6.認知言語学の理論:自己の理想化された認知モデル
カテゴリー化とプロトタイプについて
レイコフ「理想化された認知モデル」(ICM:Idealized Cognitive Models)
理想化認知モデル(ICM)は、認知モデルまたはメンタル・スペースとも呼ばれ、認知言語学の概念で、個人が世界を理解するために使用する、構造化されているが柔軟な知識を指します。認知言語学は、私たちの言語理解は、私たちの経験と、私たちの精神的プロセスの根底にある概念構造によって形成されると仮定しています。ICMは本質的に、あるカテゴリーの典型的な、あるいは「理想的な」例であると私たちが考えるものを具現化した心的表現で、これらのモデルは「理想化」されたものですが、その理由は、多くの場合、特定の一例ではなく、カテゴリーのメンバーの抽象化された複合体を表しているからです。(ChatGpt-4)
理解に必要な理論についての前提知識をふまえた上で
Kramshの理論に入ります。
Kramは上記のICMを用いて、学習者と学習言語との関わり方
特に、学習者によって目標言語に対する「好き嫌いの感情」の異なりが生じることについて以下のように述べています。
7.ブレンデッド・スペース理論
ブレンデッド・スペース理論(Blended Space Theory)は、しばしば概念的ブレンディング理論(Conceptual Blending Theory)の文脈で言及されるが、ジル・フォコニエ(Gilles Fauconnier)とマーク・ターナー(Mark Turner)によって開発された。これは言語学習そのものに関する理論ではなく、人がどのように考え、意味を創造するかについての理論である。
この理論では、私たちの心には、異なる認知空間(構造化された経験や知識の集合)を組み合わせて、"ブレンド空間 "と呼ばれる新しい意味や精神空間を作り出す能力があると仮定している。
(ChatGpt-4)
そして、このブレンド空間において学習者はそれぞれの学びを通じて
独自に目標言語の世界の現実を創造し、意味付けていくことを
以下のように述べています。
8. SLA研究における象徴活動
ここまで用いてきた理論と彼女の分析の軌跡を示したのち、
Kramshはこうした視点での語学学習の解釈の重要性を以下のように
示しています。
なぜなら、SLA研究ではこのようなアプローチを通じての
語学学習者の内面を描き出した研究は、これまでにはなかったとして
「情緒や感情、アイデンティティを言語学習者の象徴形式の経験と明確に結びつける」試みの意義を再度、強調しています。
Kramshの試みに対する批判に対しては次のように
論駁しています。
ESL学習環境における移民のアイデンティティ研究で著名なBonny Norton
の分析については、Kramshの分析では以下のように見ることができます。
たしかに、Kramshが先に述べていたように「言葉が思考を作る」と考えるなら、その言葉によって形成された思考が自己をかたちづくっていき、行動へと結びつきます。
言語学習者を見る際に、言語をどのように捉え、
その言語が学習者にどのように関わり、学習者の変容、行動を
引き起こすかというKramshの論考がようやくここまで調べながら
読んでみてなんとか理解することができるようになりました。
記号論、認知言語学の知識のなかった私には
なかなかハードルの高い論考ですが、亀の歩みでも
取り組んでみるしかないですね。
って、まだ第1章で、こんなにクタクタになるとは、
この先どうなることやら。