13. 名前はまだ無い
どの家から飛んできたのか
洗い立ての白いシーツ
その上で気持ちよさそうに
日向ぼっこする猫の集団を見た
辛いことが重なって
人生の氷河期なんて思って
破裂寸前 もう無理だと
全部から離れてみた
六畳一間に換金もできない
段ボール4箱だけが残った
※ゆっくり起きた1日の始まり
酸素の味を久々に感じた
窓からふと見上げた空にあった雲は
これから何にでもなれる
まだ名前のない形をしていた
いつも降りる駅の1つ先
小さなパン屋に入った
売れ残ってた惣菜パン
隠し味のからしが染みる
「夢」という言葉が
いつのまにか敵に変わっていて
「逃げ」という言葉の良いところが
見えないように黒塗りされてた
そう気づいた後 換金できそうな
無題が広がって見えた
※ゆっくり過ごした1日の終わり
時間の隙間を久々に感じた
夜が思ったよりも暗くなくて見つけた
名前のない伸びた雑草
明日にでも抜けばいい 明後日でも
今朝のあの雲 次いつ会えるのかな
また会えるという事実が嬉しくて
※続けてた勇気と辞めた勇気の
両方があったことを知ってほしくて
誰にとかじゃなく でも強いて言うなら 神と
目の前にいないあなたに
名前も知らないそこのあなたに
吾輩もちゃんと人である
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