくことを、私の「食のバリアフリー」の活動の中心としています。