22. むと


友達の成功に 渡した「おめでとう」に
「悔しい」が紛れ込んでたこと
少しホッとした 電車でにやけた
大丈夫だ アレはまだ死んでなかった

佳作の手前や 一次審査の通過で
夢の背中に 軽く触れたと喜んだのも束の間
同い年の結婚や 出産のツイートで
いとも簡単に 夢が滑稽に見えてしまった
「このままでいいのか……。いや、いいんだ」
を繰り返し 今も独りで 自分に賭けてる

数多の選択肢の中で 1個だけ
たしかに目が合って 手招きをしていた
「ここまで来たんだ、負けてたまるか」が
「諦めてしまおう」を 足止めしている

※負けのない戦いに 興味はないけど
勝てない未来は 怖くて仕方がない
無我夢中を俯瞰で見たら 僕が笑ってた
知らなかった 明日はまだかな

夢を持つ意思を 備えさせた世界が
「やめちまえ」と言わんばかりの待遇を
弱点の脇腹 ピンポイントで狙う
防ぐことなんかに力を 使いたくはない
構ってる暇は 僕には もうない

数多の選択肢の中で 1個だけ
たしかに目が合って 手招きをしていた
招いてくれたんだ だから僕は行く
「嬉しい」「悔しい」は その後で十分

※「今できること」だけに 自然に伸びる手
「できないこと」を いかに失くすかの足
無我夢中の肩を叩いた 振り向くといつかの
僕が立っていた 今日からよろしく

数多の選択肢の中で 1個だけ
たしかに目が合って 手招きをしていた
よく見たら 「あっち行け」だったのかも
「知るかよ、ボケ」と 握手を求める

※負けのない戦いに 興味はないけど
敗れる未来にも 興味なんてない
負けた後 「頑張った」と笑う
そんな強さは 持ち合わせてないけど
涙を拭う手は 2つもある
無我夢中を俯瞰で見たら 僕が笑ってた
「これで十分」の先の先へ行く

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