見てない人に伝えたい!『おかえりモネ』に学んだこと【後編】
NHKの朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』
ご覧になってない人にも作品の素晴らしさが伝わるように!
そして、今日1/30は気象予報士の試験日です!願書を出しそびれた自分の罪滅ぼしに、昨日の前編【気象予報編】に続き、書きます!!
今日は、『感情・感性』についての部分になります。
昨日の前編はこちらっ!
あらすじなどは、こちらをご覧ください!
①当事者感・非当事者感
主人公モネちゃんは、東日本大震災で地元の島が被害に遭います。
でもその時に、島にはいませんでした。
家族や友人が最もツライときに一緒にいなかった罪悪感にも似た『非当事者感』をずっと胸に抱えています。
災害経験に関わらず、当事者感・非当事者感というテーマはずっと続きます。
現代の世の中でもこの2軸での分断が見受けられることが多いですよね。
『その人でないと、心のうちまで分からない』
そうした心の傷を皆が抱えて過ごしています。
登場人物は皆、往々にして色んな過去を抱えている姿が描写されていました。
不器用な主人公モネや、俺たちの菅波先生が、この当事者・非当事者の壁に少しずつトライして成長していきます。
俺たちの菅波先生の不器用ながらも真摯で優しい言葉が印象的でした。
『あなたの考えていることや気持ちは、ぼくには分からないと思います。でも、分かってあげたいとは思っています』
理解できなくとも、完全に共感はできなくとも、
そこに想いを寄り添い、少しでも近づこうとする姿勢や努力こそが大切と実感しました。
被災者の気持ちや、障害のある方との対話などでもこうした姿が描かれました。
『たぶん僕にはわかりませんが、聞くことはできます』
と聞き役に徹する姿はとても印象的でした。
②近くに居てあげる、手を当ててやれる
モネちゃんと俺たちの菅波は、恋仲がなかなか発展せず、見ていた皆さんがやきもきしたことと思います(笑)
2人にとって、ツライとき、悩んだときに『近くに居てくれる』そんな存在でした。
ジャニーズのイケメン漁師のりょーちんと、モネの妹みーちゃんも、同じような関係性でした。なかなか心が開けない、ともに傷を抱えた二人ですが、なんだかんだ一緒にいることを選択していたように感じました。
何もしてあげられないし、気の利いたセリフはかけられないんですが、
そばにいることで安らぎを得ていました。
悩み相談や、ツライときに、こうした家族や友人の存在っていうのは大きいですよね。ペットもそうかもしれませんね。
そして、印象的に活用されていたシーンが、肩や背中に『手を当てて』あげる場面です。
人を励ますときや慰めたいときに、肩や背中をさすりますよね。そうしたシーンです。
奥手で口下手なモネちゃんや俺たちの菅波は、何もすることができなかったけど、手を当ててやることで精一杯の寄り添う気持ちを表現しました。
『人の手って優しいですよね』
(いや、ありがたいですよね、嬉しいですよね、このどれかの言葉だったかもしれません)
手を当ててあげる、そんなボディコンタクトがより一層のそばで支えることを表現していました。
これは恋仲に限らず、その後のアスリートへの支援や、家族での支え合いの場面でも印象的に表現されていました。
③「あなたのおかげで助かった」は麻薬の言葉
災害時に無力だったモネは、災害へ先手を打てる気象予報を通じて、少しでも人の役にたとうと励みます。
そんななか、人を助けたいという想いは、自分のエゴではないかとの指摘も受け、悩みます。
そして俺たちの菅波に出会ったときのこの言葉を思い出します。
「あなたのおかげで助かった、この言葉は麻薬です」
当時、この言葉の意味が分からなかったモネは、関係性の深まった今、どういう意味があったのかを菅波に問います。
医師という仕事は、人を助ける仕事であり、菅波は新米医師のときにはそれに一喜一憂していた。しかしながら、助からない人や、自分の判断ミスでその人らしい人生を奪ったことを後悔しています。
そんな自分のエゴは要らず、より一層学び、ただ目の前のことを対処していく、そんな心の強さを身につけようとしていました。
モネは、「人のために何かがしたい」それは幼い浅はかな考えで、プロフェッショナルではないのではないかと悩みます。
しかしながら、菅波医師が後悔した患者さんとの再会や、
モネは実直に信念を貫き通し災害報道を乗り越えていったり、故郷を盛り上げるべく頑張っている人に出会ったりして、
一周回ってこの言葉を再考します。
「人のために何かがしたい」
「少しでも人を助けたい」
そうした想いはエゴでもなく、自分から生み出される感情であって、それを素直に体現することこそ重要と実感しなおします。
そんな人間の本能に備わる優しさを、素直に感じ、表現することこそ美しいものと、この作品は伝えようとしていたのかなと感じました。
④離れていたからわかる郷土愛
非当事者感から地元の島を離れたモネ。
山のまちで暮らし、海のまちでの生活習慣や文化の違いも実感していきます。
初めて、自分のまちを外から見て、改めて自分のなかに郷土愛があることを噛み締めます。
少しずつ、地元の島に帰っていきたいという想いが募ります。
ぼく自身の話に逸れますが、全く同感で、大学の頃に地元を離れて外から自分のまちを見ました。
就職で地元に帰ってきて、NPOの領域で、現在の地域愛の育みをテーマにした活動をしています。
一度外から自分のまちをみることで、郷土愛をより一層認識できるのかなと思います。
4人の子ども達には同じ経験をしてほしいと思って、必死でお金を貯めています(笑)
被災地支援で東京から来た大学生との出会いや、東京から戻ってきたモネが地元で新たな風を少しずつ吹かせていきます。
最初は受け入れてもらえなかったりの葛藤があったりもしますが、
『若者、よそ者効果』で新たな風や新しい展開があることも表現されていました。
最終的に、民間気象会社の仕事を地元の島でできるように仕組みづくりしたモネ。
家族や幼馴染の友人たちに『おかえり』と温かく声をかけてもらえました。
このタイトルの意味が最終回にしてようやく分かりました(笑)
そして意味深なラストシーンですが、
医師である俺たちの菅波が「久しぶり、〇年ぶりですね」といって、キレイな砂浜の上でモネと抱き合いエンドロールになります。
推測ですが、医師である菅波は、新型コロナとの戦いで、長い間、モネにも会えずに戦いの後、ようやく一緒にいれることになれたという未来表現だったと感じました。
完全にフィクションなストーリーでなく、東日本大震災など現実世界のことともリンクし、社会に潜伏する課題や、人々の感性を浮き彫りにする表現ばかりで、ラストシーンには未来予想図としてのコロナとの戦い・・・
ぼくは、NHKの朝の連ドラを全部ちゃんと見たのは初めてです。
とっても素晴らしい作品でした。
少しでも、ご覧になった方、ご覧になれなかった方にも、この作品の素晴らしさが伝わればと、前編・後編を書かせていただきました。
ご覧いただきありがとうございました。
さて、半年後に向けて、気象予報士の勉強しよっと。
合格率5%ですよ。
ドラマとは言え、モネちゃん3回目でよく受かったな・・・。
イケメン医師が毎晩つきっきりで勉強教えてくれないかな・・・。